紀州のドンファンこと野崎さんが2018年に遺体で発見されましたが、

その件について、元妻の方が4月28日逮捕されました。報道もされております。

 

夕食時に覚せい剤混入か 経口摂取、注射痕なし―資産家殺害・和歌山県警:時事ドットコム (jiji.com)

 

「紀州のドン・ファン」殺害容疑の元妻、逮捕後取り調べに黙秘 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 


ご存知のとおり、野崎さんは2018年5月24日夜に死体で発見され、体内から致死量を上回る覚せい剤成分が検出されたのです。

もちろん、元妻の方が有罪か無罪かは、最終的には裁判官が決めることですが、
少し突っ込んで、法律的観点からニュースを考察していきたいと思います。

 

動画でも解説しておりますが、文章で読みたい方はブログの続きをご覧ください。


 

1,なぜ逮捕できたのか

報道によると
・野崎さんが亡くなった時間帯、自宅には元妻の方しかいなかった
・台所や掃除機から覚醒剤が検出された
・彼女自身がスマホで覚醒剤について調べていたこと
・密売人と接触していた可能性が高いこと

が判明しているそうです(あくまで報道がこのように言っているだけで、私が直接調べたわけでは当然ありません。報道を前提にした解説になりますのでご了承下さい)。

 おそらく覚せい剤関連の罪についてはそれなりの証拠がそろっていると思われます。

 一方で、これだけの事実を並べても殺人には直接つながりません。

・野崎さんが覚せい剤を日頃摂取していなかったことを併せて考えると
「元妻の方が覚せい剤を自宅に持ち込んだ可能性が高い」ということが推認され
 それに、
・野崎さんが亡くなることで、元妻の方が遺産を得られるという動機がある
ことを併せて考えて、
 県警は、元妻の方が殺害した可能性があると判断した。そして逮捕につながったのでしょう。

2,有罪か無罪かの分かれ道は?
 前提として、逮捕のハードルは、裁判で有罪になるハードルより低いということです。逮捕はできるくらいの証拠はあるが、裁判で有罪にならないというのは十分考えられます。逮捕はまだ捜査途中で行うからです。

 私見ですが、覚せい剤の罪は別として殺人で有罪になるためには、証拠が足りないかなと思います。

 

疑わしきは被告人の利益にといって、検察官が被告人が確実に犯人であることを立証しないと無罪になります(利益原則ともいいます)。この原則を批判する方がいますが、国家権力が莫大な人員を割いて捜査したにもかかわらず犯人と立証できないなら、無罪となるのは合理的だと私は思います。

 話を戻します。


 例えば、あくまで可能性のあるストーリーの一つですが、元妻の方が覚せい剤を一緒に使っていて、野崎さんが過剰摂取して亡くなってしまったという可能性もあります。その可能性を排除できるのか。


 あとは、遺産目当てという動機も、それほど確実ではないと思われます。


 報道では、野崎さんから元妻の方が離婚を切り出されていたことも原因ではないかと言われています。

 しかし、離婚というものは、片方が嫌と言えばそう簡単にできません。元妻の方が嫌と言えば、野崎さんから離婚裁判を起こすしか離婚の道はなくなります。

 ただ、不貞行為等などの明確な離婚事由がない限り、なかなか離婚は認められません(婚姻関係が破綻していることの立証が必要になります)。泥沼の離婚裁判になり、時間もかかります。
 その間に、ご高齢の野崎さんがなくなり、遺産相続が起こる可能性も十分にあった。
 一方で、元妻の方が野崎さんを故意に殺害した場合、
 これは相続欠格といって、元妻の方は遺産の相続ができなくなります。
 元妻の方が法律に詳しいかわかりませんが、遺産目当てと殺害が直結するかと言われると、そうではないと思います。

 とすれば、元妻の方が覚せい剤に関してどういう供述をするか、これによって結論も変わってくると思います。

3,なぜ今逮捕なのか
 2年たってなぜ今逮捕なのか?
証拠がそろったという見方もあるでしょう。ただ、今回の証拠はWeb上の閲覧履歴とか、犯行現場の状況とか、そういったものが主体で、これは事件直後から警察が持っていたと思います。
 これも想像ですが、元妻の方が海外に行くとかそういう情報を察知していて、警察が早めに動いたのではないでしょうか。一部の報道ではこのように言われています。
 仮に海外に行く前に逮捕したとなると、証拠はまだ盤石ではないのかもしれません。

 

 あくまで、報道をもとに法律的に解析しただけのブログであり、真実が何かについて言及するものではありません。ご了承下さい。

 

新橋虎ノ門法律事務所 共同代表弁護士 武山茂樹

 

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