保育園の民営化が問題なのではない。要はしっかり運営してくれればいいんですが | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

保育園の民営化が問題なのではない。要はしっかり運営してくれればいいんですが

全国的に自治体の経営が金銭的にしんどくなっています。

これまで自治体を含む公的セクターは無制限に近い膨張を続けていました。

しかし、先立つものはカネ。自治体は予算の範囲内でのやりくりという市井の常識にようやく気づきました。

さて、現在保育園は需要が多く、増やさなければならないのに予算がない、そんな状況下、保育園を民営化して、コストダウンを行うという行政改革手法が各地で採用されて軋轢を生んでいます。また、指定管理者と言って、市の指定した民間業者に役所の何らかの業務を丸ごと投げる(←大雑把な表現ですのでご注意)手法も地方自治法改正で可能になりました。

指定管理者として、あるいは運営の外注先として、民間の割合が増えています。

さて、民営化の話が出ると、かならずもめます。保護者が不安に感じ、それを組合系などの人々が煽るのです。

煽りの手口は、

①儲け主義の民間は必要以上のコスト削減をするから保育の質が落ちる、という決め付け

②民間の保育園の給与水準の低さを例に出して、「こんな賃金でまともな保育はできない」

③役所は責任を持って保育の質の維持をすべきという当然の話

④他市でも導入されたばかりで成果が分からないという引き伸ばし策

⑤保育の内容が事前には十分に分からないという当然の疑問

などと保護者の不安感の急所を突いてきます。

しかし、どれもよくよく考えると解決可能であり、いってみれば言いがかりです。

人は誰でも変化への不安があります。

横浜市で事前の説明不足から大きなトラブルになったことは有名です。

要は、説明不足は絶対にダメであること、これまでの保育の質を下回ってはならないこと、これがポイントです。この点を保証しない自治体は失格です。市長を次の選挙で落としましょう。

さて、私が議員として働いている埼玉県和光市では、公設民営、公設公営の保育園があり、公設民営もNPO、株式会社、社会福祉法人があり、まさに保育園の展示場状態です。

そして、株式会社の 保育園も健闘しています。

正直なところ、公設公営の保育園は保守的、民営でも福祉法人の園はやはり保守的、純粋な民営はやることがバタくさい、というのが大雑把な感想です。

そして、苦情処理などで対応が早いのは株式会社です。

保育の質で民営が決定的に落ちると言うことは和光市では起きていません。

ただ、問題なのはあまりに民営保育園の給与が低すぎるのではないか、ということです。保育士は専門技能職であり、専門性への対価は必要です。適正な保育士の給与水準がいくらかはこれからの社会の流れで決まっていくと思います。

皆さんの町にも民営化の波がやってきます。

私は自治体にしっかり説明を求め、保育の質について担保を取るぺきであると思います。

なにしろ、もう役所にはお金がないのです。その中で、安く上がるところは安く上げることには住民も協力すべきです。ゼロ歳から小学校入学前までを公設公営の保育園であずかると、自治体の持ち出しは1000万円とも言われます。ここで公立の保育士の給料に税金を使い、子供の世代に借金を残すことは子供のためになるのか、そういう視点が必要です。

ただ、もしあなたが保護者であくまで現状を望むなら、上のような点をついてみましょう。

相談先は共産党か市民派の議員さんです。

もっとも、その行為は時流に反しているし、子供の世代への付けを回す行為であると思います。

世の中の大きな流れは、役所は小さく、子供の世代の分までカネを使わない、ということであり、役所の肥大化はもはやありえないということを認識すべきです。

お金は大事だし、有限なのです。 しっかりと有効に使われるべきであり、それを担保するのは皆さんの関心と合理的な判断です。


追記:保育園の評価は日を追って変わります。(9/22追記)