これすごいなあと思いました。
飛行機乗ったことがある方はご存じかと思いますが、
空港から飛行機に乗るときは、
搭乗ブリッジ を使う方法と
タラップ を使う方法があります。
搭乗ブリッジは、空港から直接、アコーディオンカーテンみたいのでつながれて、乗る
方法。これだと、車いすの人はそのまま乗れるでしょう。
タラップを使う方法。これは飛行場から階段みたいなもので飛行機に上がる方法。
これだと、車イスの人は周りの人に担いでもらったりして上るんだろうなあ。あとはエレベータみたいなのを使うか。
前者の搭乗ブリッジは(航空会社に)使用料がかかると聞いたことがあります。
でも、アメリカ大統領がどこかの国に来るときは、いつもタラップのような気も。。
話が脱線しましたが、どうやら、奄美大島の空港は、タラップ方式だったようで。
関西空港から奄美大島に来たときは、車いすの方は同行された知人の方に担いでおりた
そうです。
この点も、「配慮がない」という方はいるでしょうが、私は次の方が問題だと思いまし
た。
奄美大島から関西空港に帰るとき、「車いすをかつぐ」のは規則違反といい、車いすを
担いでタラップ登ることを拒否されたようなのです。
この方は、自力でタラップを這い上がったそうです(これも規則違反と指摘されたそう
ですが)。
私は、この事件の本質は「車いすの方にタラップを這い上がらせた」点に問題があるの
ではなく、「車いすを担ごうとした行為を妨害した点」にあると思います。
もちろん、バニラエア側にも、安全確保のための規則で、徹底的に運用する必要があっ
たなどの言い分もあるでしょう。
また、対応したのは、バニラエア本体ではなく、バニラエアから業務委託された空港職員であったようなので、個別具体的に対応する権限がなかったことも考えられるでしょう(その場合でも、本体に連絡して指示を仰ぐなどの対応は必要だったと思いますが。)。
法律の世界では
「人に~しなさい」との権利が生まれるのはハードルが高いですが
「私が~することを邪魔するな」との権利が生まれるのは、前者よりはハードルが低い
です。
人は、原則、自由に行動できるのであって、それを邪魔するのは、通常許されないか
らです(もちろん犯罪とか違法行為は別ですが)。
憲法の世界では、それぞれ、請求権と自由権といいます。
(バニラエアは、国ではなく企業なので、憲法が直接適用されるわけではありませんが
)
私は、車椅子の方が、知人の力を借りて、登ろうとした、必死に生きようとした点を
妨害した点が、ちょっと問題だなあと思いました。
法的には、憲法14条1項の趣旨に違反する措置を取ったとして、民法709条の不
法行為として、損害賠償が認められる可能性もあるのかなと。
実損害は少ないので、損害額は低額でしょうけど。
バニラエアでは、奄美大島に車いす用のストレッチャーを設置するようです。
このような措置が早急に取られたことはよかったと思います。
新橋虎ノ門法律事務所 共同代表弁護士 武山茂樹
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