朝日新聞が昨17日に報じた県が兵庫県森林組合連(以下、県森連)に対して貸付けた9億円が全く返済されていない問題。昨日の続き。

 まず、何より、県民目線からの疑念は、県森連の代表二名が政治家であること。それがいかなる影響を与えていたか。これは今後検証されないといけないことだろう。

そして、県は9億円を返済していない県森連の経営状況をどのように把握してきたのだろうか。

過去の貸付金にかかる予算査定の資料の中に下記のような記述がある。

 

2020年度予算の査定資料から抜粋(前年作成)

 

この時点で既に『破綻』という言葉が見られる。財務基盤の脆弱化から金融機関からの融資は困難で、県からの貸付を増やしていくしか方法がないような書き振りである。それでも貸し続け、予想通り焦げ付いた。この判断。


この査定では前年度より5千万円増額され8億円の貸付が認められた。翌2021年度はさらに5千万円増額されて8.5億円(ここまでが前知事編成)。22年度はさらに5千万円増額されて9億円となったのは朝日新聞の報道のとおりである。


9億円は2022年4月1日に県森連の口座に振り込まれている。しかし、同年11月29日に県森連は大阪地方裁判所に特定調停を申し立てた(2022年度監査参考資料参照)。県は特定調停の席につくことを知事と協議した上で決定し、裁判所の指定期日に出席した(調停内容を受諾するかどうかは別問題)。そんななかで償還期限の2023年3月31日を迎えたが9億円は返ってこなかった。


9億円は誰が返済するのか?


一方で、県森連の役員らが別の動きをしていることが確認された。特定調停を申し立てる約1か月前の10月13日に「ひょうご森林林業協同組合連合会」(以下、森林連)の設立登記が確認されている。


登記上の設立目的には「林業・木材産業改善資金助成法の規定に基づき、兵庫県の委託を受けてするその債権の保全及び取立て」といった県森連の登記内容と一言一句同じ内容をはじめ似たような内容が列記されていた。


そして驚くべきことに、現在、県森連と森林連の代表理事二名は同一人物である。これは民間では「計画倒産」の準備と言われるような動きではないのか。


県が県森連に委託してきた事業は2023年1月5日に「森林連」に事業移管されている(県決算報告書監査資料参照)。民間ならこうした動きはわからないようにできるかもしれないが、公金が原資だと議会の関与もあって事業移管の流れの中で契約を隠すことができず監査に把握されているということである。スキームを考えた人も民間のようには隠せない…。一目瞭然である。


移管したのは優良事業であり、県森連が森林組合として随意契約されている虎の子の資産といえる。これは早々に県森連から森林連に移行させている。まさに「優良資産の移し替え」である。


しかし、森林連は森林組合法に基づく森林組合ではないため、他の団体に優先して契約される存在ではない。にもかかわらず、事業移管に伴う手続きはなんと「随意契約」によるものであると判明している。つまりこの事業移管については県がお墨付きを与えていると解釈できるのである。

 

特定調停の場で県と県森連は「債権者」と「債務者」となっており、利害の対立(利益相反)があるはずだが、これらの動きから勘案すると、特定調停の申し立てや県委託事業の森林連への移行などの一連の動きも含めて連携していると見ていいだろう。優良資産の移動を随意契約で是認しているのがその証拠だ。債権者失格である。

 

9億円の公金を貸し付けた県が、それを返済しない県森連と連携していると映る。しかも事業移管先の団体の代表者まで同じ政治家って…。

 

真の債権者たる県民の思いを代弁するため会派議員が18日14時からの総括質問の第一で質問する。

 

 

 

 

2022年度監査参考資料参照(非公表)。債権放棄って…

 

 

 

 

2022年度決算報告書本監査用資料(同)