読売新聞・社説

 

齋藤知事やその側近、人事当局でこうしたことに関わった皆さん。

 

「公益通報者保護法は、通報を理由とした、通報者への不利益な取り扱いを禁じている。県は本来、職員を公益通報者として扱い、保護すべきだった。県の対応は保護法に反していた疑いがあり、不適切だったと言うほかない。」

 

「公益通報は不正の発見と是正につながる。制度の意味と必要性を、首長を含め、改めて認識し直さなければならない。」

 

こうした現在の内部告発や公益通報保護の考え方をなんと考えるのだろうか。逆に最初がマスコミや捜査当局、議会といった外部告発だったから、告発者は守られる必要はない、といった趣旨の考え方をむき出しにしてきた。前近代的な発想に反吐が出る。

 

兵庫県公益通報委員会 構成員名簿

https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk23/documents/r50526kouseiin.pdf

この問題で片山副知事が委員である委員会にまず公益通報できるだろうか。実際は難しいだろう。

 

3月25日の告発者の特定から2日後に「事実無根」「嘘八百」「公務員失格」と記者会見で一方的に述べた齋藤知事。同日その直前に行われた人事当局の記者発表では退職日延期の公表はあったものの詳細な理由等は調査中であるので答えられないとされた。当然の話である。

 

3月27日の知事会見の中で読売新聞の記者からの質問に対して「聞かれたんで言いますけど」(33分12秒〜)と前置きしながら、「被害届や告訴なども含めて、法的手続きを進めているところです。」(会見の議事録には『法的手続きの『検討』を進めている』とあるが虚偽)。刑事訴追の話を持ち出した理由は何だったのだろうか。県警へ相談だけして敢え無く終わっただけなのに(「知事 甘かった初動対応」20240625 読売新聞)

 

同日の会見の中で、知事は『綱紀粛正』という言葉を2回持ち出している。2回目は「県庁全体が『綱紀粛正』する必要がある」とまで言っている。この方針に従って、人事当局は渡瀬氏の送別会に参加しただけの友人等まで呼び出し査問を行っている。事実無根、嘘八百の怪文書なら情報提供元など存在するはずがないにもかかわらずである。しかも個人スマホを見せるように言った事実が複数あることは以前に記載したとおりだ。

粛正ではなく、告発者を粛清せん、見せしめにせんと血道をあげた人まで。

 

 

会見では「ありもしないことを縷々並べた内容を作ったことを本人も認めている」と齋藤知事は言い切った。渡瀬氏は怒っていた。よくもこんなことを言ったものだ。「名誉毀損や信用失墜、県へ業務上も含めて大きなダメージを及ぼしています」とも。

 

あれから4ヶ月が経とうとしている。いま兵庫県に大きなダメージを与えているのは知事自身である。初動を間違ったと謝って終わる話ではない。

 

結果として、告発者はいまこの世からいなくなった。

 

知事の職を辞するときだ。



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