こんにちは。

本日の話題は着床前検査(PGT-A)についてです。

私は7年ほど前から4年間日本産科婦人科学会のPGT-A委員会の委員長を務め、その後も委員の一人としてPGT-Aの臨床研究に深く関わってきました。

PGT-Aの適応のひとつが不育症(反復流産)ですが、少し気になっていることがありブログに書くことにしました。

何か分からないことがあると、調べる手立てとしては最も手っ取り早いのがウィキペディアです。専門領域に関してウィキペディアを見ることはないのですが、PGT-Aをウィキペディアで調べてみました。

すると、

・体外受精を行う際、受精卵が胚盤胞前後にまで発生が進んだ段階でその遺伝子や染色体を解析して診断をする

・診断結果に基づき、移植する胚を選別することで体外受精の着床率を上げることができる

・染色体異常を原因とする流産の回避が可能である

との記載があります。

間違ったことは書いていないのですが、最後の「染色体異常を原因とする流産の回避が可能である」については、もう少し解説が必要です。

「流産の回避が可能である」なら、何度も流産を繰り返して辛い思いをしている人は藁をもすがるように飛びつくかも知れません。しかし、PGT-Aはあくまでも不妊治療が必要な人に行う医療行為であり、すべての不育症患者さんが恩恵を被る訳ではないのです。また、不育症の原因には抗リン脂質抗体症候群や子宮因子、内分泌代謝因子などがあり、染色体の問題だけではないかも知れません。

体外受精をしなくても妊娠できる人がPGT-Aをするときに知っておいてほしいことや、ご自身にとって本当にPGT-Aが必要なのか、などの詳細をオフィシャルブログにアップしたので、興味のある方はぜひご覧ください。

 

竹下俊行オフィシャルブログ