こんにちは。歯科衛生士の原口です。
皆様方におかれましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、
不要不急の外出を控えるなどの取り組み、
ご自身の身の安全を守るため手洗い・うがい・マスク着用など、
新しい生活様式にそった日々をお過ごしの事と思います。
当院でも、診療時間の短縮・スタッフの勤務7割制限など、
メインテナンス中や症状の落ち着いている患者さんには、
予約の延期や変更をしていただき大変ご迷惑をおかけしました。
予約を延期した患者さんの中には、歯周病のリスクを抱えている方もおられます。
プロによるお手入れが先送りになったことにより、リスク部が炎症を起こして、
腫れや痛みが出てしまった方もいました。
今回は、東京歯科大学の奥田克爾名誉教授の「歯科医療がコロナ感染予防に」という記事を読み、
改めてお口の中を清潔にすることやプロによるお手入れが、健康につながること。
またお口の中が汚れていると「歯原性菌血症」になり、
全身疾患のリスクが高まることについて触れたいと思います。
うがいは感染予防のため必要ですが、それ以上に日々の歯磨きがとても大切なのです。
お口の中に沢山の歯垢が残ることで、むし歯菌や歯周病菌などの口腔内細菌が増えます。
歯ブラシで歯を磨き歯垢を取り除くのはもちろんですが、歯と歯の間のお手入れも重要です。
むし歯や歯周病を放置しておくと、そこから細菌が入り込み全身へ巡ります。
お口の中の細菌(むし歯菌や歯周病菌)が、
お口の中の傷口から血管内に侵入する現象を歯原性菌血症と言います。
このお口の中の細菌は、変化し血管の内膜に、
お粥のような柔らかい沈着物となって溜まっていき、
内膜はどんどん厚くなります。
歯原性菌血症が(アテローム動脈硬化をおこし) 血管の内側にこびりつき、
内側を厚くし、血液の流れるところが狭くなります。
ひいては、動脈硬化・心臓血管疾患・糖尿病・肥満・骨粗しょう症・
脳血管疾患・高脂血症などの原因となることが分かってきています。
また高齢者や寝たきりの方など、飲み込む力が低下していて、
お口の汚れがたまっている方には、誤嚥性肺炎が多くみられます。
健康な人であれば、気管支や肺に細菌が達しても身体の中の免疫機能により、
問題は起こりません。
しかし、歯原性菌血症などにより免疫力が低下していると、
肺炎のリスクが高まります。
歯科感染症があり、口の中の細菌が多い人はインフルエンザに罹りやすく
重症化しやすいという報告があります。
以上のことからお口の中が汚いままだとインフルエンザウイルスや
新型コロナウイルスなどに感染しやすく、重症化するおそれがあります。
新型コロナウイルスの感染予防にうがいのみならず、
しっかりしたブラッシングで免疫力の低下を防ぎ予防しましょう。
フロスや歯間ブラシを使用して、
一日一回は歯と歯の間の歯垢もキレイにスッキリ取りましょう♫
参考資料
「歯科医療がコロナ感染予防に 東京歯科大学 奥田克爾名誉教授が情報提供」
http://tdc-alumni.jp/wordpress/wp-content/gallery/20200400_kaimu_topics/20200421_JDN_prof_okuda.jpg
「一般社団法人 口腔除菌協会 歯原性菌血症について」
https://www.kenko-station.jp/disease/index.html「日本臨床歯周病学会/歯周病が全身に及ぼす影響」https://www.jacp.net/perio/effect/
参考図書
「歯周病と全身疾患 最新エビデンスに基づくコンセンサス」 特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会監修
「GPとDHのためのペリオドントロジー」 築山鉄平/宮本貴成 著