NHKを見ない人も受信料を払わなきゃいけないの?


と、少し前によく話題になったNHK受信料問題。

そもそも、NHK受信料は、払わなくてはならないのでしょうか?

まず、NHKと実際に受信契約をした場合は、自分の意思で契約をしたのですから、払う義務が出てくるでしょう。

よく、引っ越したらNHKの人が来て、契約して下さいと言われるあれです。

では、NHKと契約しなければ、払わなくていいのでしょうか?

実は、放送法にこのような規定があります。
(受信契約及び受信料)
第六四条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。


つまり、テレビを設置したものは、NHKと受信契約をする義務が生じます。

そして、NHKの申し込みから,承諾に通常要する相当期間(長くとも2 週間)を経過した時点で受信契約は成立すると考えるのが東京高裁の判例です。

受信契約をしたくないと考えても、NHKが契約しましょうといってから、2週間たつと契約は成立するのです。

では、今回問題となった、携帯電話のワンセグ機能を使える状態にすると、NHKと受信契約をしなくてはならないのでしょうか?

埼玉地裁が画期的な判断を下しました。
http://mainichi.jp/articles/20160826/k00/00e/040/233000c

ワンセグ機能とは、携帯電話でテレビを見る機能です。
アイフォンにはついてないのですが、ガラケーにはよくついていて、一時、電車の中で野球中継を見る人などが見受けられました。

これは放送法64条の「受信設備の設置」に「携帯のワンセグ機能を使用可能にすること」が含まれるかどうかの問題です。

ここで、埼玉地裁は、放送法2条14号に着目しました。

2条
十四 「移動受信用地上基幹放送」とは、自動車その他の陸上を移動するものに設置して使用し、又は携帯して使用するための受信設備により受信されることを目的とする基幹放送であつて、衛星基幹放送以外のものをいう。

この条文によると、放送法2条14号は「設置」と「携帯」を区別しています。
つまり、放送法は「設置」と「携帯」を区別して用いているのです。

とすれば、放送法64条1項に「携帯」と書いていない以上、受信できる機械を「携帯」しても、受信契約をする義務は生じないと考えることができます。

このようなロジックで、埼玉地裁は、ワンセグ携帯を持っていても、NHKと受信契約を締結する義務はないと判断しました。

この判決は確定していないのですが、今後高等裁判所でどのような判断が下されるかが着目されます。

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新橋虎ノ門法律事務所
共同代表弁護士 武山茂樹


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