10000mをしっかり走るためには、スピードだけでは足りない。土台となる有酸素能力が必要になる。
たとえば、30キロ走を5キロ17分30秒ペースで走り切れるようになるには、いきなり30キロを走れるわけではない。
まず15キロ、20キロ、25キロと距離を積み上げていく必要がある。
その過程で、心肺機能、脚づくり、ペース感覚、後半粘る力が自然と鍛えられていく。
つまり、30キロ走を走り切れる時点で、身体の中にはすでに10000mを戦うための土台ができている。
そこに仕上げとして、1000m×5本のようなスピード練習を入れる。
有酸素の土台にスピードを乗せることで、10000mをただ完走するだけでなく、勝負できる走りに近づいていく。
30キロ走は、10000mのための遠回りではない。10000mを強く走るための、いちばん確かな土台づくりである。
5000mも同じ。ただし、10000mより「スピード寄り」になる。
5000mを走るためには、まず“10000mを走れる身体”が必要。
5000mは短く見える。でも実際は、かなり高い有酸素能力が必要な種目。
だから強い5000m選手ほど、「距離を踏める」「長く走れる」。
なぜか?
5000mは、最初から最後まで“かなり苦しいペース”を維持する競技だから。
その苦しさに耐えるには、
* 心肺
* 筋持久力
* エネルギー供給能力
* フォーム維持力
が必要になる。
つまり——
5000mを走るためにも、
* 15km
* 20km
* 25km
と積み上げ、「長く動き続けられる身体」を作る必要がある。
その土台があるから、5000mの速いペースでも後半落ちない。
そしてそこに、
* 1000m×5〜8
* 400mインターバル
* テンポ走
* LT走
などを入れて、″速い動き”を上乗せしていく。
イメージで言うと、
10000m=ディーゼルエンジン
5000m=スポーツカー
しかし——
スポーツカーも、エンジンが小さかったら最後まで走れない。
だから5000mでも、結局は「有酸素のデカさ」がモノを言う。
短い距離ほど、実は“土台”が必要。
世界の5000m選手が、 普通に30km走やロングジョグをやるのはそのため。
特に有名なのは、5000m・10000mの金メダリストだった Mo Farah のトレーニング。
彼の公開されている典型的な週間メニューでは、
* 週135マイル(約217km)
* 日曜に22〜27マイル(約35〜43km)のロングラン
を行っていたと紹介されている。
また、別の公開トレーニング例でも、
* 10〜12マイルのテンポ走
* 週100マイル超の走行距離
が示されている。
さらに、世界陸連(World Athletics)も、「
ロングランはエリートでも一般ランナーでも、長距離選手のトレーニングの中心」と説明。
科学的レビューでも、世界トップ長距離選手は「総走行距離の80%以上を低強度で行う」という特徴が共通していると報告されている。
つまり、
* 5000mだから短い
* 5000mだから距離はいらない
ではなく、
5000mを速く走れる選手ほど、巨大な有酸素エンジンを持っている。
その土台づくりとして、
* ロングラン
* 大きな走行距離
* 長いイージーラン
を積み上げている。
もちろん全員が「30km走」をそのままやるわけではない。
5000m専門選手なら、
* 20〜30kmのロングラン
* 90〜160km/週前後の走行距離
で組むことが多い。
そこに、
* LT
* インターバル
* レースペース
を乗せていく。
だから結局、
5000mは“スピード種目”に見えて、実はかなり“持久系”なのである。