最近トシキくんとあまり会えていない。
毎週のように会っていた先月までが異常なだけで、これが普通といえば普通なのかもしれないが。感覚として、全然会えていないのだ。

俺は次にトシキくんとふたりで会えたタイミングで、彼に告白しようと思っている。
ただ、今はタイミングが悪い。トシキくんの仕事が忙しいのだ。

平日は夜遅くまで仕事、休日出勤もしている。遊びの誘いはおろか、ご飯の誘いすら憚られる。
(一度誘って断られた際にこの状況を知り、また断られるのが怖くて誘えない状況、というのが実際のところなのだが)
近々会う予定はあれど、複数人で遊ぶ予定のため、その日に告白はできないだろう。

俺は今、言いようのないような焦燥感に襲われている。
そうこうしているうちに、彼が別の人に恋をしてしまうのではないか、手遅れになるのではないか、と。

彼はSNSをほとんど更新しない。どこで何をしていたか、直接聞く以外に知る術はない。
彼とのLINEのやり取りで出てきたちょっとしたワードを種に、悪い方向へ悪い方向へと妄想が膨らむ。

もともと叶わぬ恋と思っていたのだ。振られる分には覚悟ができている。
ただ、想いを伝えることすらできなくなってしまったら、それは振られることよりも苦しい。

「彼と付き合いたい」という気持ちよりも、「彼に想いを伝えたい」という気持ちの方が強い現状。目的と手段が逆転している。
これも結局、「自分が楽になりたい」からだ。トオルくんに別れを告げたときから何も進歩していない。

だからこそ、落ち着かなくては。
急いては事を仕損じるというではないか。
襲い来る焦燥感も、実体のない不安も、溢れる想いも、すべて一度押し込めよう。
また後悔しないように。せめて少しでも明るい未来を迎えられるように。