厨房設計/中華バイキングレストラン/ スケッチから学ぶ施設計画のチェックポイント
平面計画/ゾーニング計画のポイント
この店のゾーニング計画とは、入口に向かって左側にバイキングコーナー、並行してメインキッチン、奥に洗浄エリア、その奥に事務所、更衣室、隣接してトイレなどの付帯施設を配置し、右側に大テーブル、円卓テーブルを中心にテーブルの大きさによって複数の客が座れるように配慮していることだ。
全体の仕組みとしては、入口で入店チェック時間やバイキング、その他の利用の有無を聞き、伝票をチェックし客席へ案内するというスタイルであり、その後はバイキングコーナーの利用方法やサービスの仕組みの説明を受けて料理をセルフで自由に楽しむという仕組みである。
下膳については、基本的には、スタッフがテーブルの後片付けをするシステムとして場合によってはバスボックスで下膳する、あるいはカートで下膳返却するなど、繁忙時の状況に合わせて臨機応変にバッシング方法を配慮することが大切であろう。
各部施設計画のチェックポイント
パース図-1
中華料理店のイメージを想定すると、黒基調、しゅい色、赤など比較的派手なイメージや逆にシックに落ち着いたイメージなど街に点在する種々な業態の中華料理店の内装イメージを思い浮かべることが常であろう。
この店の場合には、特別に中華料理の内装デザインにこだわることなく、オープンキッチンのプロの職人が中華料理を調理する様子やライブ感を訴求することによって料理への期待や好奇心を持ってもらうことに焦点を置き、全体イメージとしては、白と黒のデザインタイルのデザイン貼り、床は塩ビタイルの茶系で落ち着いたイメージのデサインラしていることだ。
椅子、テーブルも木調の落ち着いたイメージで統一できるように空間構成をしておくことが理想的であろう。
パース図-2
中華クッキングラインの施設計画の詳細イメージである。中華レンジの設備で大切なことは、火力が料理の味を左右すると言っても過言ではないことであり、本場に近い高カロリーの中華レンジ、スープストックレンジ、カランはバックガードから立ち上げ、レバーも長く中華お玉で動かせるようにオペレーションを配慮していることだ。
また一度使用した中華鍋を掃除し、排水するシステムとしては中華レンジの奥側に排水ピットを配置、すぐに汚れた水や残菜類を捨てることができるように配慮しておくことが大切であることを理解しておくことだろう。
オープンキッチンであるためバイキングコーナーとの区画は、耐熱ガラスでフィックスしていることだ。
パース図-3
バイキングコーナーの施設計画の詳細イメージである。バイキングコーナーに陳列する料理の種類によっては、下部にプレートヒーターを配置し、料理が冷めないように配慮していることだろう。
またバイキングコーナーの手前には、トレーを一時的に置くことができるようにトレースライドを配置し、客が料理を皿類に盛り付けやすいように計画していることだ。
上部に配置した料理の上には、スニーズガード(埃防止)を設備し衛生的にも配慮していることがポイントであろう。
パース図-4
事務所の施設計画の詳細イメージである。一般的に事務所スペースは事務所スペースと更衣室に区画されていることが常であり、更衣室の大きさやロッカーの数など登録社員あるいはアルバイト、パート人数によって左右されることがほとんどであろう。
事務所のデスクには、デスクトップコンピューター、上部棚にはプリンター、その上には書類など配置できるように計画しておくことが理想的であろうし、小さいスペースであろうとも、事務所と更衣室を計画から排除することはしてはならない。
特に都心部の賃借料が高ければ高いほど、全て客席スペースを優先してしまい、更衣室、事務所、休憩室を兼ねた1坪にも満たないスペースで全ての内容を詰め込んでいる店もあるが、決局はキッチンの片隅が休憩室になるなど環境や衛生的にもよくない計画をしてはならないことを忘れてはならい。
つまりいかなる業種・業態の飲食店のキッチン計画においても共通するポイントは、キッチンの細部内容やオペレーションとの関係性など具体的の理解を深めることが大切であり、常にゲストの期待感や好奇心を喚起する演出構成をどのように計画に反映できるかが、厨房計画の善し悪しを左右するポイントになることを忘れてはならない。