9月議会に提案予定の補正予算について知事が下記リンクのように本日会見を行ったようだ。


先月の台風7号被害で被害を受けた香美町を中心とした被害対応などの説明もある。この件では当初から被害状況の把握がされている一方、テレビ報道等により情報伝達ができていたのかといった話やちょうど土木部が生田庁舎で4割出勤の対象であったとの話もいくつかの方面から聞こえてきた。『一木一草』の話をする人もいた…。更に大きな災害のときに4割出勤体制でどう対応できるのかなどは検証する必要があろう。

また、昨日も記載した自転車ヘルメット購入補助については、以下のHPに詳しく記載されている。


 給付対象者として
「住所地が兵庫県内の方で、おおむね次の方を対象予定としています。(詳細は随時更新します)

・高齢者(65歳以上)
・子育て世代(1歳~18歳までの子と親)
・学生(19歳~29歳までの大学生や専門学生等)

高齢者や子どもといった自転車事故の多い世代を対象としているのに加えて、「子どものいる親」も対象にしている。子どものいない世帯は対象ではないということは、安全対策に加えて、子育て世帯への支援という別の観点も加えているということだろう。こうした複合的な対象設定は珍しいと思う。対象でない方の立場になるとなぜ親にまで差をつけるのかという話になると思う。とはいえ、このあたりが独自の齋藤カラーということだろう。

また、所得制限等の設定はないが、すぐに神戸新聞の夕刊イイミミに補助開始前に購入した、ある意味で率先して努力義務のヘルメットを購入した者に対する遡及しての補助はないのかという声が出ていた。仰っしゃりたいことの意味は痛いほどわかる。とはいえ、制度開始前に遡って補助することは購入の証明等の問題があり困難だろう。

一方、この購入補助の財源として国の「地方創生臨時交付金」を活用することについて、朝日新聞が発表翌日の紙面で指摘している。
上記会見HPの資料より

「地方創生臨時交付金」とは正式には国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」のことで、「地方創生臨時交付金は、コロナ対応のための取組である限り、原則、地方公共団体が自由にお使いいただくことができます」(内閣府HP)とあるが、適切なのかという指摘だ。

この交付金については過去に下記リンクのような「イカキング」とかモニュメントにも活用され、当時大きく批判を受けたことを思い出す。とはいえ下記リンクの記事をみると返還を求められることもなかったようだ。コロナ対応であるかの議論は別にして、この事業でOKでヘルメット補助が駄目ということにはならないということだろう。
 


いずれにしろ、財源の指摘といったプロの目線での指摘はメディアの役割というべきものだ。

朝日新聞ではこの日の朝刊で下記リンクのような県企業庁の地域整備事業と旧兵庫みどり公社の分収造林事業という県としては着手できていない大きな負債問題も取り上げていて驚く。


県の財政問題を朝日新聞が詳しく取り上げるのはいつ以来か。懐かしい昔の話を思い出す。

また、財政にも詳しい県の某幹部から「竹内先生が以前から指摘されていた件、前に進みそうですね」と連絡があった。懸案事項であることは関係者はみな知っている。

「21日に提案された補正予算では、外郭団体等の県債管理基金への集約をやめ、土地開発公社等からの預託金の解消も行うとの提案はあったものの、企業庁の地域整備事業についてはほとんど手つかず。土地開発公社への未払金、多額の評価減が見込まれる土地の時価評価問題や兵庫みどり公社改め「公益社団法人ひょうご農林機構」の借入問題も抜本的なことは積み残しのまま。「財政の見える化」はまだ道半ばである(2022年2月28日 拙日記 )。」
1年半前の本会議での私の発言原稿だが、いずれにしてもこの2つの問題は企業庁と現ひょうご農林機構だけで解決できる問題ではない。

地域整備事業会計の資金繰り対応だけでなく真の意味での抜本的改革をするならば、県有環境林特別会計という財源の付け替え会計の問題にまで波及する問題である。これは交付税の話もあり、メリットだけの話ではない。

また、林業公社の問題は他の自治体では破綻処理を含む公社や事業そのものを廃止したところも多い。先送りによる処理の遅れが県民負担の増大を招いたことは間違いない。現在支払金利だけで4〜5億円の支出をしているほか、過去の支払金利の総額は300億円にも達している。今後の金利上昇の危険性も考えると早期処理は当然。こちらは他府県の事例が何例もあり、選択肢は多くない。早期の貸し手責任の明確化によって止血はできる。あとは決断だ。



林業公社解散後における分収造林地の管理経営の現状(広島県 県営林を事例として)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rinrin/72/6/72_1/_pdf


今後の分収造林事業方向、経営の選択肢、考え方(福井県)

https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kensanzai/kousyaarikata_d/fil/054.pdf


しかし、攻めと過去の負債の処理。並行してやることを否定しないが、博士課程までの全国初の無償化で攻めを打ち出した直後にこうした負の遺産の話が唐突に出てくる。県民からすれば県の財政が良いのか悪いのかわからないのではないか。



また、県庁舎の建替え問題についてのスケジュール等も公表されている。解体した1、2号館の跡地は「緑地」となっている。驚く。

県庁舎の建替えはいつの間にか3号館を残して、解体、分散化、在宅勤務化するという話になっている。選挙公約では見直しではあったが、ここまで大きく変わるとは。前回の計画では議会からも委員を出して議論に加わっていたが今回の方針には参画していない。どこで決めているかも良くわからない。話には出ていたが、本当に緑化するだけなのか…。

「生田庁舎のモデルオフィスも今のところ順調に進んでおり、若い職員を中心に比較的好評なので、この1、2年間の取組をしっかりと生かし、仕上げていきたいと考えています」(上記会見)。
知事にはこうした職員の評価の声が届いているらしい。知事にはまだ職員アンケートの情報をあげていないので議会にも内容は教えられないという話も同僚から聞いたがどの情報が正しいのか、よくわかない。

私は華美な県庁舎をつくる必要はないが、県民サービスを低下させないための最低限の整備コストは必要だと考えている。
フリーアドレスや働き方改革は良いとして、現場で働いている職員が在宅勤務を半分以上にしてほしいと願っているのだろうか。


元データ、日本生産性本部のテレワーク意識調査

日本生産性本部はテレワークについてかなり好意的であるが、現実はオフィス回帰の流れになっている。


兵庫県庁は、これからの時代の行き着く先、もう一歩先を読んでいるのだろうか。

行政のワンストップサービスも言われて久しいが、県庁舎の分散化や担当者を訪ねたとして6割が在宅勤務で不在の県庁を県民が本当に望んでいるのか。華美な庁舎や無駄をなくして財源を浮かせますというなら胸を張ってほしいが、「県庁舎を大きくなくして公務員を在宅勤務させて財源を浮かせました」なんて県民が本当に望むことなのだろうか。

私が昭和の古い発想で先を見ていないということならお詫びしたいが、本当にそうした意見の人の話を聞いたことがほとんどなくて、そうでない声ばかりを耳にするので敢えて記させてもらった。

過日、ある部局でコロナ後初めてとなる職場の親睦会が行われたと参加者から聞いた。部局のトップから初めて話しかけてもらって色々な話をしたとも教えてもらった。そうした飲みニケーションは職場の風通しや人間関係が円滑になるという効果があり有益であるというのが私の考え方。私自身や会派でも懇親会や歓送迎会等は行っている(一方でこうした機会には行きたくないという人が増えていることも知っているし、参加は自由で強制するものではない)。

しかし、コロナが落ち着いて復活したそうした機会も再び設定することが難しくなる時代をまた迎えるのではないか。4割出勤となればそもそも部局全員が集まる機会自体がなくなるだろう。また新たな方針に賛同する職員が入庁し、退勤後やプライベートは全く別という人の割合も増えるだろう。若い人には好評ということであれば、優秀な人が入って来るようになるのだろうか。

色んな立場の人がいるから私に届かない声もあると思う。職員の皆さんの本当の声はどうなのか。この方針がモチベーションの低下につながっているという方も既に結構聞いている。

いずれにしても「現場」を大切にするというなら県庁で働く皆さんの現場の声をまずはよく聞いてほしい。本当にそう思う。