もう1月3日となると、ニュースも、お正月にちなんだものというより、日常のものになってきます。
こんなニュースがありました。
認知症:無罪・減軽29件 鑑定せず起訴12件 本紙調査
まず、法律では、心神喪失という概念があります。
心神喪失とは、自己の行動を認識する能力又は自己の行動を制御する能力、のどちらががない状況をいいます。
そして、心神喪失であった者が犯罪を犯しても、責任がないとして無罪になります。
(別途、強制的に入院させられることは、もちろんあります)。
自分がなにをやっているか全くわからない、あるいは、自分の行動を全くコントロールできない場合は無罪になるんですね。
この責任能力という制度については、昔から批判も多いです。
「責任能力がないのなら、何をやってもいいのか」という批判です。
ただ、責任能力がない場合は、刑罰を科してもかわいそうということで、無罪とするのが昔からの伝統です。
私は、個人的には、責任能力がない場合は、刑罰を科しても意味がないから、入院させるべきだ(刑務所に入れても、何が悪いかもわからないから反省もできない)、という意味で、仕方がない制度なのかなあと思っております。
※必ず入院するわけではありません。
さて、重度の認知症で、行動認識能力や行動制御能力がない場合は、心神喪失となり、万引きをしても無罪になります。
そして、本来責任能力に疑いがあれば、警察や検察の捜査の段階で、簡易鑑定といって、責任能力の有無を調査すべきなのです。
ただ、責任能力の有無はなかなかわかりにくいのと、
これは個人的な感想ですが、
検察官は軽微な事件(万引きなど)は簡易鑑定をなかなかしないように思えます。
※殺人などの重大事件は結構しているように思えます。あくまで個人的な感想です。
軽微な事件でそこまでできないという検察側の要請もあるでしょう。
また、万引き事件は、副検事といって、必ずしも司法試験に受かってない方が担当することが多いことも、原因なのかなあと思ってしまいます。
※副検事は、司法試験に受かっている人もいますが、受かっていない人もいます。
ウィキペディアをご参照ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/副検事
どちらにせよ、どんな事件もきちんと捜査していただきたいと思っております。
また、認知症の方が起こす犯罪は、増加しております。
福祉の方の対応も必須でしょう。
特に認知症の方が起こす交通事故はもはや見過ごせない問題になっております。
新橋虎ノ門法律事務所 共同代表弁護士 武山茂樹
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