去る8月6日、私は90歳を超えた両親の様子をうかがうため相模原の実家を訪れました。東京への帰路は小田急ロマンスカーを利用するつもりでしたが、待ち時間が長くなりそうだったので先に新宿に到着する快速急行に乗りました。その3号車に、あの小田急線刺傷事件の犯人が乗って来ようとは知る由もありませんでした。

 私はiPhoneの音楽でうとうととしていると、突然何十人もの乗客が猛然とダッシュしてきたのです。最初は何が起こったのか皆目見当が付かない状況でしたが、乗客の一人が「刃物を持った男が、、、」と叫んでいるのを聞き、反射的に集団に混ざって後方の車両めがけて逃げて行きました。車両と車両の間はボトルネック状態で、多くの乗客が押しかけすし詰め状態になり、通り抜けるのに時間がかかりました。犯人が追い付いて来るのではないかという恐怖に駆られながら、必死の思いで通り抜けて行きました。すると突然車両は急停車し、私を含めた乗客の塊は壁に叩き付けられました。最後尾の車両に辿り着くと、女性が「誰か医療関係者の方はいませんか!!」と大声で叫んでいたので、「私は医者ですが!!」と名乗り出ました。見ると血だらけの若い女性が横たわっているではありませんか!---------つづく