告発文書に記載のあった「中小企業経営改善・成長力強化支援事業」補助金が1億円から4億円に増額されていたことについての問い合わせがこの間あったので対応してきた。

当初否定していた、副知事からの指示によって原案の1億円から増額されたことは当時の財政課のメモが開示されて明らかになった。こんなことは関わった多くの職員が査定資料をみれば増額の経緯がわかると言っていて、まさにその通りだった。

いまはもう次のステージに課題が移っているが、これまでの中身についてここでまとめておきたい。まず簡単に構図がわかるのが下記の集英社オンラインの記事である。

そして、ゼロゼロ融資が金融機関にとってどのような存在であったかをダイヤモンド・オンラインと日興リサーチのリポートで明らかにする。

ゼロゼロ融資は借り手側の話であって金融機関は通常の貸出金利より高い金利分(都道府県負担。同じ利率ではない。兵庫県は全国の中では低いとされる)を得て利益を得ていたことがわかる。


日興リサーチ【Research Report】コロナ対応の実質無利子・無担保融資が地方銀行の決算に与えた影響の考察(2023年3月期) 

2024年1月30日 カーボンプライシング研究室 常泉 和也 氏

https://www.nikko-research.co.jp/library/13465/


そして、初めて、1億円→4億円に増額となることが金融機関側にどんな影響を与えるかついて明らかにしたい。


先の8月9日の私の所属している会派ひょうご県民連合の政務調査会での質疑応答である。当該補助金の内示額がゼロゼロ融資の取り扱い残高とほぼリンクするという事実である(金融機関が断れば別)。補助金の枠が4倍になれば補助金は4倍になるという基本的なルールで運用されているのである。


さらに末尾には、パレード費用との関係はさておき、金融機関への補助金額を含めてさらに制度を詳しく理解するための2つの資料を掲載した。調査をされている方には参考とされたい。


いずれ百条委員会でテーマとなるので以降は議会の場で真相を明らかにしていきたいと思う。


2024年8月9日
各会派政務調査会(ひょうご県民連合)

産業労働部

「中小企業経営改善・成長力強化支援事業 について」の質疑を抜粋(文責: 竹内)


[質問]橋本議員 

 枠組みとして、中小事業者が支援が必要な状態ということを金融機関を通じて補助していくと。金融支援と非金融支援があると思う。その支援の取り組みに対する成果、取り組んでいることに対する支援みたいな形で補助をしていく。1件支援したら 10万円なり7万5千円なりっていう、そういう枠組みだと理解していいか?
今回、事業者数が前期までと比べると大幅に、半減ぐらいしているけれども、これはどういった理由、経緯があって減ってきている?コロナは当然かとは思うけれども、そもそもこの事業が本来目的としてきた部分っていうのが、どういう風に変化してこういう数字になっているのかというのを教えてもらいたい。 


[答弁]田口金融官

 枠組みについては、ここには詳しく書いていないが、右側の四角囲みの部分だが、まず金融機関と事業者が、今後の経営改善に向けた計画書を対話しながら策定の支援をしていく。その後、フォローアップして、四半期ごとに計画に基づく指導助言を行いながら伴走支援を行っていく。
これが四半期ごとに、一応、フォローアップ報告書というのを求めている。提出を金融機関から求めており、県に提出してもらっている。四半期に 1 回間違いなく報告をもらうが、もちろんその間にこまめに金融機関が訪問とか電話等で経営状況を把握しながら経営改善に努めていく事業である。そういう支援に対して新規支援先には10万円、継続の支援先には 7万千円を支出、補助している。

この事業が始まった背景、(県の実施している中小企業)制度融資。コロナ前の令和元年度では 1000億円の融資規模だったが、ゼロゼロ融資が始まって令和2年には1.1兆円の融資が実行された。金融機関における支援対象はゼロゼロ融資は県内 43,000 社に支援融資が行われた。資金繰りの支援としては有効に機能したが、逆に言うと過剰債務の問題も一方で発生しており、融資先が非常に広がったということで、金融機関もやはり支援がなかなか行き届いてなかった状況だった。

合わせてこの融資の特徴は、基本的には信用保証協会の100%の保証がついており、事業者が貸し倒れた際には信用保証協会から全額代弁(代位弁済)されるので、金融機関には痛みを伴わない融資。

やはり自分の、金融機関のリスクマネーで出した分についてはしっかりと返済してもらうよう支援するけれども、こちらのゼロゼロ融資については、100% 保証がついていたので、なかなか支援の優先度が落ちている状態だった。それで少しでも支援をしてもらいたいという意味で、金融機関にインセンティブを渡すということで、この事業が始まった次第。 


 事業費がなぜ落ちていったとかというお尋ねだが、コロナの融資が一応、令和2年の5月から始まって、当初3年間は無利子だった。据置期間、基本的には元本を返さないでいい期間だが、基本的には 3 年以内でという事業者が多かった。

元本とか利子の返済を見据えて、(元本の返済が)令和5年度から始まるんで、その先手を打って令和4年度から(中小企業経営改善・成長力強化支援)事業を始めた。どんどん返済が本格化していって、最後の返済の、ゼロゼロ融資の返済開始のピークが令和6年4月だったということで、(令和5年12月補正予算で)4億円を積み、事業を進めている状況である。 


 [質問]上野委員

 当初の1億円が4倍の4億円になった。当初積み上げて、支援事業者数を読んでいた思う。それが 4億円になって、その4億円に合わせて4,199社になっている。その理屈から言ったら最初の見積もりがあっていたとすれば、これドンと落ちる可能性があるのか?4千百社ぐらいの実績としてなるのか? 


 [答弁]田口金融官

 基本的には、措置された予算に対してゼロゼロ融資の実行のシェア、金融機関がゼロゼロ融資に取り組んだシェアに応じて「内々示」というか、補助の目安を示しているので、基本的には、ほぼほぼ 4億が執行されることになると思う。

ただ、今この事業は令和5年12月で措置され、今全額繰越させてもらっているので、今まさに伴走支援をしている状況で、補助の執行はまだしてない。 


 [質問]上野委員

 それなら、当初の予算要求の時の事業者数はどこから出てくる? 

 

[答弁]田口金融官

 当初の 1億の要求は、交付金「コロナ臨時交付金」を活用した事業であり、臨時交付金は県全体で国から財政課に示されて財政課が管理しているので、正直、部局ではわからない状況だったので、「まずは部局としてはもうここだけは支援させていただきたい」ということで、要求をまずしたのが新規の千社(1億円)となっている。
この根拠としては、今まで伴走支援を受けてない、この事業を利用してないとか、あと去年までかなり出た融資だが「伴奏型経営支援特別貸付」と言って金融機関の伴走支援を受けながら経営改善を図る融資、この利用もないとか、そういう先が4万3千社のうちの1万6,500社あった。それに経済団体の調査結果から、返済に不安があって、なおかつ対策もしてないというところが、調査結果から6.8%出ていたので、当初はその数をかけて約1千社ということで 1億円ということで予算要求をしていた。


 [質問]上野委員

 それなら新規の10万円の口の部分を千社と見込んで 1億を計上していたと、その後、いわゆる継続支援の7万5千円に相当する部分が3千社あまり需要としてはあるということでいいか?  


[答弁]田口金融官

 今議員が言った3千社というのは10万円の口の方。積算の事業再構築の結果、新規支援先を千社と(見込んだ)というのは(当初の話)。
(財政課の)査定において交付金の見込みが(4億円)確保できる見込みが立ったという話があり、『事業再構築をせい!!』という話があったので、私どもとしては新規の3千社を積算した。

で、その根拠としては先ほど言った、伴走支援を受けてない事業社16,500社に対して、返済に千社の積算では「返済に不安があり、かつ、未対策のところ」を「返済に不安がある」というところまで広げて、17% ということで算定し、約3,000 社というふうにした。

それに合わせて第2期で2,000社ほど支援していたが、経営改善や円安とか、人手不足とか新たな要因も出てきて、なかなか経営が改善できてない先に対して、2,000社、掛ける、コロナの影響を継続しておるという民間、こちらも民間の調査会社の結果があったので、その割合が同じぐらいいるだろうということで、2,000社に 42.2%を掛けて800社、約1,000社ということで算定した。 


 [質問]上野委員 

この事業は1期2期3期とあるが、例えば1期2期3期とも金融機関から再建計画の支援を3年間受けてるようなところもあるのか? 


 [答弁]田口金融官

 ない。第1期は新規1万2,000社を支援して、第2期は新規が2,000社で継続が8000社。第3期は新規が約3,000社で継続が800社となっている。 


 [質問]上野委員

 あくまでも見込みだが、約4億円の決算に落ち着くという見込みでよろしいね?  


 [答弁]田口金融官

 金融機関と事業者で、やめようということがなければ。実績が落ちない限り、ほぼほぼ4億円の執行になる。   


[質問]橋本委員

 だいたいの枠組みは理解はできたかなと。けれども、実際に金融機関がその伴走支援を行うか、行わないかはどういうふうに選定するかというと、結局やったかやらないかだけで、実績によって補助が執行されるかどうか決まるということなのか?

例えばその予算枠が1億円あるから1億円1,000社が対象と。4億円に増えた。そしたら4,000社できるという風な枠組みのものと理解していいか? 


 [答弁]田口金融官

 1億から4億という巷で話になってる件は、あくまでも予算査定のプロセスの話。結局議会で承認されているが、4億円となっているので、4千数百社に対する支援をするために金融機関に対して一応ゼロゼロ融資のほぼほぼシェアに沿って内示というか、補助金の申請の目安を示した上で、申請をさせて、それで執行、採択された分について事業を実施している。


 [質問]橋本委員

 それは仕組みとしてはその通りだと思うが、じゃあ実際1,000社を支援するのか4,000社を支援するのかっていうのが予算の枠組みで決まってくるということで、どの社を本当に伴奏支援していくのかというのは要は金融機関サイドで決められるよと。それだけの枠組みがあって、申請をすれば認められるというものであるという理解でいいか? 

 

[答弁]田口金融官

 細かく言うとだいぶ長くなってしまうが、いくつか県から支援してもらいたい先として、例えば売上が落ちているとかいう指標を持って、経営が悪化してる先に対していくつか例刷りをした上で申請をするように金融機関に伝えいるので、良い先だけを支援させるとか、そういうことは全くない。むしろ悪い先に対して伴走支援をさせるような基準を設けてやっているので、あくまでも最終的に決めるのは金融機関だけれども、私どもが経営状況が悪くなったという指標・基準をいくつか示した上で申請させているので、そこはきちんと悪い先を支援していると考えている。 


 [質問]橋本委員 

補助の単価の補助対象経費。新規支援に10万円の経費がかかるが、どういう見積もりになっているのか?

[答弁]田口金融官
県の別の事業の中小企業の支援制度「ひょうご中小企業技術・経営力評価制度」があるので、それ並みで診断に1日あたり47,500円かかったり、経営指導員1日あたり37,900円かかったり、レポートの作成に20,000円とかいうのを積み上げて、だいたい20万円くらい経費はかかるであろうと。そのうち県と金融機関の共同事業であろうと位置づけているので、そのうちの半分ぐらい10万円を補助させてもらうという枠組みをとっている。
継続支援事業者については計画書をさらで(初めから)つくるのではなく変更なので、そこまで手間がかからないということで計画策定費については大体半分くらい、10万円の半分くらいをみて、金融機関と半分くらい、県とシェアして25,000円ぐらいということで、最終75,000円という積算にしている。 

 以上


ということで地域経済課の金融官は補助金の増額の経緯を自らの関与していない意思決定であることを明確にした。つまり現場から要望したことではないということだ。積算も後付けである。これらがパレード協賛金として還流されるのではといった話にも関与もしていないだろう。現場の声で増額したものではないことがよくわかった。それでいい。


財政課が体外説明のために作成した文書






11/14〜16頃となっているところだけ私と認識が違う。日時が不明なのに、なぜ14〜16となるのか。指示があったのは10日と証言する関係者がいる。とはいえ告発文書の中身とは直接関係がない。4億円への増額指示がパレード協賛金追加依頼より前であることははっきりしているので大きな問題ではないということだ。

上記の解説のもとになった公文書
















信用金庫側にいまのところ補助金が渡っていないというところもこれからポイントになると思う。「補助金がつくから協賛金を出した」(関係者談)と因果関係が証明されてしまえばかなりまずいことになるだろう。