「思春期の性を考える①」by岩室紳也氏(講演会)を聞いて~コミュニケーションの喪失編
今日の午前中は市内の市民団体、「和光子ども防犯ネット」主催の講演会。
この団体は、地域の防犯マップを子どもへのアンケートなどを基に作成したり、地域の防犯パトロールをしたりして、地域の子どもの安全にために「行動する」団体です。
さて、今日のタイトルは「思春期の性を考える」。講師の「コンドームの達人」こと岩室氏 は社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター長、そして、心の病とエイズを治療する医師。性教育に関する議論の中で、何かと話題の人物です。
タイトルは「思春期の性を考える」。初心者マークとはいえ、「おっちゃん」には多少きついタイトルです。会場はほとんどが母親と思われる女性。
以下、要点を。
(実は前段~あるいは本題か~が長かったので、前半はコミュニケーションの話ばかり。)
①コミュニケーションが喪失されてしまった
現代社会の課題は関係性の喪失である(WHOの尾身茂氏の言葉だと紹介)。
発展途上国にかかわっている尾身氏からその言葉が出たのは驚くべきことである。
一番の問題は「関係性の喪失」であり、これは途上国も同じ。
そして、最優先目標は「関係性の再構築」である。そのために急がれるのはコミュニケーション能力の再構築である。
②挨拶のない環境、家族・・・・
いまどきの若者のコミュニケーションは挨拶がまずない。
「おはよう」「こんにちは」「ただいま」の挨拶ができない。やり取りが苦手。
・ そもそも言いたいことがない→「別に~」
・ 言いたいことがまとまらない→「ビミョ~」
言葉を使っている際の頭の中は大人とは違う。本当にそう(つまり、別に~、ビミョ~)らしい。
暴走族すら似たような原因で減っている=縦社会の上下関係に耐えられない
カウンセリングで来た子どものいない夫婦~起きて「おはよう」を言わない。なぜかと聞くと「だって家には二人しかいないじゃないですか。言わなくてもわかりますよ」。家に帰って「ただいま」を言わない。「だって誰が帰ってきたかって俺しかいないですよ。ほかの人が帰ってきたら変でしょ」。これはやはりどこかおかしい。
いまどきの若者は、褒められたことがない。
なぜ若者がセックスをするのか=誰かといたい、二人でいたい。それだけで即セックスをする。(親世代の感覚とは隔絶した世界。)
③若者が好むのはストレスが少ないコミュニケーション
若者のコミュニケーション=苦労がないもの(メール、携帯など)
→会話は苦労が多いから苦手。
携帯は我慢をさせない→返事を5分待てない人々(5分超待たせただけで友情も簡単に壊れる)
いきなり会話を放置して携帯に出る人(オイオイ、つまらない内容の携帯が優先?相手を確認ぐらいしろよ)=我慢がない、我慢ができない
④家族のコミュニケーションの喪失
食卓のコミュニケーションの喪失=個食化、友食化、食餌化。食卓のコミュニケーションがない。
そもそも家族の会話はどうなっちゃったの?家族の会話よりメールが大切?
メールしながらの食事、カップルが二人でそれぞれメールをしている。
「一人一台のテレビではなく、お茶の間のテレビを!」みんなでテレビを見よう。
→人の後姿を見てはじめて子は育つ。エッチシーンであせる父親、ヨンさまに夢中な母親、そんなことも大切な性教育。
⑤情報、教育、コミュニケーション
これからの人づくりの視点はI、E、Cである。
つまり、
「IT(インフォメーション、情報)&E(エデュケーション、教育)→ナレッジ」にC(コミュニケーション、対話、関係性)を加えてライフスタイルになる。
今の大人の育ちを再点検してみると、Iは友人や先輩からもらった。Eはなくても周囲の環境があったからトラブルは少なかった。なぜなら、C(相談、確認)があった。
若者はとんでもないIの氾濫、Eはオブラートに包んで情報を伝える。Cを通した学びがない。これではまずいでしょう。
心地よいCに必要なのは「ほめること」と「感謝」。そして、目を見て真剣に語る。
コミュニケーションを育てる取り組み。
性を語るには、ニーズだけでもデマンドだけでもだめ。両者が重なり合って育ちにつながる。
以下、松本の前段の荒っぽい感想。
ここまでが長い、しかし大切な前段でした。
本当はここで感想を語るのはおかしいのですが、後半の前に一言。
「コミュニケーションの喪失が個々、個対社会のつながりを断ち切っている。そして、子どもたちは対人関係が苦手なまま大人になってしまう。」
先週にあった勉強会も、伝えたい内容は同じでした。社会や個人がコミュニケーションの喪失という現状に悩み、コミュニケーションの構築を課題としています。
さてさて、後段に話は続きます。
(つづく)