告発文書による齋藤知事に対する贈答品指摘について「『PRのため』なら受け取っても良い」という前代未聞の論理で知事本人やその側近は反論している。


もちろんそんなことを許容する県の規則等はいま存在していない。今のところ県の文書では受け取った側は「収賄」となっているので、PR云々は後付けの言い訳にすぎない。

 

しかし、過日の総務常任委員会でも指摘したが、万が一にもこの論理が後付けでも認められてしまうと、警察や検察の贈収賄の捜査には大いに支障をきたすだろう。

 

例えば、現金や金品の授受が首長や公務員にあったとして、「借りているだけ」と主張する。高級なコーヒーメーカーやトースター、高級自転車、スポーツウェア、高級ゆかた。今知られているこれらの物品だけでなく、何をもらっても、PRのため、もしくは、無償で貸与されているだけでもらっていないと言い訳すればよいということになってしまう…。

 

例えば、 トレック・ジャパン株式会社から知事のサイクリング用として定価で約50万円、装備品を含めるとさらに高くなる高級自転車が無償で貸与されている。齋藤知事のサイクリング用だという。


「トレック・ジャパン(株)からは、齋藤知事のサイクリング用として最新e-bike「Domane+ AL 5」を1台、県に貸与しています」。


高価な自転車であるが、下記の公式ガイドによると「ロードバイクのサイズを選ぶに際して、『さまざまなサイズのあるバイクから自分に最適なフィット感を選ぶには、主に身長と股下の長さが重要になります』」とあり、誰もが同じ自転車に乗れるといったものではないようだ。他の部分も含めて自転車を乗る個人に合わせてカスタマイズするということだろう。他の人が乗れないのだから県というより知事本人に対する貸与だろう。



トレック・ジャパン公式HP

最下段にトレック・ジャパン株式会社の所在が兵庫県西宮市にあること、米国、ウィスコンシン州ウォータールーに本社を構えるTREK Bicycle Corporation が100%出資した子会社であること、また、事業内容は自転車および関連製品の輸入および販売であり、製造が行われていないこともわかる。製造は米国本国で行われているそうだ。


PR効果はあったのだろうが、県内に拠点があるとはいえ、逆に100%外国資本の私企業にPR効果といった利益がもたらされたとしたらそれはそれで良いのだろうか。


いずれにしろ知事へ高級自転車を一定期間、無償貸与したという先例ができてしまった。どちらが持ちかけたものなのかなど百条委では当然そのあたりは貸与した側にも問われるだろう。他にも文書に出ている民間企業の方も、必要があれば呼ばれると理解しておいたほうがいい。公務員だけのように思っている向きがあればそれは全くの間違いである。


真偽のほどは不明だが、この齋藤知事のサイクリング用自転車は来月末で返却されるという噂も流れている。とはいえ、もうなかった事にはならない。



漏れ聞くところ、このPRのためなら何でも受け取っていいという珍説がまかり通ることを危惧している人たちがいるそうだ。この論理を堂々と開陳すればするほどそうした危惧をもっている人たちの声が大きくなる。そんなこともわからないのか。