ノヴォス・バイアーノス /
Acabou Chorare
 
 
 
 

ブラジルのロック系バンド、ノヴォス・バイアーノスは

今回紹介するこのアルバムがたいへんに大きな評価を受けているようですね。

MPB史上まちがいなく五指に入る名盤とか、

2007年にローリング・ストーン・ブラジル誌で

ブラジル史上の名盤ベスト100の1位に選ばれたとか。

 

ただ自分が聴くより先にそういう評判を耳にしてしまうと、

聴くことが義務のように感じられて重くなってしまい、

長くほったらかしにしておいたのですが、今回思い切って聴いてみると、

ありがたいことに素直に魅力的と感じられる曲揃いでした。

 

当初このバンドは60年代終わり頃のヒッピー的なコミューンから誕生したようで、

当時ブラジルの音楽的ムーブメントであったトロピカリア の影響を受け、

サイケロックとブラジルの音楽性が融合した演奏を目指していました。

同じ時期にカエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルが目指していた方向性と

ほぼ同じと思いますね。

 

ちなみにカエターノやジルベルトと同様、このバンドメンバーも

バイーア州出身が多いです。

ノヴォス・バイアーノス = 新しいバイーア人 というくらいですから。

 

70年に発表したデヴューアルバムはそんなわけで、サイケロックな演奏も

多い盤なのですが、アコースティックなサウンドを多く採り入れるようになったのが

72年の2ndアルバムになる本盤。

 

タイトルは "Acabou Chorare" で、収録曲名から採ったもの。

「涙がなくなった」という意味です。「涙も枯れ果てた」ではなくて、

もう泣くのは終わったというニュアンスかと。

 

本盤ではもはやサイケデリックな感じはあまりなく、曲によって

ロックっぽいですが、サンバやボサノヴァ色の強いアコースティック系MPB

といった曲が多いです。

 

全体的にこういう方向にもって行こうという意志的な明確さはあまりなく、

好きな音を好きなように採り入れているだけみたいなラフさがこのバンドにはあり、

それが(ヒッピーらしく?)良い感じで出ている印象がありますね。

 

 
 
 
ノヴォス・バイアーノス (Novos Baianos)
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ロックとブラジルの音楽性を融合させたブラジルのバンド。
 
同国 バイーア州  サルヴァドール  にて、モラエス・モレイラ、ルイス・ガルヴァォン、
パウリーニョ・ボカ・ヂ・カントール、ベイビー・コンスエロという、
バイーアをはじめとする北東部出身者が多い4人によって1968 or 9年頃結成された。
 
1969年 初シングル "De Vera / Colégio De Aplicação" を発表。
1970年 デヴューアルバム " É Ferro Na Boneca!     を発表。
 
彼らと共演していたペペウ・ゴメスの存在が重要になり、かれとベイビーの結婚を契機に
ペペウ・ゴメスがメンバーに加わる。
これと同じ頃にべべウの弟の、ドラマー&パーカッション奏者ジョルジーニョも参加。
ベベウが自身の所属していたバンドからベーシストのダヂを連れてくる。
 
1972年の、2ndアルバムになる本盤発表時のレコーディング・メンバーは
 
● モラエス・モレイラ
  (Moraes Moreira  バイーア州  出身 1947 - 2020)    ガットギター, ヴォーカル
 
 パウリーニョ・ボカ・ヂ・カントール
  (Paulinho Boca de Cantor マラニョン州 出身 1946 - )    ヴォーカル
 
 ベイビー・コンスエロ
  (Baby Consuelo リオデジャネイロ州  出身 1952 - )    
  ヴォーカル, パーカッション
 
 ペペウ・ゴメス
  (Pepeu Gomes  バイーア州  出身  1952 - )    
  エレクトリックギター, アコースティックギター
 
 ルイス・ガルヴァォン
  (Luiz Galvão  バイーア州  出身  1935 - )    作詞
 
 ダヂ
  (Dadi Carvalho リオデジャネイロ州  出身  1952 - )    ベース
 
 ジョルジーニョ (ベベウ・ゴメスの弟)
  (Jorginho Gomes  バイーア州  出身  1954 - )   
  ドラムス、パーカッション、カヴァキーニョ
 

 

 

 
 
Brasil Pandeiro
オープニング曲を書いたのはバンドメンバーではなく、
バイーア出身のアシス・ヴァレンテ (1911 - 58)
カルメン・ミランダ へ多くの楽曲を提供した古い作曲家。
かれの作品を選んだのはサイケロックからアコースティックな
音楽性へ関心が向かったことの現れでしょうか。
ベイビー・コンスエロとパウリーニョ・ボカ・ヂ・カントールの
デュエット。
 
 
 
 
 
Preta Pretinha
ここから後はモラエス・モレイラの書いた曲(9. 以外)で、
この曲のボーカルもモラエス。
穏やかなフォークポップといった感じで始まります。
ペペウ・ゴメスの弾く12弦のギター、クラヴィオーラの響きが印象的。
 
 
 
 
 
Mistério do Planeta
パウリーニョ・ボカ・ヂ・カントールのボーカル。
エレクトリックギターはペペウ・ゴメス。
 
 
 
 
A Menina Dança
アルバム発表当時の動画で。
ベイビー・コンスエロのボーカルです。
 
 
 
 
Besta é Tu
ボーカルはモラエス。
カヴァキーニョが鳴り続けるサンバな曲。
 
 
 
 
 
タイトルをクリックすれば曲を聴くことができます。
 
 1. Brasil Pandeiro  (Assis Valente )  3:55     
 2. Preta Pretinha  (Moraes Moreira, Galvão  )  6:37   
 3. Tinindo Trincando  (Moraes Moreira, Galvão)  3:24  
 4. Swing de Campo Grande  3:09    
      (Moraes Moreira, Paulinho Boca de Cantor, Galvão)  
 5. Acabou Chorare  (Moraes Moreira, Galvão)  4:13    
 6. Mistério do Planeta  (Moraes Moreira, Galvão)  3:37  
 7. A Menina Dança  (Moraes Moreira, Galvão)  3:52   
 8. Besta É Tu  (Pepeu Gomes, Moraes Moreira, Galvão)  4:24    
 9. Um Bilhete Pra Didi  (Jorginho Gomes)  2:52     
10. Preta Pretinha  (Moraes Moreira, Galvão)  3:22   
☆  YouTube  (全曲)  39分29秒
 
 
 
12-String Acoustic Guitar [Craviola  ], Acoustic Guitar – Pepeu Gomes
Electric Guitar – Pepeu Gomes
Acoustic Guitar – Moraes Moreira
Afoxé  , Triangle, Maracas – Baby Consuelo
Bass – Dadi
Cavaquinho – Jorginho Gomes
Bongos – Luís Bolacha
Bumbo  – Baixinho
Drums, Bongos – Baixinho, Jorginho Gomes
Pandeiro – Paulinho Boca De Cantor
Vocal – Baby Consuelo (1, 3, 7)
            Moraes Moreira (2, 5, 8, 10)
            Paulinho Boca De Cantor (1, 4, 6)
Backing Band: A Cor Do Som (9)
Arranged By – Moraes Moreira, Pepeu Gomes
 
Produtor: Eustáquio Sena  
Production ManagerJoão Araujo  
 
 
 
"Acabou Chorare" の詳細は → 
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