ビジネスをしている方もそうでない方も、「契約」をする機会は多いと思います。
著作者 Freepik.com
家を借りるときの「賃貸借契約」
お金を借りるときの「消費貸借契約」
その他物を売ったり買ったりするときの「売買契約」
そして、この契約は、一部の例外を除いて、契約書がなくても成立します。
口頭でも成立するのです。
ただ、証拠がないと怖いので、契約書を作るのです。
ここで、AさんがBさんに仕事を発注したとします。例えば、アプリの開発で考えましょうか。そこでBさんがアプリを完成させたけど、Aさんが契約がなかったといって、アプリのソフトウェアを受け取らない。そして、お金を払わない。
よくあるケースです。
もちろん、契約書がなくても契約は成立します。
ただ、そのためには、AさんがBさんに仕事を頼んで、Bさんがそれを承諾したという証拠が必要です。
だから、発注書(注文書)と請書というのが一般には使われるわけです。
もちろん契約書が一番いいですけどね。両者の署名押印がある契約書が。
あとは、発注のメールと受注のメールなども証拠としては有用です。
SNS上のやりとりでも、契約の申し込みと承諾があれば契約は成立します。
ただ、SNSでの契約というのは大変気を付けなければならないと思っています。
情報漏洩やプライバシーの問題もあります。
それ以上に、SNSのアカウントを知っているだけでは、つながりが非常に弱いのです。
もうすでに名刺交換が済んでいる、顔を知っている場合はそれでよいですが。
SNS上だけのつながりである場合、アカウントを消されたらおしまいです。
TwitterのDMでやりとりをしていた相手方が消えてしまった。
そんな場合、弁護士としては(理論的には)弁護士会照会でTwitter社にその方の電話番号を出すように請求して、その電話番号から契約者を割り出すことになりますが、Twitter社はまず教えてくれないでしょう。
また、電話番号の契約者が別人である可能性もあります。
契約書がなくても契約は成立しますが、SNSなどのやりとりでは危険な面もあります。
やはり一番は契約書を交わすこと。
それが不可能でも、できるだけ注文書と請書を郵送、メール、FAX等でやりとりするのが安全です。
新橋虎ノ門法律事務所 共同代表弁護士 武山茂樹
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