『竹内眞記雄の福音書』
――日本に生まれ、世界を歩き、愛鷹山へ還った男
第八十三回 安全のためなら自由を奪ってよいのか――犯罪を恐れて門を閉ざした町で、マキが「守るための規則が、人を閉じ込めることもある」と知った日
朝。
道。
平ら。
遠く。
壁。
見える。
高い。
厚い。
町。
一つ。
城壁。
囲む。
門
大きい。
兵。
四人。
旅人。
止める。
「武器を預けろ。」
シモン。
剣。
見る。
嫌。
顔。
する。
「なぜ。」
兵。
「規則だ。」
シモン。
「誰が決めた。」
「町長。」
マキ。
「預けましょう。」
シモン。
「簡単に言うな。」
マタイ。
「入らないなら持っていられるぞ。」
シモン。
睨む。
でも。
剣。
渡す。
次
兵。
「名前。」
マキ。
「マキ。」
「出身。」
「日本。」
兵。
止まる。
「どこだ。」
「遠いです。」
帳面。
書く。
マタイ。
シモン。
同じ。
さらに
「夜の外出は禁止。」
「日没前に宿へ入れ。」
「門は夕方閉める。」
「翌朝まで開かない。」
シモン。
「病人が出たら。」
兵。
「町の中の者が対応する。」
「外の医者が必要なら。」
「朝まで待つ。」
マキ。
その。
言葉。
少し。
引っかかる。
町の中
静か。
驚く。
ほど。
静か。
店。
並ぶ。
道。
広い。
ゴミ。
少ない。
兵。
歩く。
人。
争わない。
盗み。
見えない。
シモン
「悪くないじゃないか。」
マタイ。
「確かに安全そうだ。」
マキ。
「そうですね。」
宿
主人。
名。
ハディル。
旅人。
三人。
部屋。
案内。
マキ。
「この町は安全ですね。」
ハディル。
「昔は違った。」
昔
盗賊。
夜。
入る。
店。
襲う。
女。
連れ去る。
商人。
殺される。
子。
行方。
分からない。
そこで
町長。
名。
マルコス。
壁。
高く。
する。
門。
閉める。
夜。
外出。
禁止。
旅人。
記録。
武器。
預ける。
兵。
増やす。
結果
盗み。
減る。
殺人。
減る。
夜。
騒ぎ。
ほぼ。
なくなる。
ハディル
「安全になった。」
「だから皆、最初は喜んだ。」
マキ。
「最初は?」
ハディル。
黙る。
夕方
鐘。
鳴る。
店。
閉じる。
人。
急ぐ。
兵。
叫ぶ。
「日没まであと半刻!」
子。
走る。
老人。
杖。
急ぐ。
女
一人。
市場。
端。
荷物。
片付ける。
名。
サラヤ。
三十五。
くらい。
マキ。
荷。
手伝う。
サラヤ
「早く。」
「門が閉まる。」
マキ。
「どこへ行くのですか。」
「妹が外の村にいる。」
「毎日?」
「本当は。」
少し。
間。
「でも、最近行けない。」
なぜ
妹。
病気。
町。
外。
二里。
夕方。
仕事。
終わる。
その後。
行こう。
すると。
門。
閉まる。
朝。
行く。
と。
仕事。
遅れる。
だから。
会えない。
サラヤ
「安全になりました。」
少し。
間。
「でも。」
「守られているのか。」
「閉じ込められているのか。」
「分からなくなる時があります。」
マキ。
止まる。
昨日。
ナイラ。
同じ。
言葉。
守られているのか。
閉じ込められているのか。
夜
鐘。
鳴る。
道。
空。
兵。
巡回。
三人。
宿。
中。
外
声。
する。
「助けて!」
マキ。
立つ。
窓。
開ける。
男。
一人。
走る。
「妻が!」
兵。
止める。
「家へ戻れ!」
男。
「妻が血を流している!」
出産
予定。
より。
早い。
助産師。
町。
中。
でも。
必要。
薬草。
外。
村。
ある。
さらに。
経験。
ある。
産婆。
外。
住む。
男
「門を開けてくれ!」
兵。
「規則だ!」
「妻が死ぬかもしれない!」
「朝まで待て!」
シモン
立つ。
「待てるか!」
宿。
出る。
兵。
槍。
向ける。
「夜間外出は禁止!」
シモン。
「知るか!」
マキ。
追う。
兵
「戻れ!」
シモン。
「人が死にそうなんだぞ!」
マキ。
間。
入る。
「責任者を呼んでください。」
兵。
「夜だ。」
「では、あなたが判断できますか。」
兵。
止まる。
「規則に例外はない。」