現在、「ストーリーとしての競争戦略」楠木建先生から学んでいます。「構想する」とは、中々難しく得てして「思いつき」になってしまいがちですが、改めて基本のフレームワークの大切さを認識しています。

本を読み返し、最後に素晴らしい文章があったので、以下引用して紹介します。この学びも最後の山場に差し掛かりました。「切実さ」「面白さ」を兼ね備えたストーリーを構築したいと思います。

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戦略ストーリーにとって、一番大切なこと、それはストーリーの根底に抜き差しなら無い切実なものがあるということです。

(中略)

脚本家の笠原さんは、切実なものを「体の内側から盛り上がってくる熱気と、そして心の奥底に沈んでいる黒い錘である」と表現しています。戦略ストーリーも、そうした切実なものに裏打ちされていなければなりません。戦略ストーリにとって切実なものとは何か。煎じ詰めれば、それは「自分以外の誰かのためになる」ということだと思います。直接的には顧客への価値の提供ですが、その向こうにはもっと大きな社会に対する「構え」なり「志」のようなものがあるはずです。

(中略)

人間は多かれ少なかれ利己的な生き物です。誰も自分が一番かわいい。しかし、その一方で人間はわりとよくできているもので、自分以外の誰かに必要とされたり、喜ばれたり、感謝されたり、そういう実感を得たときに、一番嬉しく、一番自分がかわいく思えるものです。それが人間の本性だと思います。

(中略)

優れた戦略ストーリーを読解していると、必ずといってよいほど、その根底には、自分以外の誰かを喜ばせたい、人々の問題を解決したい、人々の役に立ちたいという切実なものが流れていることに気がつかされます。世の中は捨てたものじゃないな、とつくづく思うのです。      

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