■ 解決策4――住宅価格を上げることを景気対策と考えない

不動産価格が上がれば、

資産を持つ人は豊かになる。

しかし、

これから買う若者にとっては逆である。

だから住宅政策では、

「地価が上がった。」

「マンション価格が上がった。」

だけを成功と考えてはいけない。

必要なのは、

所得に対する住宅価格

である。

私は、

「住宅取得年数」

という指標を公表すべきだと思う。

平均的な若年世帯の可処分所得の何年分で、

標準住宅を取得できるのか。

これが下がれば、

住宅は買いやすくなった。

上がれば、

遠くなった。

非常に分かりやすい。


■ 解決策5――教育費に「予測可能性」を与える

子どもが生まれた瞬間、

大学までの請求書が見えるわけではない。

だから怖い。

そこで国が、

年収別。

子どもの人数別。

公立。

私立。

大学。

について、

「教育費家計予報」

を毎年出す。

さらに、

一定所得までの家庭については、

高校・大学教育費の自己負担上限を明確にする。

「大学へ進学したら家計が破綻するかもしれない」

という恐怖を減らす。

親は無料だから安心するのではない。

最大いくら必要か分かるから安心するのである。


■ 解決策6――子育て支援の「崖」をなくす

年収499万円。

支援あり。

501万円。

突然支援なし。

こういう制度はよくない。

所得が増えるほど、

支援をなだらかに減らす。

100。

90。

80。

70。

とする。

崖を坂にする。

すると、

「昇給したら損した。」

という現象を防げる。

努力して所得を増やすほど暮らしが良くなる。

当たり前の制度へ戻す。


■ 解決策7――「子育てで収入が落ちる」をなくす

児童手当を増やしても、

出産後に年収が100万円下がったら弱い。

だから、

育児休業。

時短勤務。

在宅勤務。

看護休暇。

男性育休。

を一体で考える。

親が、

子どもを持っても職業人生を失わない

制度にする。

特に父親の育児を、

「手伝う」

ではなく、

普通の責任にする。

母親一人へ、

家事。

育児。

仕事。

を集中させれば、

第二子をためらうのは当然である。


■ 解決策8――老後不安を減らす

子育て世代が貯金する理由は、

教育費だけではない。

自分たちの老後もある。

だから、

年金見込み。

医療負担。

介護負担。

を分かりやすく示す。

「老後に3000万円必要かもしれない。」

という無限の不安ではなく、

「あなたの場合はこの程度備えればよい」

と家計予報を出す。

そうすれば、

教育費。

住宅。

現在の消費。

へ使えるお金も見えてくる。


■ 解決策9――「緊急予備費」を持てる中間層を作る

本当の豊かさとは、

毎月の収支がゼロになることではない。

エアコンが壊れた。

10万円。

車を修理した。

20万円。

急病。

引っ越し。

親の介護。

そんなとき、

生活が壊れないことだ。

私はこれを、

「家計耐震力」

と呼びたい。

政府は、

所得だけでなく、

「3か月分、6か月分の生活費を緊急資金として持てる世帯が何%いるか」

を測る。

普通の暮らしとは、

平時に食べられることだけではない。

揺れても倒れないこと

なのである。


■ 解決策10――企業利益を中間層へ流す

企業が儲かる。

悪いことではない。

企業が儲からなければ、

賃金。

設備投資。

研究開発。

雇用。

は増えない。

しかし利益が、

株主。

内部留保。

経営者。

だけで止まれば、

国内消費へ循環しない。

利益が増えた企業には、

基本給。

人材教育。

国内設備投資。

下請け価格。

へ還元するほど税制上有利になる仕組みを強くする。

企業利益を奪うのではない。

企業利益に水路を付ける。

この考え方である。


■ 解決策11――「生活必需費」を下げるという発想を持つ

豊かになる方法は、

給料を増やすことだけではない。

例えば、

手取り30万円。

生活費25万円。

残り5万円。

これを、

手取り32万円にする。

一つの方法である。

しかし、

生活費を23万円へ下げる。

これも結果は同じ。

だから、

住宅。

電気。

ガス。

通信。

教育。

医療。

交通。

について、

「生活の基本料金」

を下げる政策を進める。

私は、

「年収を上げる政治」

と同時に、

「生きる値段を下げる政治」

が必要だと思う。


■ 解決策12――人生全体を一枚の家計表にする

政府の制度は縦割りである。

住宅は国土交通省。

教育は文部科学省。

子育てはこども家庭庁。

年金、医療は厚生労働省。

税は財務省。

しかし国民の財布は一つしかない。

だから、

30歳から90歳まで、

所得。

住宅。

子ども。

教育。

税。

保険料。

年金。

医療。

を一枚に載せる、

「人生家計シミュレーター」

を国が作る。

そして、

「第二子を持つ。」

「住宅を買う。」

「賃貸のまま。」

「65歳で退職。」

などを選べる。

すると、

人生の選択が、

恐怖ではなく数字で考えられる。


■ 財源はどうするのか

ここを無視してはいけない。

全部無償。

全部給付。

全部減税。

では国家財政が持たない。

必要なのは、

「一番効くところへ集中する」

ことである。

複雑な補助金。

所得制限。

細かい給付。

税制特例。

を整理する。

住宅では既存ストックを使う。

空き家を使う。

教育は所得に応じて重点支援する。

社会保険では、

医療DX。

重複投薬。

予防。

高所得・高資産層を含む負担能力の精緻化。

などを進める。

そして、

恒久的な支援には恒久的な財源を付ける。

未来の若者へ借金を押し付けて、

今の若者を助けるだけでは、

世代を入れ替えただけだからである。


■ 「普通の暮らし国家」という目標

私は、

GDP700兆円。

株価7万円。

税収100兆円。

そういう目標だけではなく、

もっと生活に近い国家目標があってよいと思う。

例えば、

30代夫婦が、

住める。

子どもを持てる。

教育できる。

年に一度くらい旅行できる。

毎月少し貯金できる。

予想外の10万円にも耐えられる。

老後まで必要以上に怖がらなくてよい。

それを、

「普通の暮らし保障ライン」

として測る。

所得そのものを保証するという意味ではない。

普通に働けば、そのラインへ到達できる社会

を目指すのである。


■ 日本経済を本当に動かすのは、この層である

大富豪が一人、

1億円の車を買う。

もちろん経済にはプラスである。

しかし、

100万人の家庭が、

月1万円余計に使える。

こちらも巨大な力になる。

外食。

衣料。

旅行。

家電。

住宅。

教育。

文化。

全部へ広がる。

中間層が厚い国では、

消費の底が強い。

消費が強ければ、

企業も国内へ投資する。

雇用が増える。

税収も増える。

だから、

「普通の暮らし」を守ることは福祉だけではない。

成長政策でもある。


■ 成功者だけが家族を持てる社会にしてはいけない

年収1000万円。

資産5000万円。

高所得専門職。

そういう人だけが、

広い家を持ち、

二人、三人の子どもを育て、

十分な教育を与えられる。

もし社会がそこへ向かえば、

家族形成そのものが、

所得によるぜいたく品

になってしまう。

それではいけない。

子どもを持つかどうかは、

本人が決める。

しかし、

「年収が足りないから諦める」

という決断を減らすことは、

政治にできる。


■ 本当に取り戻したいもの

私は、

昭和の日本へ戻ろうとは思わない。

昔の価値観を復活させる必要もない。

取り戻したいのは、

もっと小さく、

もっと大切なものだ。

今日働いた。

給料が入った。

家賃を払った。

家族と食事した。

子どもに本を買った。

少し貯金した。

日曜日には休んだ。

来年も何とかなると思えた。

それだけである。

しかし、

この「それだけ」が、国家の一番大切な仕事ではないだろうか。


■ 最後に

普通に働く。

普通に住む。

好きな人と結婚する。

望むなら子どもを持つ。

育てる。

少し遊ぶ。

少し貯める。

老いる。

これは、

成功者だけに許された特別な人生であってはならない。

もちろん、

全員が同じ人生を歩く必要はない。

しかし、

望めば選べる社会であるべきだ。

私は、日本経済の最終目標は、

株価を上げることだけでも、

企業利益を増やすことだけでも、

税収を最高にすることでもないと思う。

その利益を、

暮らしまで通す。

そして、

「普通の人生を、普通の所得で選べる日本」

を作る。

これを私は、

「普通の暮らし再建」

と呼びたい。

家を買えることだけではない。

子どもを持てることだけでもない。

旅行へ行けることでもない。

本当の豊かさとは、

明日を必要以上に怖がらず、今日を生きられること

である。

日本から消えつつあるのは、

お金だけではない。

「真面目に働けば、少しずつ人生を作っていける」という信頼である。

政治が取り戻すべきなのは、

その信頼なのではないだろうか。 

 

この稿の中心は、**「昭和へ戻れ」ではなく「人生の選択肢を所得から解放する」**ことです。特に、住宅・教育・子育て・老後を別々の制度としてではなく、**一つの財布から出る「人生の固定費」**として扱ったところが政策提言として強い部分です。