ナー・オゼッチ /
Balangandãs
今日はサンパウロの歌手ナー・オゼッチが2009年にリリースしたアルバム
"Balangandãs" から紹介します。
この歌手は本来この歌のように優雅で繊細な歌唱を持ち味とした、アーティスティックなタイプの歌手です。そんな彼女が "Thiago Franca" という2015年のアルバムではパッソ・トルトのアヴァンギャルドな演奏で歌うという大胆な冒険もしていたことがあり、驚いたことがありました。この曲などがそうです。
この歌手をさらに調べてみると、2009年にももう少し小さな冒険、というか挑戦をしていることに気づき、それが今回聴いていただく "Balangandãs" というアルバムになります。
というのも今回のアルバムは、この年に生誕100年周年を迎えたカルメン・ミランダのレパートリーを歌うことに挑んだアルバムだからです。
それの何が冒険・挑戦かというと、ナー・オゼッチという歌手は先述のとおり芸術家肌の歌手で、先の曲のような優雅でうっとりさせる歌唱が多いのに較べ、カルメン・ミランダは反対に30年代のカーニバル・サンバ的な、ワイワイ騒ぐような賑やかな曲を、とても早い口調で歌ってきた歌手です。
優雅に歌うナー・オゼッチとは一見個性が合わなさそうだし、彼女自身がそれをよく分かっている筈です。なので敢えてそんな合わなさそうな曲を、自分なりに料理してみようという意気込みのアルバムだと思いました。
ということで、ナー・オゼッチなりにアレンジしたカルメン・ミランダの曲は、どんなふうになっているか、聴いてください。
タイトル横の★は、カルメン・ミランダのヴァージョンです。
2009年リリース
ナー・オゼッチ (Ná Ozzetti)
Imperador do samba (Waldemar Silva) ★
レトロな響きのあるギターが歌をサポートしています。
ナーは巻き舌の発声こそしないものの、早口でも気品があり、
柔軟さを失わないカルメンの歌い方を、ある程度まで踏襲しています。
Disseram que eu voltei americanizada (Luiz Peixoto / Vicente Paiva) ★
つぶやきに近い歌い出しです。カルメンのようなカーニバル的な雰囲気は
出していません。バーやクラブでも合いそうな歌いかたにしています。
Tico-Tico no fuba (Zequinha Abreu / Aloysio de Oliveira) ★
1917年にショーロとして作曲されたものです。
これはカーニバル的ではないにせよ、歌も演奏もカルメンに近づいた
感じがあります。本来のショーロの雰囲気に近いかも。
Adeus batucada (Synval Silva) ★
しっとりとキュートな、ナーらしい歌唱です。
Ná Ozzetti - vocal
Dante Ozzetti – guitar
Mário Manga – guitarra portuguesa, cello, guitar tenor
Sérgio Reze – drums & gongos melodicos
Zé Alexandre Carvalho – contrabass
* part. Especial – Danilo Moraes – guitar tenor em “O samba e o tango”
1. Imperador do samba (Waldemar Silva) ★
9. Diz que tem (Vicente Paiva / Anibal Cruz) ★
(Harry Warren / M. Gordon / Aloysio de Oliveira)
YouTube (全曲) ★