こちらは、運玉森の中腹域に
ひっそりと湧き出ているカー(井泉)です。
西原町のHPによると、その昔、
古波津爾也(こはつにや)という男が、
こちらの井泉を自分の烏帽子(えぼし)で覆い、
農耕に用いたことにちなんで、
村人が「エボシガワ」と
称するようになったそうです。
『琉球国由来記』では、我謝にある聖地として「エボシガワノ嶽」(神名:君ガ御水主ガ御水ノ御イベ)と記されていて、王府時代には最高祭司である聞得大君らによって、毎年2、3月に祭祀が行われる程の場所だったそうです。
ということは、
斎場御嶽レベルの祭事場だった
ということでしょうね。すごいです!
というのも、こちらの井泉にも、
羽衣伝説が残っているからだそうです。
こちらの場合の伝承によると、
先ほどの古波津氏が天女との間に、
一男一女をもうけたそうです。
しかしある日、羽衣を発見した天女は、
その二人の子供を抱え、
ともに天に舞って行ったそうです。
例えば、
宜野湾市大山の森川公園などの伝説では、
子ども達はおいてけぼりで、
天へ召される話がほとんどですが、
ともに昇天するあたり、こちらの天女には
何となく強い母性を感じます。
そのため、それ以来
こちらの井泉を御獄として厚く祀り、
信仰の対象にされてきたそうです。
今となっては、ゆったりと時間が流れる
農村風景が残っていますが、
嫋やかなエネルギーが漂っていることは確かです。
おそらく、天女の名残なのでしょう。
人や動物、植物などと言った、
あらゆるものをツュクイムジュクイ(育てる)する
ための「懐の深さ」を感じる場所です。
とても居心地のいいところですね。