厨房設計厨房施設計画のあり方排水方式と床仕様
飲食店の厨房計画を進める際に注意しておかなければならないことは、厨房内床、壁天井に関わる仕様や具体的詳細への配慮であろう。
特に厨房の床は営業終了時には、飛び散った油や食材類で汚れがひどく、清掃や衛生管理への配慮が必要不可欠になることだ。
いわば厨房設計とはただ単に厨房機器を効率的に配置するだけではなく、その周辺を取り巻く環境にも十分に配慮し、内装や設備施工側との打ち合わせや調整があることをわすれてはならない。
勿論、クライアント側の承認やりかいがないかぎり、仕事の範疇外の内容に要望や依頼をすることは、厨房の仕事としては範疇ではないと思うひとも多々いるだろうが、厨房を使用するのは厨房スタッフであり、厨房設計や内装施工者ではないことを理解しておかなければならない。
基本的に厨房内の床清掃や衛生管理を配慮すれば、どのように清掃や衛生管理を実践すればよいのかなど厨房スタッフにとっては、非常に現実的かつ深刻な問題であろう。
つまり厨房内は清掃しやすく衛生管理を維持できる環境になっていることが理想的であり、その施設そのものがオペレーションに支障をきたすものであってはならないことを理解しなければならない。
まず厨房内の排水方式としては、例えば側溝方式とマス方式シンダー内配管の大きく2つの排水方法があるものの、一般的には側溝方式による排水方式が多く、「よし悪し」という問題は付きまとってくることだ。
理想的にはマス方式のほうがオペレーションや閉店後の清掃、衛生管理を配慮すればよいだろう。
また厨房内の床の仕様はシンダーの上にタイル、ケミクリート、カラクリートの仕上げをすることが理想的であるが、現実にはシンダー打ち放しの施工が多く、油や汚れが長い時間が経過すると染み込んでしまうという結果になってしまう。
勿論、理想をいえばきりがないにしろ厨房で働くスタッフの労力的負担になっては何の意味のないことであり、あるべき姿へ設計思想を変えていく必要があるだろう。
しかし現実的な施設計画の問題点をするでもなく、細部内容を説明するまでもなく粛々と業務を進めていってしまうという姿勢は建築業界に寝ずいている大きな課題でもあることだ。
本来であれば、厨房内の清掃方法を確認するなどの確認があってもしかるべきであるものの、平然と業務を進めてしまう体質にも問題はあるだろう。