『山の日』の祝日。7月の祝日「海の日」は姫路でも記念式典が行われ、その日の由来などについて式典の主催者や来賓などから毎年聞いているので知っているが、山の日についてはこうした行事などもないため、由来などについてふと何の由来があったかなと考えてしまう。


内閣府のHPには祝日を祝う理由や目的などについて記載がある。


『山の日』をはじめとする国民の祝日は法改正によって追加されてきているが、全て閣法(内閣提案)ではなく議員立法。戦前からの経緯から当初内閣が行うとの考えもあったようだが、下記の祝日法制定の経緯を見れば、国民世論の議論を踏まえた議員立法が望ましいと考えたのだろう。議員立法での提案となり、その後の改正も全て議員立法によるものとなっている。



山の日法案も衆議院で提案された衆法である。その経緯は下記リンクにある。超党派の議員連盟で議論が進められ成案となったようだ。


とはいえ、山の日をいつにするかは議論があったようだ。



海の日が由来をもって定められていた7月20日がいわゆるハッピーマンデー政策のもとに7月第3週の月曜に異動(首相官邸HP)したが、山の日が「8月11日」の固定された祝日となったのは、変動祝日の場合、日航機墜落事故の日に重なる可能性があり、これを避ける考えが背景にあったのだろう。
 

国会ではどんな議論が行われたのだろうか。祝日改正案が審査された 2014年(平成26年)4月23日の衆議院内閣委員会の議事録を見てみよう(下記国会議事録リンクから抜粋)。

○柴山委員長 次に、衛藤征士郎君外九名提出、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。衛藤征士郎君。

○衛藤議員 ただいま議題となりました国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法案は、国民の祝日として、新たに山の日を設けようとするものであります。我が国の国土の大半は山であり、我々は日々、多くの山の恩恵を受けて生活しております。大自然の根本たる山と向き合い、その恩恵に感謝し、山との共存、共生を図ることは極めて有意義であります。

 次に、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 国民の祝日として、新たに山の日を加え、山の日を八月十一日とし、その意義を「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。」とすることといたしております。多くの国民がお盆休み、夏休みでもあるこの期間に、大人も子供も、こぞって山に親しみ、山を考える日となるものと考えております。

 なお、この法律は、平成二十八年一月一日から施行することといたしております。

 以上が、本法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

○柴山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

○柴山委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○柴山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

○柴山委員長 次回は、来る二十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。


 この議事録をみてわかることは、実質審議が行われる場である委員会で質疑の申し出はなかったということ。そして、趣旨説明の日に採決が行われていること。つまり国会用語でいうところの"一気通貫"である。

超党派の議員が提案者(参院では発議者)となり、全く問題のないような全会一致の法案の場合などに用いられる。また、こうした質疑なしでの短期間での国会通過は特例で、委員会だけで決めることはできず、与野党の国会対策委員会で合意がないと進められないもの(私が国対職員として働いていたところ)。

ところがである。採決の結果は「○柴山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました」となっている。「起立多数」ということは「全会一致」ではなかった、反対の議員がいたことがわかる。これは当時では少し珍しい事例だろう。

その2日後の衆議院本会議の採決の際にも下記のように反対した議員がいたようでそのことの記載もある。


衆議院では議員ごとの議案に対する賛否を公表等していないので誰かとかはわからないが、党内での議論がわかれたため党議拘束を外したのだろう。

ここまで調べたら参議院の内閣委員会の議事録も見てみよう。

参議院内閣委員会 2014年(平成26年)5月22日
○委員長(水岡俊一君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○委員長(水岡俊一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(水岡俊一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。



質疑、討論なしの一気通貫、反対委員がいたので賛成多数は衆参とも同じ。衆議院会派間での合意というより政党間での合意なので衆法でも参議院で一気通貫となっている。

違いは衆議院は「起立」採決だったが、参議院では「挙手」採決であることだ。予算委員会では衆参共に起立採決で共通しているが他の委員会では異なることがあるということがわかる。少しマニアックか…。

最後は、山の日制定の経緯から脱線して自分の興味のある分野の話になってしまったが、お許し願いたい。

山に感謝の日である。

昼間ちぃちゃんがうたた寝していた。

昼食は自宅でカップラーメン山頭火。実店舗に行きたい…。