めまいにはいろいろな原因がありますが、現代だららこそ増えているめまいがあります。

まずひとつ目は、美容院脳卒中症候群です。正式な病名はスタンダール症候群と言います。検索をかけると2016年頃からネット上で話題になっていますが、このころからスマホ首(ストレートネック)も話題になっていました。実はこの二つの疾患は関連性の高い疾患で、スタンダール症候群は、一過性の脳の血流障害ですが、原因は椎骨動脈の一部が頭蓋骨と頸椎の間で圧迫されてしまうことで引き起こされてしまいます。

美容院では、シャンプーやトリートメントをしている時に仰向けの状態で首の角度が後ろに反らした位置でしばらくの間キープされ、圧迫された血管で血栓が作られたり、脳自体の血流量が減る事で脳から自律神経を通じて心拍数や血圧を上げる指令が出されたりと同時にいろいろな事が起こります。症状もめまいの他吐き気や頭痛、目の前が真っ暗になるブラックアウト現象で失神することもあります。

でも、症状が出る時と出ない時があります。それは、首凝りの度合いに関係します。そのため、ストレートネックの状態で首を後ろに反らすことで頸椎椎間関節の圧力が高くなってしまうのです。主に首の前や側面の筋肉が硬結状態であったり、筋肉の柔軟性が劣っていたりすると条件的に症状が出やすくなります。

 

昔々、中世のヨーロッパで大聖堂が建設され、天井にそれはそれは素晴らしい壁画が描かれました。それを観るため観光客が押し寄せたそうです。ところが、観光客の中には必ずと言って良いほど壁画を観ていた人の一部は気を失って倒れてしまいました。

ある時、有名な小説家が観光に訪れ、壁画を観ていると意識を失ってしまいました。呪われた壁画とも噂されていた様ですが、その方の専属医師が原因を突き止めました。その小説家の名前を病名につけスタンダール症候群と呼ばれるようになったそう。

また、その後、倒れた人の調査結果で、日常生活で読書などうつむいた姿勢を長時間している人に多いという結果が出ているそう。

 

正に現代病のスマホ首の人は要注意。という理由ですね。

 

では、どのようにすれば防ぐことができるのでしょうか。

 

原因がわかっているので、対策は容易と思われがちですが、ストレートネックの改善は時間がかかります。そもそも頸椎の配列は前彎(ぜんわん)と言って軽く後ろに反った状態が正しい位置になります。ところが、長年うつむいた姿勢でいた為、首の後ろの膜がその時間伸ばされ続けてきた結果、膜の範囲が広くなりその分可動域が増加したことで、首を前に倒し易くなっています。しかし、首の前や側面の筋肉はそこまで伸ばされていないため、特に変化がなく長年膜が伸ばされていません。結果、後ろと前の膜の広さが異なります。頸部の前屈と後屈の動きが異なります。見た目では正常な動きと思ってしまいますが、例えば、前側は伸縮性のない布切れを貼り、後ろ側には伸縮性のある薄いゴム板を貼ったとします。頚椎の関節は確かに動きますが、関節の圧力を考えるとどうでしょうか。

よって、ポイントは首の前や側面の筋膜をいかに広げるか。です。

すぐには広がりませんので、月日や年月をかけて広げていく必要があります。ストレッチが有効ですが、一回のストレッチの時間を最大でも2分から3分以内とする必要や、ストレッチ動作で関節の一部が折れ曲がる様な状態をキープし続けることは避け、滑らかなカーブを描くようなストレッチ動作でキープすることがとても大切です。ストレッチの時間が長すぎるとそれこそスタンダール症候群になってしまう可能性があります。十分に注意しながらストレッチを行なう事が必要です。また、柔軟性だけでは、頸椎の安定性が低下してしまうため、頸部周囲の筋力強化も必要です。そのため、闇雲にストレッチや筋トレをやれば良いという訳ではなく、しっかり専門家にみてもらう必要があります。

他にもストレスによって筋肉が縮まることがあったり、筋疲労で縮むことがあったりするため、場合によっては筋肉を緩める刺激を入れることが必要になることもあります。その様な時は鍼療法がとても効果的です。