これすごいなあと思いました。

「車いす客に自力でタラップ上がらせる バニラ・エア謝罪」
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E8%BB%8A%E3%81%84%E3%81%99%E5%AE%A2%E3%81%AB%E8%87%AA%E5%8A%9B%E3%81%A7%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%82%89%E3%81%9B%E3%82%8B-%E3%83%90%E3%83%8B%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A2%E8%AC%9D%E7%BD%AA/ar-BBDmInJ?li=BBfTvMA&ocid=ientp#page=2

 

飛行機乗ったことがある方はご存じかと思いますが、

空港から飛行機に乗るときは、

搭乗ブリッジ を使う方法と
タラップ を使う方法があります。

 

搭乗ブリッジは、空港から直接、アコーディオンカーテンみたいのでつながれて、乗る

方法。これだと、車いすの人はそのまま乗れるでしょう。

 

タラップを使う方法。これは飛行場から階段みたいなもので飛行機に上がる方法。
これだと、車イスの人は周りの人に担いでもらったりして上るんだろうなあ。あとはエレベータみたいなのを使うか。

 

前者の搭乗ブリッジは(航空会社に)使用料がかかると聞いたことがあります。
でも、アメリカ大統領がどこかの国に来るときは、いつもタラップのような気も。。


話が脱線しましたが、どうやら、奄美大島の空港は、タラップ方式だったようで。
関西空港から奄美大島に来たときは、車いすの方は同行された知人の方に担いでおりた

そうです。

この点も、「配慮がない」という方はいるでしょうが、私は次の方が問題だと思いまし

た。

 

奄美大島から関西空港に帰るとき、「車いすをかつぐ」のは規則違反といい、車いすを

担いでタラップ登ることを拒否されたようなのです。

この方は、自力でタラップを這い上がったそうです(これも規則違反と指摘されたそう

ですが)。

 

私は、この事件の本質は「車いすの方にタラップを這い上がらせた」点に問題があるの

ではなく、「車いすを担ごうとした行為を妨害した点」にあると思います。

 

もちろん、バニラエア側にも、安全確保のための規則で、徹底的に運用する必要があっ

たなどの言い分もあるでしょう。
また、対応したのは、バニラエア本体ではなく、バニラエアから業務委託された空港職員であったようなので、個別具体的に対応する権限がなかったことも考えられるでしょう(その場合でも、本体に連絡して指示を仰ぐなどの対応は必要だったと思いますが。)。

 

法律の世界では
「人に~しなさい」との権利が生まれるのはハードルが高いですが
「私が~することを邪魔するな」との権利が生まれるのは、前者よりはハードルが低い

です。


 人は、原則、自由に行動できるのであって、それを邪魔するのは、通常許されないか

らです(もちろん犯罪とか違法行為は別ですが)。

 憲法の世界では、それぞれ、請求権と自由権といいます。
(バニラエアは、国ではなく企業なので、憲法が直接適用されるわけではありませんが

 

 私は、車椅子の方が、知人の力を借りて、登ろうとした、必死に生きようとした点を

妨害した点が、ちょっと問題だなあと思いました。

 法的には、憲法14条1項の趣旨に違反する措置を取ったとして、民法709条の不

法行為として、損害賠償が認められる可能性もあるのかなと。
 実損害は少ないので、損害額は低額でしょうけど。

 

 バニラエアでは、奄美大島に車いす用のストレッチャーを設置するようです。
 このような措置が早急に取られたことはよかったと思います。

 

新橋虎ノ門法律事務所 共同代表弁護士 武山茂樹

 

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