マリーザ・モンチ /
MM
それがいつしかMPBを歌うようになり、その歌唱が大物プロデューサー、ネルソン・モッタ (Nelson Motta) に認められ、彼のプロデュースによりこのデビュー・アルバム "MM" のリリースにいたったようです。1988年の発表です。
発表時21歳だから、2年で声楽家志望からMPBシンガー誕生の大変身ですね。
そんな変身が短期間にできたのも、マリーザの父親がエスコーラ・ジ・サンバ・ポルテーラのメンバー&役員だった関係で、幼少より黒人の庶民的な音楽であるサンバをはじめとする多くのブラジル大衆音楽に囲まれて育ったことが下地になっているからでしょう。体に染み込んでいたのですね。
それにしてもデヴュー盤がライヴ演奏とはめずらしいですね。歌唱力に自信がないとできないことだと思うし、さらに驚くのが選曲の多彩さです。
ルーツなサンバから米国の古いガーシュインの曲、R&Bのヒット曲、イタリアのヒット曲やオペラの挿入曲、ブラジリアン・ロック、ジャズのスタンダードにもなっているクルト・ワイルの名曲など、国やジャンルを選ばない幅広さがあります。
また、アルバムを聴くとわかるマリーザの、とても21歳の新人女性とは思えない激しく感情をぶつける歌唱。ルックスや年齢から想像して、お嬢さんタイプでいくのかと思ったら、そんなものは最初からかなぐり捨てています。
そんなわけで、規格外の大物感を漂わせた新人、マリーザ・モンチの音楽を楽しんでください。
マリーザ・モンチ (Marisa Monte)
Comida (Arnaldo Antunes/Sérgio Britto/Marcelo Frommer)
オープニングはブラジリアン・ロック・バンド、チタンスのレパートリー。
いきなりアヴァンギャルドな曲調からのスタートで、
「アイドルと思うな」と突っぱねたみたいに聴こえます。(笑)
Bem Que Se Quis (Pino Daniele)
ナポリ出身のイタリア人歌手ピーノ・ダニエレ ★ の曲。
激しい歌唱のあとのクラシカルな、端正な歌唱。
Preciso Me Encontrar 自分を探して (Candeia)
有名なカルトーラのレパートリーから。
やはりサンバを聴いて育ったからか、歌を聴いてもこなれているというか、
Negro Gato (Getúlio Cortes)
まるでロック・シンガーです。21歳女性のデヴュー盤とは思えない。(笑)
Lenda Das Sereias, Rainha Do Mar
(Dinoel/Vicente Mattos/Arlindo Velloso)
爽やかで上品さのあるサンバ。
激しい歌唱のあとに端正な曲をもってきてグッとさせるところは
確信犯的で、あざといです。(笑)
Vocals – Marisa Monte
Backing Vocals – Joana Motta, Letícia Monte, Suzana Ribeiro
Bass – Ronaldo Diamante
Cello – Jaques Morelenbaum
Drums – Edu Szajnbrum
Percussion – Marcos Suzano
Guitar – Paulinho Muylaert
Piano – Roberto Alves
Trumpet – Saulo Dansa
Viola – Marie Christine Bessler
Violin – Bernardo Bessler, Michel Bessler
Producer – Nelson Motta
(Arnaldo Baptista, Sérgio Dias Baptista, Rita Lee)
6. O Xote das Meninas (Zé Dantas/Luiz Gonzaga) ★ 4:02
(Dinoel/Vicente Mattos/Arlindo Velloso)
(Barrett Strong/Norman Whitfield)
(George Gershwin/Ira Gershwin/DuBose Heyward)
YouTube (全曲) ★