もう1週間前ほどになりますが、佐川前国税長官の証人喚問がありました。

 

これは、国会が持つ権限の一つである、国政調査権に基づいて行われたものです。

 

ここで、誘導尋問が行われたのではないか、という話題が噴出しました。

 

「誘導尋問してない」=自民・丸川氏

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032801058&g=pol

 

でも、そもそも、「誘導尋問」ってなんでしょうか?

 

誘導尋問とは、Yes,Noで答えられる尋問を言います。

 

例えば

「あなたは平成29年3月1日に国会議事堂にいましたね?」

「あなたはこの事件の犯人ですね」

「あなたは、今朝朝食を食べてませんね」

 

これらは全て誘導尋問です。

 

誘導尋問ではない尋問とは、いわゆる5W1Hを使う尋問です。

「あなたは、平成28年5月1日、どこにいましたか」

「そこで何をしてましたか」

「なにか普段と違ったことはありましたか」

 

これが、誘導尋問ではない尋問です。

 

誘導尋問は、たいてい、尋問している人が、望む答えを答えさせているように見えるので

あまり信用されないです。

 

しかし、誘導尋問は、現実の裁判においても、実は完全に禁止されているわけではないのです。

 

当事者に争いのない事項や、前提となる事項についてなど、許されている事項は多岐にわたります。

 

例えば、被告人の父親に尋問するときに

「あなたはどういう立場ですか」

と聞いても、聞かれた方も何を答えていいかわかりません。

被告人の父親ということに争いはないわけですから、この場合は

「あなたは被告人の父親ですね」

と誘導尋問していいわけです。

 

ただし、許されない誘導尋問があります。

 

それが、「誤導尋問」と言われるものです。

 

誤った事項を、尋問の前提としておりまぜるものです。

 

たとえば、交通事故で、赤信号だったか、青信号だったか争いになっていたとしましょう。

 

「信号は赤だったわけですが、あなたは何を見ましたか」

 

これが誤導尋問です。

見たことを答えてしまうと、赤信号だったことも答えてしまうので、これは許されないとされます。

 

新橋虎ノ門法律事務所 共同代表弁護士 武山茂樹

 

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