有名な「森のくまさん」の替え歌を歌っていたパーマ大佐が、作詞者の馬場祥弘氏から、販売中止を求める通知書を送られたそうです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170119/k10010844591000.html
実際、私も曲を聴いてみたのですが、元々の歌詞をベースに、Bメロを付け加えたり、2番の歌詞を変えたりしたという感じです。ちなみに曲はアメリカ民謡のようですね。
詳しい内容は当然わからないので、ある程度想像なのですが、ポイントは著作権ではなく著作者人格権の侵害で、通知を送られたということです。
著作権は、作品の財産的な側面です。
楽曲や歌詞なら、カラオケで歌ったら印税が入るとかは、著作権の問題です。
この著作権は、財産的な側面なので譲渡することができます。
ちなみに、日本では基本的に楽曲の著作権はJASRAQが管理しています。
一方、著作者人格権という権利があります。
これは、例えば、この曲は私が作ったんだ、とか、作者の意図しないように使うなという権利です。
例え、歌詞の著作権を誰かに売ったとしても、作詞者の名前は変わりませんよね。
作詞者の名前を変えてはいけない。
語弊を恐れずに言うと、作家のプライドを保つ権利といいましょうか。
そして、本件は、著作権ではなく著作者人格権に基づく通知であるということ。
想像ですが、著作権の使用許可は取っているのではないかと。
しかし、原曲の歌詞のイメージを損ないすぎたので、作詞者が通知書を送ったのでしょう。
著作権法20条1項には同一性保持権というのが規定されています。
著作権法20条1項
著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
パーマ大佐の替え歌はこれに反するとの主張です。
替え歌はパロディなのですが、パロディが著作者人格権を侵害するかは、結構昔から議論されている難しい問題です。
パロディが芸術や文化を進化させてきたのも事実ですし。
今後裁判になるのかも含めて、私は注目しています。
また、「森のくまさん」の歌には、もともと英語の歌詞もありまして、パーマ大佐が、英語詞に依拠していると主張したらどうなるのか、なども気になるポイントです。
wikipedia情報ですが、英語詞のくまさんは友好的ではないようです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%AE%E3%81%AE%E3%81%8F%E3%81%BE%E3%81%95%E3%82%93_(%E6%9B%B2)
ちなみに、パーマ大佐は
JPOPはふつうBメロがあるのに、ないのが不自然だからつけてみたと言っておりました。
私は音楽が好きなのですが、
Aメロ→Bメロ→サビ という構成が一般的になったのは90年代だと思います。
それまでは、Aメロ→サビ という構成が一般的でした。
ちなみに、現代は複雑化して、 Aメロ→Bメロ→サビ 最後の方にプライマルブリッジ(大サビ)
という構成も見られます。
ぜひ年代別お気に入りの楽曲を聞いてみて下さい。結構あてはまっているはず。
森のくまさんの楽曲はアメリカ民謡由来みたいですので、
パーマ大佐は森のくまさんを現代化したのかな。
そんなことを思いながら、ニュースを聞いておりました。
新橋虎ノ門法律事務所 共同代表弁護士 武山茂樹
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