議長、副議長~議場内では議長に従います。副議長は普段は飾りと思われがちですが・・・・ | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

議長、副議長~議場内では議長に従います。副議長は普段は飾りと思われがちですが・・・・

今日は、議長、副議長について。

 

1.議長の地位

議会の議長は、「議場の秩序を保持し、議事を整理し、議会の事務を統理し、議会を代表(104条)」します。要するに、議場での発言の可否や採決の手順、問題行動の取り扱いなどは議長が判断するということです。

つまり、議長とは議会の代表であり、そのため中立性が要求されます。国会では慣例として議長は党籍を離脱しますが、基本的には地方議会でも同様に会派を離脱する慣例が一般的です。

(なお、議長も副議長も年収で最低でも十数万円の給与の上乗せがあり、これも多くの議員が議長や副議長を目指す一つのインセンティブになっています。) 

 

2.副議長の地位

副議長は議長の法定代行者であり、議長が欠席したとき、除斥になったときに議長の職務を行います(106条)。また、議長が死亡したり辞職した場合も同様ですが、次の議会でそのまま議長になるのではありません。次の議会で直ちに議長選挙を行うことになります。副議長の権限は議長のすべての権限に及びますが、一般的に直接の議会運営で緊急性があるもの以外は、議長の回復か次の議長の選出を待つことになります。

(副議長の出番で代表的なものは、議長が辞職する場合の議事を進行するケースです。また、行事が重なったときに、議長の代理として挨拶をする場合も多々あります。)

 

 

3.議長、副議長の任期

 

 

議長、副議長の任期は議員の任期です(103条Ⅱ)。しかし、多くの自治体で、任期内に議長が辞任し、改選することが慣例化しています。これは、「すべての議員がさまざまな役職や委員会を経験することにより、広い視野を獲得する」というような理由付けがなされています。

ただし、議会の権威の低下を招く、役職のたらいまわし、という意見があり、一般には否定的にとらえられています。

なお、議長の不信任決議を行うことに問題はないものの、法的な効力がありません。議長は自分で辞任するか、死亡するか、任期を満了する以外、交代する方法はありません。もちろん、議会が首にすることはできないのです。

(よって、議長を辞めさせたいときは議員が議長の運営を困難たらしめるケースが見られます。いわゆる揺さぶりですが、これを意に介しなければ慣例がどうなっていようと任期を全うすることができます。)


 

4.議長の権限

議長の権限は、議場の秩序保持、議事整理という議会の主宰者としての立場によるものと、議会の事務を統理し、議会を代表するという事務的・対外的な立場によるものがあります。

・秩序保持権

法や会議規則に則って議事が進行するよう、議場の秩序保持に必要な範囲で発動されます。秩序を乱す議員を制止し、発言を取り消させ、命令に従わないときはその日の会議が終わるまで、発言を禁止したり、議場外に退去させることができます(129条)。

傍聴人が賛否を公然と明らかにしたり秩序を乱した場合もそれを制止し、退場させられます(130条)。

また、議員は議長に対して、以上の事柄に関して議長に注意喚起することが認められています(131条)。

(傍聴席で拍手をしたり、大声で「ハンターイ」「いいかげんにしろ」などと叫ぶ傍聴者が注意されることがしばしばあります。国会や県議会では警備員が配置されており、場合により退場させられますが、市町村議会では、議長が議長席から注意することになります。

また、最近国会で評判の野次ですが、ある程度までは黙認されています。あまりにひどい場合は注意を受けますが、国会ではなぜか野次も暴力も何でもありです。不思議なもんです。)

・議事整理権

会議規則に従って、議事を進めるのに必要な措置を取る権限です。

権限には、議会を開閉したり、開議、散会、閉会、中止、休憩を宣告し、会議時間を変更し、議事日程を作成したり変更したり、追加したり、発言を許可したり、時間制限を行ったり、登壇を許可するという、会議規則によるものと、議員の出席催告(113条)、秘密会の発議(115条Ⅰ)という自治法によるものがあります。

・事務統括権

議会運営に必要なさまざまな事務を統一的に処理する権限であり、事務局長(あるいは事務局が設置されていない場合は書記)に会議録を調製させ、会議の次第、出席議員の氏名を記載して、会議録に添えて自治体の長等に報告することになっています(123条Ⅰ・Ⅲ)。

また、法に明記されている以外でも、議会事務を統括し、処理する権限があります。よって、事務局職員の任免権や予算執行権も保持しています。

(実質的には執行機関たる市長部局が職員の任免や予算執行を管理しています。)

・代表権

議長には体外的な代表権があります。よって、国会や関係行政庁への意見書の提出や自治体の長への報告、公聴会の公示等、対外的に意思表示を行う公文書は議会の代表者たる議長名において発することになります。(104条)

 

 

5.臨時議長と仮議長

・臨時議長

臨時議長には、最年長の議員が就きます。臨時議長は議長、副議長がともに存在しないか出席できない場合に議長選挙あるいは副議長選挙を行うための職務に限って職務が許されています。

・仮議長

仮議長とは議長、副議長がともに出席できないときに、議会の運営に必要な限度の範囲内で議長の職務を行う議員であり、臨時議長の議事進行の下、議長、副議長の選挙と同様の手続きによって選出されます。

 

 

6.議長は原稿の棒読み?

議会を傍聴された方は一様に、棒読みであると批判します。普段はその通りです。ただし、トラブルが起きたときは議長の整理能力が問われます。

また、優秀な議長は事前にトラブルの起こりそうな箇所を摘出し、対応を検討しているようです。