DeNAの社長が、創業者である南場智子氏から、守安功氏に代わるという発表があった。南場氏は代表権のない取締役に退くという。

理由として挙がっているのは、家族が病気療養中であり、看病を優先するために、代表取締役を務めることが困難になった、というもの。仕事か、家族か。これは、究極の選択だが、個人的には、英断、だと思う。

所謂ライフワークバランスが数年前から言われている。仕事と家族のどちらを優先させるか、バランスさせるか、統合させるか。誰もが直面する課題であり、個人やその家族の価値観によって、対処の仕方も異なり、難しいところだが、一般に、第一線で活躍しているビジネス―パーソンのバランシングは、客観的には、ハードワークだ(その人がどう思っているかは別として)。つまり、ワークの割合が著しく多い。

南場氏は、世界トップの経営コンサルティング会社であるマッキンゼーで死ぬほど仕事してきた人だから、DeNAでも同様に猛烈に仕事をしてきていて、家族と過ごす時間は極端に少なかったことだろう。勿論、少ない時間なりに、その密度は濃くするように取組んでいただろうが。

自分が彼女の状況にあったら、どのような決断をしただろうか?自分が創業した会社は、子供のようなものだろう。その会社は、2011年3月期で売上が前期比2.3倍と絶好調。国内で稼いだ利益を基に、さぁ、グローバル市場で覇権を握ろう、というタイミング。しかし、最愛の家族と過ごす時間が残り僅か、という状況にあったときに。

思い出されたのは、HBSクリステンセン教授の最後の授業の話。
「人生で一番大切なのは、家族や親友と深い絆を築き、幸せを共有すること」
というようなことを言っている。彼女がHBSに留学した時には、既にクリステンセンはHBSで教鞭を執っているが、当時そのような授業を彼がしていたのか、彼女がうけたのかは不明。しかし、先にも書いたように、個人的には、彼女は正しい決断をされたのだと思う。

仕事学のすすめ 2010年10・11月 世界を見据えたベンチャーマインド/人間力を高めるコーチ.../南場 智子

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