公費視察報告~仙南地域広域行政事務組合の廃棄物最終処分場 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

公費視察報告~仙南地域広域行政事務組合の廃棄物最終処分場

ゴミの終着点はどうなっているのか、これを把握しておきたい、という問題意識で仙南地域広域行政事務組合の廃棄物最終処分場へ委員会の公費視察に行ってきました(一泊二日の委員会視察の一日目の記録です)。以下、都合で「である」調で記させていただきます。

 

(以下、視察報告)

当該処分場は、仙南地域2市7町の焼却残渣、不燃物などの埋め立て処分を行っている。
 

従来、この事務組合の地域から排出されるゴミは、最終的に宮城県環境事業公社の小鶴沢処分場に埋め立てを委託していた。しかしながら、使い捨て文化の進展とともに当該処分場の容量が加速度的に乏しくなり、同様に埋め立て委託をしていた県内自治体に対して、一斉に地元での処理が求められることとなった。

従来、蔵王町域に最終処分場の建設を計画していたものの、地元対策が難航した。そのため、白石市に国庫補助事業として28.43億円を投じて最終処分場が建設されることになった。

 

仙南最終処分場は、石切り場であった地形を生かして建設された。

底に厚さ1.5ミリの高密度ポリエチレンシートを敷き、その上に廃棄物を埋め立て、その上には覆土をして最終的には上部をシート等で覆うことで水分の浸透を防ぐ予定である。

 

1.地下水の汚染防止策

 

そもそも岩盤上にある施設であり、地下水への有害物質の影響は低いと考えられるが、当該処分場では高密度ポリエチレンの遮水シートの設置により、埋立地に降った雨水は地下に浸透しないことになっている。また、その機能が維持されているかを確認する手段としては漏水検知システムを設置している。

 

これは、碁盤の目状に電極線を張り巡らせ、各電極線に流れる電流の変化を把握することで、遮水シートの昨日が有効であることを常に確認するもので、管理棟においてモニター上で監視されている。なお、これまでに漏水はない。

シートの耐用年数は、メーカーによると30年であるが、実証された数値ではない。

また、検知システムの耐用年数は不明。
 

2.最終処分場の寿命と延命策

当初、平成22年度までの埋め立てを予定していたが、ペットボトルの資源化、家電リサイクル法の施行、廃プラスチック再資源化の開始、紙ごみの回収、ビン類の色別回収によるガラスくずの減量、可燃物残渣物の焼却処理により、現在は平成30年度までの利用が可能と予測されている。

特に、家電リサイクル法の施行によるゴミの減量は、最終処分場の延命への大きなプラス要因となっている

また、現在の処分場のほかに、敷地内の第二処分場の計画があり、平成45年までの利用が可能と考えられている。

さらに、現在計画されている焼却場の更新(ガス溶融炉を予定)後は、現在の埋め立て物の溶融が可能となり、更なる延命が図れるものと考えられている。

 

3.建設費の内訳

 

国庫補助金6.59億円、地方債20.67億円、一般財源1.17億円で、計28.43億円。

 

4.排水処理

処分場から流下する排水は、凝集沈殿、生物処理などにより処理した上、処理水を貯水槽に貯留し、タンクローリーにて焼却施設に運搬し、減熱のための散布に利用している。これは、地元との協定により、下流に放流することができないための処置である。なお、処理水は放流基準を充足している。
 

5.構成各市の負担

 

約2.4億の年間経費は、全体の四分の一を2市7町で9等分(均等割)にしており、残りは人口で比例配分(人口割)している。

 

6.その他

無人でも稼動できる施設であるが、地元との協定により、有人としている。これは、違法廃棄物の抑制などを目的としている。

 

7.感想

 

いわゆる嫌悪施設の受け入れに当たっては微妙な交渉が要求され、その後の運営にも影響があることを実感した。

また、埋め立て施設の延命にはゴミの減量が大きな課題であり、一層のごみ減量化が求められる。


8.補足

 

首都圏では最終処分場を持たない自治体が多く、和光市もそのひとつである。最終処分場は使い捨て文化の進展により危機に瀕しており、ゴミの処理コストは自治体で負担するにも限界がある。コストをある程度かけてもリサイクルすることは、最終処分場の延命に資することも考慮が必要である。そして、一概には言い切れないが、なるべくゴミを出さないための容器包装の工夫(過剰包装の排除やプラスチックケース使用の自粛)は排出の大本である企業にも求められるべきではないだろうか。

また、家電リサイクル法によるゴミ減量効果はさほど知られていないように思うが、積極的に周知すべきであろう。