神戸の県庁。農林水産部の審査。過去から取り上げている旧兵庫ひどり公社、現在のひょうご農林機構の決算について質問。

 県議会動画


私はこの問題については10年前から既に議会で取り上げているので、動画の質問は一定の基礎知識がないと解りにくいのでご了承ください。過去の経緯等も含め農林水産部の職員より私のほうが詳しいことがあるようで、答弁ができないといった場面がいくつかありますが、それは知らされていないからで担当は悪くありません(この所管問題は内部管理の面で重要な問題ですが、現段階では取り上げておりません)。

そのため、基本的な論点を下記の点でわかりやすく記しておきます。

ひょうご農林機構の2022年度決算における財務諸表は下記リンクでも公表されている。





貸借対照表の「その他の固定資産」に『森林688億円』がある。

これが機構の大半を占める資産である。これは森林を切り出したときに現金化できる価値を示したものか。答えはノー。この688億円算定の根拠は下記データの通り。

貸借対照表の森林668億円の内訳。決算審査にかかる竹内請求資料。

※1※2の費用を足したものから補助金を引いたものが688億円の根拠である、森林の簿価は、新植費をはじめ、保育費、借入金支払利息、人件費等の経費から補助金を控除した額であることがわかる。要は簿価は費用の積み上げから補助金を控除したものにすぎないのである。

森林の帳簿上の価値と実際の森林の価値や評価が乖離している最大の要因は会計方法にある。

とはいえ、これは全国の林業公社の会計の基本ルールで融資している公庫や金融機関は百も承知である。ここに融資をしているのだから貸し手責任は当然ある。質問はこの点をとりあげている。県民負担を最も少なくするにはできるだけ早期に法的整理等を行う必要がある。

これまで金融機関に払ってきた利子は365億円
↑森林の簿価を構成する借入金利息の列をみると合計303億円となっている。金融機関に支払ってきた利子が財産であるはずがないが、そうした経費の積み上げが財産価値として計算されている。金融機関に実際に払ったのは365億円。県補助金(利子補給)の61億円を控除して帳簿上は303億円となっている。。

過去に365億円も金融機関に払って、まだ今も年間4億円超の利子を払っている(同じく下の機構財務諸表から県からの「受け取り利子補給金」参照。2022年度から県が全額負担している)。金融機関からの借入総額は600億円超。金利上昇リスクもある。


特に財源的に有利な第三セクター債(特別交付税措置あり)を使って法的整理等を行うことができたときに処理しなかったことが失敗だったとして、知事は総務省に制度の復活を求めている。第三セクター債は法的整理等でしか使えない。知事もそのつもりということだ。

遅れれば遅れるだけ県民のお金が利子として消える…。

第三セクター債(総務省HP)

放置したらどうなるか。
現計画では、県民のお金で金融機関に利子を2078年まで払い続けようとしている(下表に融資年限が令和59年度=2078年3月と明記されている融資がある)。




2023年度 農林水産資金特別会計債務負担行為(抜粋)

2078年て、あり得ない…。

(質問通告書内容)
1 (公社)ひょうご農林機構(旧兵庫みどり公社)の分収造林事業の抜本的見直しについて
(1)先送りがもたらした多額の金利負担について
(2)齋藤知事の求める「抜本的な見直し」と「分収造林事業のあり方検討委員会」の今後について
2 県が損失補償をしていない金融機関からの貸付371億円を県資金により公社が返済し、現在の将来負担率想定以上の負担を県が行う可能性について
(1)今後、県による追加貸付が焦げ付いた場合や追加の損失補償の履行を求められた場合の対応について
(2)知事への求償の可能性について

その後、環境部の審査。

昼休憩時に会派幹事団と総括審査の打合せなど。

委員会終了後、県幹部が控室に来訪。今日の質問を終えて今後について意見交換など。