『事例でわかる不動産評価』(日本経済新聞社)を読んで~老人ホーム、J-REITの評価にも最適! | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

『事例でわかる不動産評価』(日本経済新聞社)を読んで~老人ホーム、J-REITの評価にも最適!

この本の著者は不動産評価に関して、いわゆる業界「ノウハウ」的なことまで惜しげなく本に書き込んでくれるので、読み応えのある著書が多い。

しかし、この本で注目すべきは末尾にさりげなく掲載されているJ-REIT(不動産ファンド)の記事である。

本書を読んでまず驚かされるのは、結構アナリストが雑な仕事をしているということ。詳しくは本書に譲るが、アナリスト説明会に出もしないで平気で評価をするアナリストがいるということ。

また、投資家には周知なのかもしれないが、J-REITの多様性というのが思った以上にあり、それを踏まえた投資が必要だということ。(私は買わないから関係ないが。)

そして、「実質的な支配者は誰か」「利益相反の可能性」「開発型ファンドか否か」など、それぞれのポイントを見ていると、一般の投信以上に見るべきポイントが多そうなことがわかる。

そして、地震リスク、土壌汚染リスクなどのある意味ヘッジが比較的難しいリスクも多々あることを考えると、どうも私はJ-REITに悲観的な以前の思いがまたまた強まってしまった。

そもそも同じ著者の著書でJ-REITへの不信感を始めて抱いた私としては、スタート点に戻ったということか。

それでもJ-REITに興味がある方はお読みいただきたい。


ちなみに他の部分では、類型別の不動産評価のところで有料老人ホームの評価の名のもとに「見分け方」が詳細に示されていて興味深い。特にリノベーション(他の目的のビルからの転用)案件のリスク(例:廊下などの使い勝手の悪さ、パブリックスペースの狭さ等)が示されているなど、入居を考える際のホームの見分け方としても有用であり、この部分だけでも3000円の価値がある。


事例でわかる不動産評価 (岡内幸策/小野兵太郎)