デール・カーネギー「人を動かす」を読み返しました。今から84年前1936年に初版された本書は以後84年間に亘り世界中で読み続けられています。私も10回以上読んでいますが読むたびに新たな発見をもらい、自らを振り返ることが出来る貴重な機会となり本当に勉強になっています。今回も同様に気づきをたくさん頂きました。

 

印象に残ったのは以下五点です。

 

1.重要感を持たせる

人を動かす秘訣はこの世にただ一つしかない。この事実に気付いている人ははなはだ少ないように思われる。しかし、人を動かす秘訣は、間違いなく一つしかないのである。すなわち、自ら動きたくなる気持ちを起こさせること、これが秘訣だ。重ねて言うがこれ以上に秘訣はない。

(中略)優れた心理学者ウィリアム・ジェイムズは「人間の持つ性情のうちで最も強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである」と言う。ここでジェイムズは希望とか要望とか待望とかという生ぬる言葉を使わず、あえて「渇望する」と言っていることに注意されたい。これこそ人間の心を絶えず揺さぶっている焼けつくような渇きである。他人のこのような心の渇きを正しく満たしてやれる人はきわめてまれだが、それができる人にしてはじめて他人の心を自己の手中に収めることが出来るのである。

 

2.誠実な関心を寄せる

人間は他人のことには関心を持たない。ひたすら自分のことに関心を持っているのだ、朝も、昼も、晩も。

ニューヨークの電話会社で、どんな言葉が一番よく使われているか、通話の詳細な研究をしたことがある。案の定、一番多く使われているのは”私(I)”という言葉であった。五百の通話に三千九百九十回使われたのである。大勢と一緒に自分が写っている写真を見る時、我々はまず最初に誰の顔を探すか?

「まずあなたが相手に関心を持たないとすれば、どうして、相手があなたに関心を持つ道理があるだろうか?」

(中略)ウィーンの有名な心理学者アルフレッド・アドラーはその著書でこう言っている。

「他人のことに関心を持たない人は、苦難の人生を歩まねばならず、他人に対しても大きな迷惑をかける。人間のあらゆる失敗はそういう人たちの間から生まれる」

心理学の書はたくさんあるが、どれを呼んでもこれほど私たちに意味深い言葉は、めったに出くわさないだろう。

 

3.聞き手にまわる

人に嫌われたり、陰で笑われたり、軽蔑されたりしたかったら、次の条項を守るに限る。

・相手の話しを決して長くは聞かない。

・終始自分のことだけをしゃべる。

・相手が話している間に、何か意見があれば、すぐに相手の話しをさえぎる。

・相手はこちらよりも頭の回転が鈍い。そんな人間のくだらないおしゃべりをいつまでも聞いている必要はない。話の途中で遠慮なく口をはさむ。

(中略)話し上手になりたければ、聞き上手になることだ。興味を持たせるためには、まず、こちらが興味を持たねばならない。相手が喜んで答えるような質問をすることだ。相手自身のことや、得意にしていることを話させるように仕向けるのだ。あなたの話し相手は、あなたのことに対して持つ興味の百倍もの興味を、自分自身のことに対して持っているのである。中国で百万人が餓死する大飢饉が起こっても、当人にとっては、自分の歯痛のほうがはるかに重大な事件なのだ。

 

4.しゃべらせる

相手を説得しようとして自分ばかりしゃべる人がいる。相手に十分しゃべらせるのだ。相手のことは相手が一番しっている。だから、その当人にしゃべらせることだ。相手の言うことに意義をはさみたくなっても、我慢しなければならない。相手が言いたいことをまだ持っている限り、こちらが何を言っても無駄だ。大きな気持ちで辛抱強く、しかも、誠意をもって聞いてやる。そして、心おきなくしゃべらせてやるのだ。

 

5.人の身になる

相手は間違っているかもしれないが、相手自身は、自分が間違っているとは決して思っていないのである。だから、相手を非難してもはじまらない。避難は、どんな馬鹿者でもできる。理解することに努めなければならない。賢明な人間は、相手を理解しようと努める。相手の考え、行動には、それぞれ相当の理由があるはずだ。その理由を探し出さねばならない、そうすれば、相手の行動、相手の性格に対する鍵まで握ることが出来る。本当に相手の身になってみることだ。「もし自分が相手だったら、果たしてどう感じ、どう反応するだろうか」と自問自答してみるのだ。これをやると、腹を立てて時間を浪費するのが馬鹿馬鹿しくなる。原因に興味を持てば、結果にも同情を寄せられるようになるのだ。おまけに人の扱い方が一段とうまくなる。

 

引用を終わります。

 

このように極めてシンプルなメッセージとそれを裏付けるケーススタディで構成されており理解しやすいことが、本書が長期間に亘り指示され続けているのだと改めて思いました。「集合写真を見る時、まず最初に誰を見るのか?」は笑ってしまうくらい当たっていますね。

どんな立場でもどんな仕事でも一人では出来ません、人の協力を得ないと何も出来ません。そういう意味でこの「人を動かす」は老若男女全ての人に参考となる人生の教科書です。

「人を動かす」ことだけでなく、自分の人生をより充実したものにするためにも、本書は繰り返し読み続けたいと思います。

 

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