今回の定期演奏会で演奏する曲の「形式」のお話です。
ちょっと難しくてめんどくさいことを言ってるように見えるかもしれませんが、曲の構成を紐解くと全体像が見えてきます。ぼんやりと何となく取り組むよりは、力の入れ具合・抜き具合がわかってくるので、演奏の説得力が増してくると思います。
簡単な曲解説とあわせて書いてみます。
◇コンサート・マーチ「ミネルヴァ」(ヴァン・デル・ロースト)
マーチ形式。
イントロ/第1マーチ(短調)/第2マーチ(長調)/第1マーチの短い反復/間奏①(イントロのモチーフ)/トリオ/第3マーチ/トリオの再現(グランドマーチ)/終結部(イントロとブリッジをミックス)
いかにもヴァン・デル・ローストだなあと思わせる「マーキュリー」「アルセナール」同様に品のあるコンサート・マーチ。第1マーチがg molで第2マーチがB♭ durと並行調(同じ調号での転調)というのが面白いです。讃美歌のようなトリオ、中世の舞曲のような第3マーチと、アイデア豊富で個性的。課題曲マーチにもこんな曲があったらいいのに。。
◇エル・サロン・メヒコ(コープランド)
3部形式。
序奏(①軽快なイントロ、②トランペットのアドリブ風ソロ、③ファゴットによるメキシコ民謡、④おどけたハバネラ風リズム、弦楽器が歌うメロディ)/主部(Allegro vivace)/中間部(Moderato molto)/再現部
非常に長く、変化に富んだ序奏があり、この部分で曲の中で使われるテーマはほとんど登場します。
ようやくオーボエによる躍動感のあるメロディから主部が始まります。これは①の変化形ですね。
速いテンポのまま、我々ノアール団員を苦しめている変拍子の嵐(6/8、5/8、7/8、3/4と目まぐるしく拍子が変わります)の部分を経てfffで休止。静かでゆったりとした中間部に入ります。ここは夜の大草原のようなイメージでしょうか。
徐々にスピードを上げてエキサイトすると、第3の部分(再現部)に入ります。聴いた感じの軽快さとは信じがたいほど激しく複雑な変拍子で書かれており、全合奏による①を繰り返したあと唐突に曲を閉じます。
次回、ルロイ・アンダーソンとエルガー編に続きます。

