「当時の判断と致しましては、行革プランの長期収支見込みが黒字でありまして、資金が返済される見込みでありましたことから、県債管理基金条例に抵触するものではないというふうに考えております」(財務部長答弁)。

この点についてはメディアの皆さんも注目しているようで私にも問合せがある。債務区分といったことは付け焼き刃で分かる話ではなく、よく調べないと記者の方もわからないとは思うが、「黒字を確保できる見込みだったため」という話は誤っており簡単に論破できる。

下記の2010年度に策定された第二次行革プランで示されていた当時の計画を見てもらおう。

記者の皆さんにこの資料を見せずに、見通しは黒字で健全な団体だったと説明しているようだ。

当時の670億円の赤字見通しと直近の見通しに改善は見られないのが、①②③が実現されていないということ。13年経って何らの改善もなく、逆に負担は拡大している…。

それはともかく、
⑤は資金不足や利子縮減対策のための県の貸付である。
これにより収支が黒字になるので団体の財政は健全であると説明するとは何事。

■初級の簿記の本の、しかも最初に子どもの小遣い帳の話として取り上げられる、貸付を収入と位置づける、初歩的な考え方の誤りの事例。

貸付で黒字を確保とかを外向きに言える、この考えを本気で信じているなら会計や財政の仕事は向いてないのでやめたほうがよい。議会にそうであったように、どうせ資料も持ってないし、知らないだろうと説明しているのだろう。

この期に及んでこれだけの初歩的な話をしているというのは過ちを認められない別の理由があるということだろう。

県に⑤377億円の長期貸付原資もなく、この計画すら実現できない、即ち県の支援ができないから、寄託という禁じ手を使って二重計上しようとしているのに、なにがこの計画で団体が基金の貸付先として健全だ、だ。

県債管理基金条例で規定する「知事が認める最も確実かつ有利な方法」にならないのは一目瞭然。貸倒れリスクのある貸付先であるという以外に言えない。


私が質問で指摘したように、地方財政健全化法の債務区分では同団体の5段階評価は最低ランクのEランク(貸付額の90%を県の将来負担として引当。金融庁基準の破綻懸念先)。2008年度から現在までずっと。

「『E』は国が定めた全国一律の基準で機械的に算出した評価」。
このE評価にはたいした意味がないといった趣旨の答弁もかなり凄い。

当時の決裁権者は総務省から来られた人…。そんな人が法に基づく団体の債務区分を軽視というか無視していた。

私の想像では、良くないことだと知っていたが、基金から416億円を公社に直接貸し付けると、実質公債費比率が18%を超える可能性があり、総務省の起債許可団体という、当時の知事が絶対に避けたい団体に陥る可能性があり、それを避けるための窮余の策として議会に隠して決裁した、と思っていた。

そうした正直な話をしてくれたらそれ以上私が何をいうのか、となるのだが…。ここは相変わらず、変っていない。やはり特別委員会が必要だ。

県債管理基金の国債残高とみどり公社の借入金残高の双方に416億円を計上(二重計上)して、財政指標を悪化させずに、みどり公社の資金不足も解消するという金融商品。

これについて当時の監査委員も説明をうけていなかった事実も確認したので、監査や議会、県民に対して416×2=832億円あることにしていたということである。これを粉飾決算と言わずしてなんというか。

これはやはり直接当時の銀行との交渉担当者や決裁者らに確認する必要がある。監査や議会に隠して416億円もの迂回融資をしたこと。これは常人のできることではない。