数日前、元プロ野球選手、清原被告の覚せい剤使用等の罪に対する判決が出ました。

http://www.asahi.com/articles/ASJ5Z6S3JJ5ZUTIL05C.html


懲役2年6月執行猶予4年。


インターネット上では、量刑が軽すぎるとの声もありますが、私はそうは思いません。


むしろ少し重いかなと思ってます。


まず、懲役2年6月、執行猶予4年という判決の意味です。


これは、あなたは刑務所に2年6月行くことになるけど、4年の間、何も罪を犯さなかったら、刑の言い渡しはなかったことにしてあげるというものです。


つまり、4年間なにもしなければ、チャラになります。


ただ、執行猶予期間の間の4年に罪を犯して、懲役刑の判決を受ければ、原則として刑務所に行きます(実刑といいます)。


例えば、清原被告が、もう一回4年以内に覚せい剤をやって懲役1年の判決を受けたとしましょう。


前の懲役2年6月と併せて3年6月服役することになるわけです。



さて、私が判決がむしろ少し重いかなと思う理由。


まず、芸能人だから刑を重くしろというのは私はおかしいと思います。


確かに、かつて野球のヒーローだった清原さんの影響力は大きいでしょう。


しかし、刑罰はやはりやった行為の重さによって決まります。影響力うんぬんで左右すべきではないでしょう。


また、覚せい剤は自分で使用している限り、それほど他人に迷惑をかけない罪ではあります。

(※もちろん、覚せい剤を買うことで、覚せい剤の拡散に間接的に貢献しているので、他人に迷惑をかけています。また、覚せい剤を使い、暴力的な行為に出る恐れはあります)。


私は、他人に迷惑をかけるという意味では、万引きの方がよほど罪が重いと思います。


日本やアジアで薬物犯罪が(西欧諸国より)重く罰せられるのは、アヘン戦争など、西欧諸国がもちこんだ薬物で国がボロボロにされてしまった歴史があるからでしょう。


ここで、薬物犯罪の量刑相場を見てみましょう。


初犯なら、通常は、懲役1年6月執行猶予3年です。


所持量が多いと、量刑がさらに重くなってきます。


※なお、所持量が多すぎると(例えば1000回使用できる量)、営利目的で所持していることが推認され、営利目的所持の罪が成立することがあります。こうなると相当重くなってきます。


清原被告の場合は、所持・使用のほかに譲渡(譲り受け)も認定されたというのもあるでしょうが

若干重いな、という感想を持ちました。



新橋虎ノ門法律事務所 共同代表弁護士 武山茂樹

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