前回 『オーケストラと夢をかなえる音楽会~夢響 オーディション編』の続きです。
オーディション通過後、スタッフさんとのやり取りで「前日にオケのリハーサルがあるので都合はどうですか?」と聞かれ、もちろんオケをたくさん振れる機会になるので「ぜひ前日リハさせてください」と話していました。
今回、オーディションではグラズノフのサクソフォン協奏曲を演奏しました。私はこの曲が学生のころから大好きで、楽譜を買ってよく吹いていました。本番も同じ曲にしましたが、オーディションで演奏した最初の方だと何も盛り上がらないまま時間が終わってしまいます。せっかくプロオケとコンチェルトを演奏する機会ですから、結構難しくなりますがエンディングの2分半でかっこよく演奏することに決めました。(息子に「吹ける?」って聞いたら「いいよー」と返ってきましたので)
ところがスタッフさんから
「オーケストラとの共演を本番で味わっていただきたいと思いますので、リハーサルは行わず、共演は本番の1回のみとさせていただくことにいたしました」
という驚きの連絡がありました。うわぁ困ったな。でも他の皆さんも同じなら仕方がないです。
グラズノフの最後をやりたいことを伝えるとき、もしかしたら反対されるかもと思いました。すると
「テンポの起伏が激しくリハなしでは難しいので、二人で指揮・演奏している映像を送って欲しい。それを使って研究します。」
反対されなかった!ということですぐに動画を撮影しました。実は息子が吹奏楽コンクール、長野県遠征、ソロコンテストと毎週のように違う本番が入っていて、グラズノフのエンディングは全く練習できていませんでした。とりあえずソロコンの前日(夢響の1週間前)に1時間ほど指さらいをさせてすぐ撮影です。半分くらいしか吹けていない動画を送りました。絶対心配されているだろうなぁと。。
夢響の6日前は息子のソロコンテストでした。練習の甲斐あって、本番ではほぼノーミスで吹くことができ、自然な歌心もあって私も納得の演奏。親子で自信満々で審査結果を待ちました。するとまさかの「銅賞」(1年生で出場した前年は銀賞でした)。ここは金賞取って勢いつけて夢響に向かうつもりが、家族で落ち込む大ショック。
こうなったら夢響で凄い演奏をして、このモヤモヤを晴らすしかありません。ショックを少々引きずりながら、夢響に向けて準備をはじめました。残された時間はあと5日。
私は私で大変なことになりました。歌や楽器の人は藤岡幸夫さんがリハも本番も指揮しますが、私は本番だけしか指揮ができないのです。オケを振るのも初めてだし、この曲は弦楽合奏なのでいつも指揮している吹奏楽とは全然違うはず。そして自分で選んだ曲ながら、前述のようにグラズノフのエンディングはテンポがどんどん変化するので、それを本番の棒だけで指示・コントロールできるのか?さらにコンチェルトなので息子のソロとオケの息も合わせなければなりません。
その上、強い台風19号が発生し、本番の22日に九州直撃の予報とのこと。大舞台を前に大ピンチに見舞われました。
<つづく>