神戸の県庁。健康福祉常任委員会。
まず病院局。 県の出資法人の経営状況、(株)ひょうご粒子線メディカルサポートの経営状況について説明を受けて質疑。県の出資比率は79.2%(他に三菱電機株式会社14.9%、富士フィルム医療ソリューション ズ株式会社2.0%など)。

同社は「県立粒子線医療センターが有する専門性の高い治療ノウハウ(知的財産)を県から包括的・継続的に提供を受け、新規粒子線医療施設に対する立上げ支援等を実施することに より、全国的に立地件数の少ない粒子線医療施設の拡大を図り、保険適用のための環境づくりを促進する」のが設立目的(「県行政と密接な関連のある公社等に係る基本情報」)。

大もとの兵庫県立粒子線医療センターは2001年に陽子線治療と炭素イオン線治療の両方が行える世界初の施設として開院しているが、それから20年が経過した。当初は前立腺がんに対する粒子線治療は高額かつ全額自費診療であっても全国から患者が集まるなど、数少ない先進医療機関であったが、現在、国内では粒子線治療施設が増え、お隣の大阪府内にも開院するなど全国で25となっている。

日本の粒子線治療施設の紹介(医用原子力技術研究振興財団HP)


今日の私の質問でも、国内では既に飽和状態になっていることを認め、中国や東南アジアなどに進出して営業を行う必要があるとの答弁があった。

純然たる民間企業ならそれは選択肢だろう。しかし、県が約8割出資している公益企業として考えたとき、国内での粒子線治療拡大までは公益目的として理解できるが、本当に東南アジアにまで営業を拡大していくのかということだ。

今年度から代表取締役を病院事業副管理者が兼務することとなり、常勤の役職員は1人減って5人となった(うち2人は総務)。今年度の売上予想はコロナ禍であるとはいえかなり減少していて約5千万円(委員会資料参照)。企業規模も考慮しなければならない。粒子線医療の保険適用のがんが増えるとしても、ノウハウを販売する先が相当増えていくとは考えにくい。

県は県立粒子線医療センターの治療ノウハウ(知的財産)を同社に提供して対価(金銭)を受け取ってきた。また全国的に立地件数も増え、保険適用のための環境づくりにも役に立ってきたのは間違いない。会社の設立目的を達しつつあると見るべきだ。つまり、いまそのあり方も含めて検討すべき時ということだろう。

今日の全委員会資料

その後、病院局から9月定例会の提出予定議案について説明。職員定年条例改正、医療事故にかかる損害賠償、昨年度の病院事業会計決算について。

その後、福祉部関係。 県の出資等に係る法人 社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団(県出捐95.5%)の経営状況について。Y理事長らが参考人として出席し、H常務理事兼事務局長から決算等の説明(上記委員会資料リンク参照。以下同じ)がある。

資料を一瞥して課題と認識できるのは「浜坂温泉保養荘(障害者更生センター)」の宿泊利用率。これはコロナ禍以前から当委員会で取り上げている。あとの決算等は悪くない。ただ設備投資資金運用として県のグループファイナンスと言われる県住宅供給公社債等を運用しているが、注記では個別の債券名称を明示して時価評価等も行っているものの、財産目録では記載を「等」の中に入れて明記していない(資料P42 財産目録 固定資産 施設整備積立資産等)。金額が多額なものを等に入れ、小口の普通預金の預入先のみ記載している。後に行われた公益財団法人 兵庫県健康財団の財産目録のように個別の運用先の明細を記入すべきである。県グループファイナンスに関わることでもあり、20億円もの財産目録を「等」で省略してはならない。

その後、福祉部。9月定例会の提出予定議案である補正予算の説明。 

Ⅰ.コロナ禍において物価高騰の影響を受ける県民生活を応援するため、光熱費等の高騰の影響を受ける高齢者施設・障害者施設・保育施設等へ一時金を支給することで利用者負担の増加を抑制 等に25億6,300万円

Ⅱ.新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として 感染者急増への対応として、高齢者施設等の従事者への検査実施体制の充実を図るともに、引き続き施設での感染防止対策・事業継続等を支援39億8,400万円(※詳細は資料参照)

その後、債権放棄条例に基づく債権放棄の報告。福祉部所管分。
・母子父子寡婦福祉資金貸付金
2件 335,768 円
 ・心身障害者扶養共済加入金
4件 1,070,800 円
計6件 1,406,568 円

その後、保健医療部関係へ。県の出資等に係る法人の経営状況調査として 公益財団法人 兵庫県健康財団。

N理事長、O副理事長が参考人。こちらも経営状況は悪くない。人間ドックの実施項目に下部内視鏡検査(大腸内視鏡検査)がないことが従前からの課題だが、最近のガン死亡者数の状況では大腸がんが女性1位、男性2位と多くを占めるようになっており、通常の検便による出血把握では進行したガンは見つけることができる可能性はあるが、出血のない早期がんの発見は難しい。医療も進んできたので再検討を求める。

事務方が受けられないと判断しているのは知っていたので何度かやりとりしたあとに、医師で前県病院事業管理者のN理事長から答弁がある。「今春に理事長職に就く際にも下部内視鏡検査の実施を再検討するよう前知事から求められ検討したが、腸は胃や食道と違って薄いため、内視鏡検査の際に破れることがまれにあり、検査が終わって帰宅して穿孔(穴ごあくこと)が判明するなどした場合に、その対応が病院ではないので難しいといった課題が解決できない」という。近くに神戸大学附属病院があり、そちらから検査をされる医師が来られていても難しいと言われると納得せざるを得ない。

その後、健康福祉部の9月定例会提出予定議案、補正予算について。コロナ対策費463.7億円。

その後、健康福祉部の債権放棄の報告。

・看護師学生等修学資金貸付金 2件 920,000 円

これについては資格取得のための貸付であり、先の福祉部の貸付と異なり基本的に債権放棄の対象にすべきでない。また債権放棄は本来地方自治法に基づく個別議会議決の対象である。ということでその放棄理由について質問。被貸付本人の死亡と保証人死亡、海外移住による居所不明だそうだ。こういった理由なら致し方ない。

その後、健康福祉部の閉会中の継続調査事件、 ⑴ 生涯を通じた健康づくりの推進について、 ⑵ 認知症施策の推進について。

私からは「中小企業のがん検診受診促進事業」について質問。有用な制度。形態や制度の広報について。


同じような、歯科検診の補助制度もあるが、利用者は前者が1万人超であるのに対してこちらは100人未満。歯科は自発的に保険適用で検査している人が4割ほどいるとのことで利用者が少ないという。納得。


今日の委員会は開始予定を30分早めるとともに外部にも説明時間を短くするように依頼するなど終了時間が遅くなることを考慮したものだったと思うが、説明を全て委員が理解して聞いていたとは思えない(このことは委員会の中でも指摘した。議会側の問題である)。本来の委員会の審議の充実を第一に考えれば、農政環境常任委員会のように昼の休憩時間を設定した上で開催すべきだったことは明白だ。今日の時間程度で次の予定があるので早く終わろう、みたいな空気感が出ることは絶対に良くない。本末転倒である。

その後、同僚議員と意見交換など。夕刻、姫路の事務所へ戻る。夜、白国にある旧増位幼稚園。姫路市連合PTA協議会北東部ブロックの会長会。各校から順次近況報告。草刈り奉仕作業と通学路の安全確保立会いについて報告しておく。今日はPTA役員の決め方の話も出ていた。会長の成り手がいる学校や既に何年も先まで決まっている学校、任期が1年だけの学校、複数年の学校など様々だった。各校の話を聞いて有意義だった。

昼食は県警本部近くの薫庵でなめこおろしそばを数分でかきこむ。