株式投資の基礎講座
第16回 暴落の日の考え方――全部が下がる日に、自分を失わない
前回は、株価指数と個別株について学びました。
株価指数とは、市場全体の動きを見るための数字です。
一つの会社の株価ではなく、多くの会社の株価をまとめて、市場全体が上がっているのか、下がっているのかを見るものでした。
日本では、よく聞く株価指数に、
日経平均株価。
TOPIX。
があります。
日経平均株価は、日本を代表する225銘柄をもとに計算される指数です。
TOPIXは、東京証券取引所の主要な市場に上場している多くの銘柄をもとにした指数です。
前回の大切な教えはこうでした。
個別株だけを見るな。
市場全体の風向きを見よ。
その下げが会社の問題なのか、市場全体の問題なのかを分けよ。
株は、一つ一つの会社だけで動いているわけではありません。
市場全体の流れにも大きく影響されます。
日経平均が大きく下がる。
TOPIXが弱い。
米国株が下がる。
金利が上がる。
円高や円安が急に進む。
世界的な不安が出る。
こういう時は、良い会社の株でも下がることがあります。
前回の合言葉はこうでした。
個別株だけを見るな。市場全体の風向きを見よ。
株価指数は、市場全体の体温計である。
自分の株だけが悪いのか、市場全体が悪いのかを分けよ。
市場全体の下げで慌てて投げるな。
個別悪材料を市場全体のせいにするな。
市場、業種、個別材料の三段階で見よ。
一行で下げの理由を分けられないなら、急いで売買するな。
今回の第16回では、市場全体が大きく下がる日について学びます。
それは、
暴落の日
です。
暴落とは、株価が大きく下がることです。
日経平均が大きく下がる。
TOPIXも下がる。
多くの業種が下がる。
持っている株が全部赤くなる。
ニュースが不安をあおる。
SNSが騒がしくなる。
証券口座を見るのが怖くなる。
こういう日があります。
初心者は、暴落の日に心を失いやすいです。
全部売った方がいいのか。
もう終わりなのか。
もっと下がるのか。
今こそ買い場なのか。
損切りすべきなのか。
ナンピンすべきなのか。
何もしない方がいいのか。
頭の中が混乱します。
今日の結論を先に言います。
暴落の日は、勝とうとする日ではない。
まず、自分と資金を守る日である。
1 暴落とは何か
暴落とは、株価が短い時間で大きく下がることです。
一つの株だけが下がる場合もあります。
しかし、ここで扱う暴落は、市場全体が大きく下がる場面です。
日経平均が大きく下がる。
TOPIXも下がる。
米国株も下がる。
多くの業種が下がる。
良い株も悪い株も売られる。
こういう時、個別の会社の良し悪しだけでは説明できません。
市場全体に不安が広がっています。
金利。
為替。
景気不安。
戦争や地政学リスク。
金融不安。
政策変更。
大きな海外市場の下落。
急に利益確定が広がる動き。
原因はいろいろあります。
しかし、初心者が最初に覚えることは一つです。
暴落の日は、普通の日とは違う。
普通の日と同じ感覚で売買してはいけません。
2 暴落の日に初心者がやりがちなこと
暴落の日、初心者は大きく心が揺れます。
そして、やってはいけないことをしやすくなります。
怖くなって全部売る。
理由を見ずに投げる。
安くなったと思ってすぐ買う。
損を取り返そうとして大きく買う。
ナンピンを重ねる。
証券口座を何度も見る。
SNSの言葉でさらに不安になる。
ニュースの見出しだけで判断する。
一行メモを書かずに注文する。
暴落の日は、判断力が落ちます。
普段ならできる確認も、できなくなります。
普段なら守れるルールも、破りやすくなります。
だから、暴落の日ほど、手順が必要です。
感情で動かないために、見る順番を決めておくのです。
3 暴落の日は、まず深呼吸する
暴落の日に、最初にすることは売買ではありません。
まず、深呼吸です。
水を飲む。
半拍置く。
画面から少し目を離す。
今すぐ注文しない。
一行を書く準備をする。
これが最初です。
初心者は、暴落の日にすぐ答えを出そうとします。
売るのか。
買うのか。
逃げるのか。
耐えるのか。
しかし、焦った時の答えは、間違いやすいです。
暴落の日は、心が市場に引っ張られています。
画面の赤い数字に、自分の心が奪われています。
だから、まず心を戻します。
迷ったら、水。
焦ったら、半拍。
これは投資でも使えます。
4 暴落の日は四つに分ける
暴落の日は、すぐ売買を決めません。
まず、四つに分けます。
売るもの。
持つもの。
買わないもの。
現金で守るもの。
この四つです。
売るものとは、買った理由が崩れている株です。
市場全体の下げだけではなく、その会社の決算や見通しも悪い。
配当目的なのに減配した。
成長目的なのに成長が止まった。
短期目的なのに支持線を大きく割った。
買った理由を一行で書けなくなった。
こういう株です。
持つものとは、買った理由がまだ残っている株です。
市場全体に巻き込まれて下がっているが、会社の理由は崩れていない。
配当も続いている。
成長も大きく崩れていない。
決算も悪くない。
長期目的で、最初から下落も想定していた。
こういう株です。
買わないものとは、安く見えるだけで理由がない株です。
大きく下がったから安い。
前より安いから買いたい。
有名企業だから大丈夫そう。
SNSで買い場と言われている。
でも、自分では理由を書けない。
こういう株です。
現金で守るものとは、次の一手のために残す資金です。
全部買わない。
全部使わない。
下落の日ほど余力を残す。
買うとしても小さくする。
次の日以降も見られるようにする。
暴落の日は、この四つに分けます。
5 暴落の日に全部売る必要はない
暴落の日に、全部売る必要はありません。
もちろん、売るべきものはあります。
買った理由が崩れた株。
損切り条件に達した株。
資金管理を壊している株。
自分の心を大きく壊している株。
こういうものは、見直す必要があります。
しかし、市場全体が下がっているだけで、全部売るとは限りません。
良い会社も売られる日があります。
配当も成長も大きく崩れていないのに、市場全体の不安で下がることがあります。
その時、慌てて全部売ると、あとで戻った時に悔しくなります。
大切なのは、
全部売る
ではなく、
売るものを選ぶ
ことです。
暴落の日ほど、選別が大切です。
6 暴落の日にすぐ買う必要もない
反対に、暴落の日にすぐ買う必要もありません。
初心者は、急落を見るとこう思うことがあります。
安くなった。
買い場だ。
今買えば儲かる。
ここで買える人が勝つ。
怖い時こそ買うべきだ。
たしかに、暴落の日が後から見れば買い場だった、ということはあります。
しかし、その日に底が来るとは限りません。
明日も下がるかもしれません。
来週も下がるかもしれません。
もっと大きな不安が出るかもしれません。
まだ売りが出尽くしていないかもしれません。
暴落の日に買うなら、小さくです。
全部買わない。
一度に買わない。
買う理由を書く。
さらに下がった時の対応を書く。
現金を残す。
安くなったから買う、では足りません。
なぜ買うのか。
いくらまで下がったらどうするのか。
どの期間で見るのか。
何が崩れたら売るのか。
これを書けないなら、買わない方がよいです。
7 現金は暴落の日の命綱
暴落の日に大切なのは、現金です。
前回も学びました。
現金は、次の一手を残すための余白です。
暴落の日には、この意味がさらに大きくなります。
現金があると、心に余裕が残ります。
全部株に入っていると、下落を受け止めるだけになります。
買い増しもできない。
良い株が安くなっても買えない。
損切り後の立て直しも難しい。
ただ戻ってほしいと祈るだけになりやすい。
しかし、現金があれば違います。
今日は見送れる。
明日も確認できる。
さらに下がった時に考えられる。
良い株を少しずつ拾う余地がある。
無理なナンピンを避けられる。
現金は、暴落の日の命綱です。
何もしていないお金ではありません。
心と次の判断を守るお金です。
8 初心者の例 暴落の日に全部売ったAさん
ここで、初心者の例を出します。
Aさんは、いくつかの株を持っていました。
配当株。
成長株。
投資信託。
少額で買った練習用の個別株。
ある日、市場全体が大きく下がりました。
日経平均もTOPIXも大きく下落しました。
米国株も前日に大きく下げていました。
ニュースは不安な見出しばかりでした。
Aさんは証券口座を見ました。
持ち株が全部下がっています。
Aさんは怖くなりました。
もうだめだ。
もっと下がる。
全部売らないといけない。
今逃げないと大変なことになる。
そして、Aさんは全部売りました。
しかし、その後、市場は少しずつ落ち着きました。
売った株の中には、会社の業績が崩れていないものもありました。
配当も続いていました。
決算も悪くありませんでした。
市場全体の不安で下がっただけの株もありました。
Aさんは思いました。
売るものと持つものを分ければよかった。
ここで学ぶことがあります。
暴落の日に、全部を同じ扱いにしてはいけない。
9 初心者の例 暴落の日に全部買ったBさん
もう一つ、初心者の例を出します。
Bさんは、暴落の日を見て思いました。
これはチャンスだ。
安くなった。
ここで買えば勝てる。
みんなが怖がっている時こそ買いだ。
Bさんは、現金のほとんどを使って買いました。
最初は、うまく買えた気がしました。
しかし、翌日も市場は下がりました。
さらに次の日も下がりました。
Bさんは焦りました。
もう買う資金がありません。
追加で買うこともできません。
損切りするにも苦しい。
証券口座を見るたびに心が乱れます。
Bさんは思いました。
安いと思ったが、まだ下があった。
全部買わず、少しずつにすればよかった。
ここで学ぶことがあります。
暴落の日に、全部買う必要もない。
10 暴落の日は一日で答えを出さない
暴落の日は、一日で答えを出そうとしないことが大切です。
市場が大きく下がる日は、情報も感情も混乱しています。
朝と昼で雰囲気が変わることがあります。
午前と午後で流れが変わることがあります。
翌日になると、別の材料が出ることがあります。
海外市場の反応を見ないと分からないこともあります。
だから、暴落の日は、全部をその日に決めなくてよいです。
一部だけ整理する。
一部だけ残す。
新規買いは見送る。
現金を残す。
翌日もう一度見る。
こういう判断もあります。
暴落の日は、正解を一発で当てる日ではありません。
間違いを大きくしない日です。
11 暴落の日に見る順番
暴落の日は、見る順番を決めます。
一つ目。
市場全体を見る。
日経平均はどれくらい下がっているか。
TOPIXはどうか。
米国株はどうだったか。
為替は大きく動いているか。
二つ目。
業種を見る。
自分の持っている業種は全体的に売られているか。
半導体だけが弱いのか。
銀行だけが弱いのか。
全業種が弱いのか。
三つ目。
自分の株を見る。
買った理由は残っているか。
決算は崩れていないか。
配当は大丈夫か。
成長は続いているか。
損切り条件に達しているか。
四つ目。
資金を見る。
現金は残っているか。
入れすぎていないか。
買い増しできる余力はあるか。
これ以上買うと心が壊れないか。
五つ目。
自分の心を見る。
今、怖さで動こうとしていないか。
取り返したさで買おうとしていないか。
SNSの言葉で焦っていないか。
一行で理由を書けるか。
この順番です。
市場。
業種。
個別。
資金。
心。
暴落の日ほど、この順番が大切です。
12 暴落の日の一行メモ
暴落の日は、一行メモを書きます。
例です。
今日は市場全体の下げなので、全部を個別悪材料とは見ない。
この株は買った理由が残っているため、急いで売らずに確認する。
この株は決算で理由が崩れているため、暴落とは別に整理する。
今日は新規買いをせず、現金を残す。
買うとしても少額にし、さらに下がった時の余力を残す。
怖さで売ろうとしているため、半拍置く。
安くなっただけで買いたくなっているため、今日は見送る。
市場、業種、個別、資金、心を確認してから動く。
この一行が、暴落の日の自分を守ります。
暴落の日ほど、一行です。
13 暴落の日にニュースを見すぎない
暴落の日は、ニュースやSNSを見すぎないことも大切です。
情報を集めることは大切です。
しかし、見すぎると心が乱れます。
もう終わりだ。
歴史的暴落だ。
全部売れ。
今が買い場だ。
ここで買えない人は勝てない。
まだまだ下がる。
絶好のチャンスだ。
いろいろな言葉が飛び交います。
強い言葉ほど、心に刺さります。
しかし、あなたの資金を守るのは、SNSの言葉ではありません。
あなたの一行メモです。
あなたの売る条件です。
あなたの現金です。
あなたの分散です。
あなたの確認です。
暴落の日は、情報を見すぎず、必要な確認だけをします。
14 暴落の日の禁止事項
暴落の日には、初心者の禁止事項があります。
一つ目。
理由なく全部売らない。
二つ目。
安いだけで全部買わない。
三つ目。
損を取り返そうとして大きく買わない。
四つ目。
祈りのナンピンをしない。
五つ目。
SNSの言葉だけで動かない。
六つ目。
現金を全部使わない。
七つ目。
一行メモなしで注文しない。
暴落の日は、普段よりも感情が強くなります。
だから、禁止事項を先に決めておきます。
守ることを先に決める。
それが、暴落の日の防御です。
15 光明のひかりで暴落の日を見る
暴落の日を見る時も、光明のひかりの型は使えます。
迷ったら、水。
焦ったら、半拍。
崩れたら、一行。
止まったら、一手。
失敗したら、戻る。
市場全体が大きく下がって、怖くなった。
その時、水。
全部売りたくなった。
その時、半拍。
全部買いたくなった。
その時も、半拍。
何をすればよいか分からない。
その時、一行。
これは市場全体の下げか。
業種全体の下げか。
個別悪材料か。
売るものは何か。
持つものは何か。
買わないものは何か。
現金は残っているか。
心は焦っていないか。
これを書く。
それが一手です。
暴落の日に失敗した。
その時、戻る。
理由なく全部売らなかったか。
安いだけで全部買わなかったか。
現金を残していたか。
SNSで焦らなかったか。
売るものと持つものを分けたか。
一行で理由を書いたか。
これを記録します。
暴落の日も、恐怖ではなく確認に変えます。
今日からやること
今日から、暴落の日のための一枚メモを作ります。
そこに、次の七つを書きます。
一つ目。
暴落の日は、まず水を飲む。
二つ目。
すぐ注文しない。
三つ目。
市場、業種、個別を見る。
四つ目。
売るもの、持つもの、買わないもの、現金で守るものに分ける。
五つ目。
現金を全部使わない。
六つ目。
SNSを見すぎない。
七つ目。
一行で理由を書けない注文は出さない。
これだけでも、暴落の日の自分を守れます。
暴落の日は、特別な日です。
普通の日の感覚で動かないことです。
今日のまとめ
暴落とは、市場全体が大きく下がることです。
日経平均が下がる。
TOPIXが下がる。
米国株も下がる。
多くの業種が下がる。
良い株も悪い株も売られる。
こういう日があります。
暴落の日は、初心者の心が大きく揺れます。
怖くなって全部売りたくなる。
安くなったと思って全部買いたくなる。
損を取り返そうとする。
SNSの言葉に動かされる。
現金を全部使ってしまう。
これは危険です。
暴落の日は、勝とうとする日ではありません。
まず、自分と資金を守る日です。
売るもの。
持つもの。
買わないもの。
現金で守るもの。
この四つに分けます。
市場、業種、個別、資金、心。
この順番で見ます。
暴落の日ほど、一行です。
今日の合言葉。
暴落の日は、勝とうとするな。まず守れ。
全部売るな。売るものを選べ。
全部買うな。現金を残せ。
安いだけで買うな。理由を書け。
市場、業種、個別、資金、心の順に見よ。
SNSより、一行メモを信じよ。
暴落の日ほど、水、半拍、一行で戻れ。
次回は、
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