私の質問とは異なり、わかりやすくまとまっている。流石、新聞記者だ。
今後、輸出企業の好調な企業業績、それに伴う法人関係税収の増加により過去最高となった税収やコロナ交付金による国の財政支援がもたらした県財政への追い風の内容が2021年度決算で確定する。集約基金を解消しても過去最高の黒字要素でその影響を回避するかもしれない。コロナ禍で意外な話だが、一時的に財政は回復したとみえるだろう。とはいえ、コロナ交付金の原資は国の負債でもある。近視眼的なことではなく、未着手の案件も含めてトータルで考えていかなければならない話だと前打ちしておこう。
神戸の県庁。各会派政務調査会2日目。まず環境部。
まず佐用町にある県立ひょうご環境体験館について他の議員から詳細な質問がある。実は私がこのほど顧問に就任したNPO法人ひょうご里山11も当館事業の「夏の里山探検団」で講師を務めるなど今勉強中である。里山や環境のことを子どもの頃から考えていくのは世の中の流れ。大切にしなければならない施設だ。
また、鳥獣による農作物等被害についての質問も。
上記資料に新温泉町の防護策の写真がある。杉の伐採後、再造林のために杉の苗木を植えたところ、鹿に食べられてしまい大きな被害が出たので、その対策という。
新型コロナがもたらした輸入木材等の供給制約により「ウッドショック」と呼ばれる価格高騰や供給の遅れといった状況が起こり、国内産木材も価格が高騰した。適齢期を迎えている木材の伐採の好機であり、杉やヒノキの分収造林事業を行ってきた県の(公社)ひょうご農林機構[旧兵庫みどり公社]には追い風となっている。私もそう見ていたが、過日専門家と話をしたところ、伐木をしたいのは山々だが、(切ったままにしては地滑り等の原因ともなるため)苗木を植える再造林が必要となるが、鹿の食害が見込まれる地域では、餌をやるようなもので杉の苗木などは全て食べられてしまうと。
つまり、鹿の食害を防がなければ木を切れないという話だった…。写真の新温泉町の防護策は再被害を防ぐためのもの。山中の全てで防護柵なわけではない。分収造林事業についてはその財務状況が大変なことになっており、県の予想される負担もかなりのものになっていることは議会でも指摘してきた。折角の価格上昇の好機に鹿のために…。防護策の管理は厳格にしておかないと、少しでも破られていると苗木はエサのようなものですぐに全て食べられてしまうという。なんとも言えない話だ。
その後、まちづくり部。私からは区画整理事業、特に近年、年7億円程度の予算を支出している英賀保地区周辺事業について質問。
県の認可事業が記載されているが、県の予算を伴うものは僅か。その理由は、上表にも記載のように都市計画道路の整備を組合が行う場合、国県市町の負担比率はそれぞれ2分の1、4分の1、4分の1となっているから。英賀保は都市計画道路 荒川線の整備費用負担であり、単年度分の県負担4分の1が約7億円ということである。
また、組合施行の場合、地域住民の代表らが組合役員となり、地域の声が反映されやすいというメリットがあるが、住民の代表が必ずしも区画整理の専門家ではなく、一般的には大半の役員が初めて経験する役職であることから行政の関わりについて事業認可権者である県のアドバイザー的役割について指摘しておく。地域の生の声である。
また、空家活用についての質問も。県条例の施行に合わせて行われる特別区域指定について指定を検討している複数の自治体があり、現在検討中という。これからの人口推移や過疎化から想像すればさらに空家は増えていく。
空家等活用促進特別区域の指定等による空家等の活用の促進に関する条例
https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks26/documents/jourei.pdf
また、他の議員から知事が様々なところで発言している「市街化調整区域の土地利用制限の緩和」についての質問も。これは重要な話。「県都市計画審議会の専門家委員会を設置して検討していく。市町の持つ課題や方向性をヒアリングし、あり方を検討していくことになる」という趣旨の答弁。これから検討ということだろう。
このほか、大規模盛土造成地や太陽光発電施設の防災観点からの点検結果などの説明も。何人もが犠牲になった熱海市の土石流被害の映像はショッキングで今でも目に焼き付いている。しかも関係者は責任回避ばかりしていると報道されている。こんな話は二度とごめんだ。
鉄道駅舎のバリアフリー対策の現状
まちづくり部の資料はプレゼン的資料でわかりやすいものだった。
その後、教育委員会。F教育長からは、先月公表した県立高校の発展的統合の必要性や「丁寧に」進めていくという話や夏の甲子園出場を決めた県立社高校の支援のための「ふるさと納税」寄附金の紹介の話も。
また、資料説明をされた教育企画課長の説明がはきはきして聞き取りやすかった。
【参考】2022年2月28日 県議会本会議 竹内一般質問&答弁
2 兵庫県財政の見える化改革と知事の財政基金公約について (財 政)
知事は兵庫県財政について「就任後、庁内協議を進める中で、本県の財政状況は外から見ていた以上に厳しいことが分かった」また「様々な関係者との意見交換を通じて、県には財政的な余力があるとの認識が広がっていると感じた。」と述べている。簡単に言えば、「県財政の実態は厳しいのに、県民からは余裕がある」と思われていると。
今から遡ること2年前の2019年11月、私は、姫路キャッスルHで行われた播磨政経懇話会11月例会に出席し、当時の齋藤元彦大阪府財政課長の講演をきいた。「どうなる?2025大阪・関西万博のインパクト」という表題だったが、いつのまにか兵庫県財政の話になった。東日本大震災における国の宮城県への財政支援と阪神淡路大震災における兵庫県への支援、県債残高の推移をご自身の作成された資料で比較し、兵庫県財政は厳しいという分析をされていた。
知事は総務省の出身であり、宮城県、大阪府で財政課長を5年間も務めた。兵庫県財政について基金が著しく少ないということに気づき、財政(調整)基金100億円という公約を掲げられた。それでもこれほどまで厳しいとは分からなかったということだろう。
あともう一点、私がその時に思ったのは、突然表題にない兵庫県財政の話が出たことで兵庫県知事になることを考えているのかなと(笑)。だから講演が終った齋藤課長のもとに私一人でいき、名刺交換をさせて頂いた(笑)。
まさか、その1年半後の選挙に出るとは思ってもいません。というのは嘘で、出るかもしれないと思い、県に出向されていた総務省出身の方にそのあと話をしました。まさかと取り合ってもらえませんでしたが(笑)。
話を戻すと、
県債に投資するプロの機関投資家向けのIRにもこうした財政指標対策は書かれていない。一般県民が理解するのは難しいでしょう。過去に大阪府では実態よりよく見せる財政対策について、厳しい批判をした知事もいたが、齋藤知事はそれをしない。いろいろ思うところがあるだろうと想像するが。しかし、いま大切なのはそこではない。
「持続可能な行財政運営を行っていくには、就任直後の今だからこそ、財政の実情をきちんと見える化し、改革の姿勢を示さなければならない」と言われている。まさにその通り。
しかし、21日に提案された補正予算では、外郭団体等の県債管理基金への集約をやめ、土地開発公社等からの預託金の解消も行うとの提案はあったものの、企業庁の地域整備事業についてはほとんど手つかず。土地開発公社への未払金、多額の評価減が見込まれる土地の時価評価問題や兵庫みどり公社改め「公益社団法人ひょうご農林機構」の借入問題も抜本的なことは積み残しのまま。「財政の見える化」はまだ道半ばである。
一方、県議会では2008年度から始まった全職員の給与カットを含む新行革プランにより2018年度に収支均衡が達成されたと喜んだ。新しく大型投資事業を検討するという段階になってきた、そんな雰囲気だった。なぜ突然、また行革???という声、金曜日の一般質問でも春名議員が嘆いておられた。
コロナの影響で行革をするのではない。過去の精算のため。今年度はコロナ禍でも企業業績は好調で、県税収入は当初予算から大きく上振れし、黒字分を活用して340億円の県債管理基金の積立ができることになった。税収を低く見積もっていたから。
来年度からは税収見込の前提となる経済成長率をベースラインケースに変更することになるが、前年にこの結果が出た。県税収入の見通しが楽観的で、毎年のように減収補てん債で財源対策をしている財政運営に私が初めて警鐘をならしたのは、2009年の予算特別委員会。13年前のこと。今回の措置を高く評価したい。
ここで兵庫県財政の歴史を振り、先人の戒めを紹介したい。
実は、兵庫県は1955年度から1960年度まで財政再建団体に指定されていた。遡れば、井戸、貝原、坂井、金井知事の前の阪本(さかもと)勝(まさる)知事の時代だ。63年前の今日1959年2月28日の定例県議会、阪本知事の2期目を迎えての初の提案説明である。
「この際一言申し上げておきたいことがあります。
御承知のとおり昭和35年度末には、財政再建計画が完了し、ことに待望久しき再建団体の指定から解放される日がまいります。
この秋こそ県が久方ぶりに光明をあびる慶賀すべき年でありますが、同時にまた最も戒心すべき微妙な転機でもあると考えます。
かつては雄県兵庫と自他ともに認めた本県が、いわゆる再建団体の境遇に沈淪(ちんりん)すること幾年、ようやくその指定から解放される日こそ、本県が再び過去の失敗を繰り返さざるよう固く決意すべきときなりと信じます。
県政における行政水準の維持向上の要請は、しばしば健全財政を犠牲にしてもいとわないほど強烈なものであります。ここに警戒を要する危険がひそんでいるのであります。それ故にこそ 過去の悲惨を回想しつつ、再建団体より解放後といえども、健全財政死守の最高命題を忘れざるよう、再選当初のこの機会に厳粛な気持で決意を披れきしておく次第であります。」
この提案説明は、ある県職員OBが何かの参考になればと先日、私に届けてくださったもの。いつもこれを手元において、折にふれ、この文章を読み返してきたそうだ。
財政規律は不要といった考えが支持を得たり、世界的にもMMT理論が出るご時世だが、現在でも十分に通用する考えだと思っていると言っておられた。
今年度のような税収の上振れが毎年あるわけではない。実質公債費比率の算定において基金の積立不足、ペナルティ加算の状態を残したまま、公約だからといって100億円を財政基金に積むのはデメリットのほうが大きく現実的ではない。現に今回の補正で340億円を県債管理基金に積まず、黒字決算とすれば公約は達成できたが、財政指標の改善にはならない。
その意味では公約ではあるものの、公表データではわからなかったことであり、他の課題も企業庁地域整備事業会計などの積み残しが残り、4年間での目標というのは現実的ではないと思われることから、そこは議会でもはっきりと難しいと説明されればどうか。私はその方が県民から信頼されるし、謙虚で誠実な姿勢だと思うが、どうか。
【答弁者】齋藤知事
今回見直しをした財政フレームでは、より堅実な経済成長率を試算に用いるとともに、県民に対しまして本県の財政状況を比較可能な形で「見える化」するという観点から、県債管理基金残高に含まれる預託金、外部基金集約の解消などを反映しました。その結果、標準財政規模の縮小等によりまして、令和7年度に実質公債費比率が地方債協議制度の同意基準(18%)を上回り、その後も上昇するという見込みとなっています。
やはり、これは上昇局面を何とか食い止めて、25%というものを超えないように抑えていくということは大事だと私自身考えております。
本県の県債管理基金については、阪神・淡路大震災の復旧・復興事業費16兆3,000億円のうち、本県が負担した2.3兆円の財源として活用せざるを得なかったこと等もあって、積立不足の状態にあるということです。持続可能な財政運営に向けた実質公債費比率の改善のためには、積立不足の縮減が急務であり、現在の財政状況においては、財政調整基金の積立よりも県債管理基金の残高回復を優先させなければならないと今考えています。このため、財政調整基金への積立については、当面、効率的な予算執行等により、決算において剰余金が生じた場合に行うというふうに考えております。
令和4年度の当初予算におきましても、財政調整基金の当初予算での積立は計上していないというところにそれが現れています。
公約とした財政基金の積立については、現下の厳しい財政状況の下、一方で税収が上振れする局面とはいえ、波がありますから、容易なことではないと認識しております。一方で、今回の新型コロナウイルス感染症の流行初期などにおける様々な不測の事態への迅速な対応、これは予算対応も含めますが、そういったものの観点からは、やはり、一定の財政調整基金の保有は有効だと考えております。今は国の臨時交付金などの財源措置がされているので、今回の令和4年度の当初予算でも様々な事業を、補正でもできていますが、これが示される前にスピード感をもってやるためには、やはり、財源の裏打ちというものが一定必要だという思いがございます。
そういった意味で、持続可能な財政の実現もしつつ、財政調整基金の積立については、決算の剰余が生まれる中でしっかりと積み立てていくという流れを踏まえながら、これから少しずつでも着実に積み立てる努力を積み重ねていきたいと考えております。
【再質問】
こういった基金集約でありますとか、未払金もそうですし、負債を掲載しないということで財政指標をよく見せてきたという手法を、総務省は納得していた、知っていた、報告していたということをたまに新聞でも見かけるが、私はそれは法に触れる行為だと思っているが、知事は総務省におられて、ご存じでしたか。
【知事答弁】
兵庫県が県債管理基金の残高不足に関して、どのような取組をしているかということは、総務省にいたときは、存じておりませんでした。
着任してから、様々な集約の取組とかされているということを改めて知ったということです。これについては、過去やむを得ない事情で様々やったという側面があって、総務省とも一定協議を行いながらやったということも理解しておりますけれども、やはり、これは他の団体でやっているところはないということと、積立不足というものは県民の皆さんに明示して、それをどういうふうに、結構長い時間かかりますけれども、計画的に現実的な方法で解消していくことをお示しすることが大事だと判断したところです。
【議員コメント】
今から約2年前、当時大阪府財政課長であった知事が行った大阪・関西万博についての講演会において、いつの間にか兵庫県財政の話をされた。ご自身で作成された、兵庫県財政が厳しいとの話などをされていた。兵庫県財政を一定調べているということがわかった。それでもわからなかったということですから、公約の扱いについては、今答弁にあったようにされたらいかがかと思います。