テニスレッスンから帰宅したら、ナダルがメディカルタイムアウトで試合コートを離れていた。
何が起きたの?なぜ妻は泣いているの?
どうやら足を故障したらしい。
でも、彼は試合を棄権しなかった。(相手にとってはやりにくいだろうが)
泳ぎ続けるネズミだ。3日間闘い続ける老人だ。
その姿は、自分に向けられたメッセージだと思った。病気に負けるのは簡単だよ、やめると言うのはいつでもできるよ、でも、まだできることがあるんじゃないの?希望はあるんじゃないの?
ナダルの3セット目の試合は、フィジカルの衰えたベテランがどういう試合をしたらいいのか、教えてもらっているようだった。
走れない、追いつけない、踏み込めない、
でも、ラケットにボールを当てることはできる、ラケットにボールが当たったら、そのボールをコントロールして相手のオープンコートに入れることは可能だ。
走ってボールに追いついても、体勢が崩れてラケットを振り切る余裕が無いのなら、ラケットを下げて低く角度をつけて打ち返すことは可能だ。
サービスゲームでは、配球を考えて自分の立ち位置にリターンを打たせることも可能だ。
ナダルの体はもう限界なのかもしれない。でも、私たちに生きる勇気を闘う勇気をくれる。