いやー先週は寒かったですね。
 
いや、鳥取の辺りは今週も寒波が押し寄せています。
 
これは事務所の近くから撮影した、雪でてっぺんが霞んでしまった虎ノ門ヒルズ。
 
 
普段は、東京タワーも見えるはずなのに見えません。
ちなみに左下は人が写りこんでいたので、消させていただきました。
心霊写真ではございません。
 
さて、今日は、最近、法律的に見てアメリカのダイナミズムを感じたなーということを書かせていただこうかと。
 
別にトランプ派とか反トランプ派とか、
トランプ氏のネクタイはなぜいつも青や赤一色なのかとか
(昨年日本でも流行っていましたね)
カードゲームのトランプと関係があるのかとか
そういう話ではございません。
 
今回はいつもより小難しい格調高い話になっております。
 
こんなニュースがありました。
“入国禁止”でトランプ政権、週明け 新たな大統領令も
 
もともとは、トランプ大統領が、イスラム圏7か国からの入国禁止を内容とする大統領令を作ったが、裁判所がその大統領令を差し止めたという問題でした。
 
アメリカは、大統領が国民の選挙を受けて選ばれているため、大統領が国民の権利を制限する法律のようなものを作ることができます。それが大統領令です。
 
一方、日本では、内閣総理大臣といえども、法律のようなものを作ることはできません。
法律は、あくまで国会が作るものです。内閣総理大臣が作ることのできる政令というものもありますが、これは全て国会の委任(国会が内閣総理大臣に作っていいよということ)があります。
 
さて、そのトランプ氏が作った大統領令が、裁判所に差し止められたということです。
大統領は選挙で選ばれていますが、裁判官は選挙で選ばれていないので、裁判官が大統領令を差し止めるのはけしからんという声も当然あるでしょう。
 
しかし、権力は暴走することもあるので、たいていの近代国家では、裁判所が法律を無効と判断することを認めています。
 
日本でもあります。違憲立法審査権といって、裁判所は、憲法に反する法律を使わないことができるのです。
 
ただ、日本の裁判所は法律が憲法に反するという判断をあまりしません。
 
法律が憲法に反するという判決を「違憲判決」というのですが、数が限られています。
一番最初は「尊属殺違憲判決」。
 
昔、親殺しは普通の殺人よりも罪が重かったのですが、それが「平等」に反するとして無効になりました。
 
このように日本の裁判所が、違憲判決をあまりしないのは
 
・内閣が作った法律は、内閣法制局という機関のチェックを経ているので、出来がいい(裁判所に文句を付けられにくい)からだ
・裁判所と内閣が仲良しだからだ
 
などといろんな意見があります。
 
しかし、アメリカは、今回のニュースのように、大統領と裁判所が真っ向から対立する場面が、歴史的に見ても結構あります。
 
いい悪いは別として、一法律家としては、アメリカのダイナミズムを感じた瞬間でした。

新橋虎ノ門法律事務所 共同代表弁護士 武山茂樹

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