出口治明著「還暦からの底力 歴史・人・旅に学ぶ生き方」を読みました、元気を頂いた本でした。本書は緊急事態宣言中に新聞に広告が出ており目にしていましたが手に取ることが出来ませんでした。しかし、一度は読んでおくべきと考え購入しました。

 

印象に残った点は以下の通りです。

 

・高齢者は次世代のために働くことに意味があり、次世代を健全に育成するように生かされていると考えるべきなのです。

・人間は一生働くのが自然の姿であり、実は働き続けることによってのみ健康寿命も延びるのです。

・人生100年とすると大人としての人生は80年あります。そう考えると20歳からスタートして半分の40年が経過した60歳はちょうど人生のど真ん中。人生100年時代の60歳は折り返し地点と位置付けられます。

・人生で大切なのは何と言ってもパートナーや気のおけない友人たちと過ごす時間であり、自分が好きなことをする時間です。(中略)小難しく考えて仕事を楽しいものではなくしている人もいますが、本来は苦しんで仕事をしたいなどとは誰も思わないはずです。元気で明るく楽しい方がいいのは人間の本性なので、本性にしたがってシンプルに仕事をしたほうがいいでしょう。

・他人に何といわれようと「天知る、地知る、我知る、人知る」で、天も地も見ているし、何より自分が見ているのだから、人に評価されたい気持ちなどは捨てて、自分が良いと思ったことに全力で取り組めばいいのです。

・適当な時期に適当な場所にいることが運であり、走って大きな口を開けることが適応です。好みの問題はあるにせよ、何らかのチャンスを得たいと思う人であれば、家にこもっていても仕方ないのです。どんどん外に、広い世界に出ていくしかありません。

・一番の親孝行は親に楽をさせないことです。

・人生100年時代は働いた方が人生をエンジョイできるということが大前提です。(中略)仕事は無理やりやらされるものではなく、好きなことをしてお金を稼ぎ、ご飯を食べていくのが基本です。

・個人としてもこれまでの経験の蓄積に頼らず、新しい物事を勉強し、チャレンジしていくことが大切になってきます。すなわち「人・本・旅」による自己投資が非常に重要で、還暦からのお金の使い方としても適切だと思います。何しろまだマラソンのコースは半分残っているのですから。自分に投資をして、自分に出来ることが増えれば増えるほど仕事のチャンスも増え、自分のコンテンツも豊かになります。

・老後にいくら必要かというお金の心配をあれこれするよりも、自己投資にお金を使い、自分が出来ることを増やして豊かな生活を送る方がずっと大切だと思います。還暦であろうがなかろうが、いくつになっても自分に投資をして自分が出来ることを増やしていけば、人生の選択肢が増えます。何かを始めるのに遅いということはありません。年齢フリーで考えるべきです。

・人間の考えは「人・本・旅」の累積が形作ります。いろいろな人に会って話しを聞く。いろいろな本を読む。いろいろな場所に行って刺激を受ける。そうやってインプットした個々の知識を「タテヨコ算数」で整理して全体像をつかんでいくことが大切です。「タテ」とは時間軸、歴史軸のこと。「ヨコ」とは空間軸、世界軸。算数はデータでものごとをとらえる、ということです。数字、ファクト、ロジックと言い換えることも出来ます。

・新しいことを学ぶにはその道の専門家に会い、やり方や知識を教えてもらうことも大切です。(中略)その世界の理念やルール、考え方を知りたければまず法律から勉強すべき理由がそこにあります。

・「教養=知識×考える力」という式になり、これはおいしい人生をおくるには必須のものです。

・教養を磨くには古典を読むに限ると僕(出口)は話しています。ベネディクト・アンダーソン「理想の共同体」、ウォーラーステイン「近代世界システム」、アダム・スミス「国富論」「道徳感情論」、ジョン・ロック「統治二論」、ダーウィン「種の起源」。この六冊の本を読むことで基礎的な教養の根本は得られます。

・僕(出口)は「迷ったらやる。迷ったら買う。迷ったら行く。」をモットーにしています。

・試行錯誤を繰り返さないと、何事も上手にできるようになれません。何かを始めることへの躊躇は、失敗して自分が傷ついてしまうことへの恐れもあるでしょう。

・幸せな社会とはみんながそれぞれ他人に気兼ねなく、自分の好きなことに打ち込める世界です。私たちがつくり、次世代に引き継いでいくのは、そういう社会でなければなりません。

 

引用を終わります。

 

いつもは三点抜き出すのですが、今回は参考になる文章がたくさんあり箇条書きでの引用にさせてもらいました。人生を楽しむこと、人生を充実させることは非常に大切ですね。教養のためにも古典を読まないといけないです!

最後に、本書題名「還暦からの底力」から想像された文章は書かれていませんでした。そして出口氏も「あえて書きませんでした」と最後に触れています。本書を読み終えた時、読者一人一人が自分の幸せを追えるようになりたいと思えると素晴らしいですね。