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マリア・テレーザ・デ・ノローニャ(1918~1993)はポルトガルのファド歌手。ファドといえばアマリア・ロドリゲス があまりに有名で、ファドの代名詞のようにさえなっていますが、ノローニャは「アマリア・ロドリゲスの唯一の好敵手」といわれたほどの名歌手です。
 
彼女の特徴は、彼女の出自が14世紀に発する王家の血筋をひくという貴族の家に生まれた事もあってか、アマリア・ロドリゲスのような、場末の港町のクラブで歌うのが似合いそうなディープさではなく、もっとあっさり目なサラリとした哀感をただよわせ、清々した気品のある感じがします。「貴族ファド」とも言われたようです。
 
それでいて、これもやはりファドと言いたくなるような風情が、彼女の歌唱から感じられます。重さ、暗さではなく、ヨーロッパ的な華やかさも含んだ哀感があります。
 
また録音数も少なく、70歳代の末まで歌い続けたアマリア・ロドリゲスに較べると、50歳代の後半くらいであっさり歌手をやめてしまった彼女の執着心のなさは、やはり対照的です。
 
ということで、今日はマリア・テレーザ・デ・ノローニャの、後をひかない、気品あるあっさり目の叙情を味わってください。
 
 
Nosso fado
1972年に出たラスト・アルバム "Fad Antigoから冒頭の曲。
なおこの動画はアルバム全曲が入っています。
全曲でも、27分かからずに終わってしまうところが貴族的です? (笑)
冒頭の 'Nosso fad' は2分32秒で終わります。
 
 
Fado das Horas
気品の良さを感じさせるような歌唱です。

若手の人気ファド歌手カルミニーニョのバージョンも、ここ  にあります。

 
 
Rosa Enjeitada (Portekiz)
この歌手が歌うと、暗さや重さにならず、清冽さのある哀感になります。

 

 
Fado da Sina
彼女が歌っている動画を観れます。
ギターラ(ポルトガル・ギター)を Raul Nery、
クラシック・ギターを Joaquim do Vale が弾いています。
二人の共演はここ  にもあります。