石渡正佳『産廃コネクション』(WAVE出版)再読 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

石渡正佳『産廃コネクション』(WAVE出版)再読

産廃の問題というより廃棄物処理全体の問題を炙り出している、現役産廃Gメンによる告発書。久々に部屋を整理していたら出て来たので再度読んでみました。

廃棄物はどのように闇ルートに流れ、どのように処理され、埋められていくのか。
また、闇ルートのプレイヤーの種類、特性、動き、経済性も明らかにされています。廃棄物処理の現実と廃棄物行政がかけ離れていることは以前から指摘されていました。本書が出版されてから3年以上が経過してもその根本的な問題は解決されていません。
今読んでいただいても本書の内容の多くは生きている内容だし、問題点も変わっていないと思います。なぜなら、国はこの件に関して後手後手に回ってきたからです。


議員として自治体にかかわる中で、資源ゴミの問題は常に頭から離れません。特に皆さんが分別し、リサイクルされていると信じているゴミが実は産廃に混じって大量廃棄されている現実もなかなか理解していただいていないと思います。ちなみに、「資源ゴミとしての廃プラスチック」の半分は捨ててもよいというのが今の法律なのです。
(テレビ報道は本当にダメ。恐らく本書を読んでリサイクル資源の問題に取組んだと思われる報道が昨年、テレビでありましたが、正直本質にはまったく迫れていませんでした。テレビが力を十分発揮すれば、法律改正に持ち込めたかもしれないのに・・・・。)
ちなみに、資源ゴミが単に捨てられているからリサイクルは必要ない、今すぐ燃やせ、という結論にはなってはならないと思います。本当はプラゴミを出さない社会を作るための運動が必要なのです。そのために、拡大生産者責任に代わる、プラゴミを出させないしくみが求められています
(もちろん、高性能炉で効率的に燃やして熱を回収するという方法は検討に値するものですが。)
建廃もそう。ああいう作っては壊すしくみはもう、根本から断ち切らなければならないと思います。そして、早急に既に建ってしまった石膏ボードや化学物質を多用した耐用年数の短い住宅への対応を開始しなければならないのです。

一方で、海外で伐採された木材が無駄に消費され、最後(といってもたったの20~30年後)は山奥でコンクリート塊と混ざったまま地中に埋もれ、化学物質の混じった有毒ガスを排出している現状は情けないです。これでは先祖伝来の森を切られた外国の人々は浮かばれないでしょう。

ということで、本書の提案の多くはまだまだ生きています。これを読んでおられる人が本書を未読なら、ぜひ読んでいただきたいと思います。

ちなみに、文章が読みにくいという方も多いと思います。その場合でも、我慢して4部だけでも読んでいただきたいですね。

そうそう、本書を読むと、明日からでも産廃業者ができるほどノウハウが詰まっている本です。それこそ、ダンプがあれば明日からでも始められます。そこまでビジネスの中身を調べ上げた著者に敬意を表したいと思います。