松本隆宏著「アスリート人材」を読みました。自分自身のライフワーク(スポーツとビジネスは同じ、スポーツパーソンはビジネスで活躍出来る)と重なるテーマであり大変興味を持って最初の章からページを進めることが出来ました。そして大半のテーマが強く共感できる内容でした。

特に印象に残ったのは以下三点です。

1. 良き指導者から学ぶこと
スポーツ経験というのは単なる運動としてのみ捉えられるべきものではなくスポーツ活動を通じて培われた礼儀作法、人間性、スポーツマンシップなどを含めて全体的な能力として昇華させるべき。そしてそれらのことを日々教えてくれるのが監督でありコーチである。(中略)純粋な若者がいい指導者の教えを受け、成長していくと自分の能力やポテンシャルを肯定でき、社会に出てからもその能力を活かせる。

2. 場慣れしている強さに自ら気づく
スポーツに全力を投じてきた人ならわかるが試合本番やその前日には強いプレッシャーにさらされる。このような緊張感にさらされるケースは経験として非常に大きなものがある。それは社会に出てからも大きな力になる。なぜなら社会人になると多種多様な場面で緊張せざるを得ないケースが多々あるからである。

3. 挫折を知っている
成功体験と大きな挫折。それらの経験は社会人になってからの私(松本)にもしっかりと根づいている。両方を体験しているからこそ、あらゆる物事を一面的に考えるのではなく、多面的に見ることが出来るようになった。成功体験だけでなく挫折の経験を経て初めて人は次のステージへと向かえるようになる。成功と挫折、その両方が必要である。

引用を終わります。

その他も「理不尽」「目上を敬いと目下を慈しむ」「礼儀やマナーのスキルが高い」「あのときを繋げる」「地味なことを続けられる忍耐力」等勉強になるテーマが目白押しでした。
一方、一点大切な点が説明不足であったと考えます、それは「考える力を磨け」です。

以下引用します。

何事を為すのにも大事なのは“賢さ”だと思っている。(中略)本当に賢い人は「覚える力」だけが優れているのではなく、その場で臨機応変に「考える力」を備えている。「覚える力」と「考える力」は別物、私(松本)自身過去に能力開発などを学んだことでようやくそれを理解するようになった。(中略)社会に出てからは覚える力より考える力が重要、そして考える力は社会人になってからも身につけることが出来る。

引用を終わります。

上記の内容についても強く同感する一方、「考えるとはどういうことか?」を学び練習しないと「考えること」が出来ません。私も社会人最初のころ「もっとよく考えろ」と言われましたが「どう考えるとよいのか?」が分かりませんでした。しかし、2000年「問題解決手法」を学んだことでようやく「考えること」が理解出来、その「練習を繰り返すこと」で使えるようになり、そしてこの時初めて「ビジネスはスポーツと同じである」と腹落ち出来ました。

例えば「ラグビーのパスのやり方」があります。基本を教わり理解する必要がありますが学校の試験ではそれを「覚えて紙に書くこと」が出来れば〇です。一方、スポーツではそれでは×で実際に身体を動かしてパスが出来るようにならないといけません。「覚える」と「考える」は同様の違いがあり、ビジネスでも様々なフレームワーク・理論を知っていて紙に書けても無意味、今この場で当てはめて使えないと何の価値も無いのです。

筆者は資格からマインドセットまで幅広い勉強を社会人になってから取り組んだとのこと。私も「問題解決手法」だけが考える方法とは思いませんし自分に合った様々な方法を見つけ取組んでくれれば良いと考えます。


そしてアスリート人材が「考えることは取り組んできたスポーツと同じ」と結び付けることが出来れば、本書が主張する「飛び抜けた突破力と問題解決力で100%やり遂げる」ことに繋がると確信しており、この点が本テーマの最重要点と考えています。


著者松本さんとはいつの日か直接意見交換が出来ればと思います。
ありがとうございました。