同僚の一期の議員から「神戸新聞の一面に竹内さんの質問が取り上げられていますね」と声を掛けられる。私が12月4日の代表質問で取り上げた県の外郭団体である公益社団法人 兵庫みどり公社の支払利息の問題。分かりやすく解説されている。



私が11月に議会図書室で調べはじめたもので、予想通りのここらしい抵抗を乗り越えて本会議で取り上げた質問だ。議会の質問が端緒の記事なら議会質問でもとり上げられたくらいは記事に入れてほしいものだ(苦笑)。


また、令和60年度に黒字化するといった一方的な言い分を識者のコメント等なく無批判に使うのはどうかと思う。


とはいえ取り上げてくれるだけで県民の皆さんに知ってもらうことができてありがたい。


当日の質問と答弁も記載しておくが、この答弁の後も知事に対して岡山県の「公益社団法人おかやまの森整備公社」のように県が金融機関の借金を全て返済して肩代わりし利息負担なく運営している公社もあることを指摘して改善を求めた。


公益社団法人おかやまの森整備公社
「県からの無利子貸付金による既存債務の累増防止」
平成16年度末に、公社債務の累増を防止するため、県から、既存債務の償還資金として705億円の無利子貸付を受け、公社はこれを原資として農林漁業金融公庫(現:日本政策金融公庫)などへの一括繰り上げ償還を行っています。
http://okayamanomoriseibikousha.or.jp/keiei/kaikaku
本県と同じくらいの規模の公社。しかも財政がそれほどよくない岡山県が2004年に抜本対策しています。もう17年前です。


今回の質問の端緒↓
「公益社団法人兵庫みどり公社の中期経営方針」
https://www.forest-hyogo.jp/outline/financial/pdf/r02/houshin.pdf

これをみると岡山県とは違い、県の本格的財政支援がない、公社の苦しい台所事情が現場の声として伝わってきます。国の特別な支援を求めると言い訳していますか、既に解散や破綻を含む処理をした府県が15もあり、岡山県のような事例もある中で兵庫県だけに今後支援などあり得ません。皆知っています。


しかも、実はみどり公社に対する県の今後の将来負担額は財政当局によって公式に試算されています。294億円、ざっと約300億円です。



既に300億円の利息を払ってきたことは質問に書いていますが、まだこれから300億円もの県負担が見込まれているのです。信じられないかもしれませんが。


出典-令和元年度地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づく健全化判断比率及び資金不足比率に係る審査意見書(令和2年9月)

https://web.pref.hyogo.lg.jp/ka01/documents/r1chihoukoukyoudanntai.pdf

公益法人の会計改革、監査人、公認会計士とか。貸借対照表が将来負担を捕捉していないから財務諸表が公表されていても意味ないですね。結果的に将来の県民が負担するんですか。人が減るのに…。


質問の本質はこうした未着手の公社の財政問題がある状態、しかもコロナ禍で不急の投資投資に出れるのかということ。


【質問と答弁】

5.公益社団法人 兵庫みどり公社に対する県の早期抜本的経営支援について


 いま大型投資事業を慎重に検討すべきもう一つの理由として、過去の施策の中で、県が着手できていない財政課題が残っているという話をします。公益社団法人 兵庫みどり公社への早期抜本的経営支援についてです。

公社が昨年 3 月 にまとめた「兵庫みどり公社中期経営方針」の中で「金利は比較的低利で推移しているものの、公社の年間支払利息は多額であり経営を圧迫している」との記載がありました。調べたところ、公社の金融機関からの借り入れは、日本政策金融公庫から324億円、三井住友銀行から344億円で計668億円となっており、支払利息は昨年度だけで5億円。過去10年の支払利息の合計は62億円にもなっていました。

 また、同方針には、「膨らんだ投資額の回収が困難なことから見送りしている事業地の主伐を推進するため、投資額(特に利息分)に対する抜本的な支援を要請する」との記載もありました。これは主伐適齢期を迎えた木があるが、切って売却しても、帳簿上の価値に見合う収入が得られない、つまり、売却により赤字が顕在化するので、早期に金融支援をお願いしたい、そんな支援要請だと思います。

 

公社の財務諸表では21億円の正味財産つまり自己資本があることになっています。その根拠となる主要な資産である「森林」の価値を調べてみますと実際の資産価値とは関係がない取得原価によって計算されていました。この原価とは、「新植費、保育費、借入金支払利息、人件費等から造林補助金等を控除した額」。つまり森林造成にかけた全ての費用から補助金を減じた額ということです。資産なのに経費の積み上げで、時価、売却予定価格とは全く関係がありません。この方式だと、支払利息などの経費が増えると、帳簿上、森林の価値は上がっていきます。


 その森林の評価額がいま668億円です。その内訳についても調べました。植付け、下刈りや枝打ち、人件費などで構成されていますが、最大はやはり借入金利息でした。なんと306億円と驚きの金額です。森林の評価額の46%を過去に支払った利息が占めているということです。

 

当初計画では、ヒノキの伐採が本格化するのが2023年度頃とされていましたが、こうした帳簿上の価値と実態がかけ離れた状況で、計画通り伐採を進めるとどうなるでしょうか。赤字の顕在化により、債務超過の危機を迎えるでしょう。

 

分収造林事業は国の施策で進めたといま恨み節をいっても仕方がありません。林業公社のあった39都道府県のうち、15府県が既に廃止し、府県が債務を引き受けています。存続中は24都道県。存続していても特定調停により県が巨額の債権放棄をした滋賀県造林公社のような事例もあります。いずれも国による巨額の財政支援はありません。


このまま年間5億円もの利息を金融機関に払い続けていいのでしょうか。私は知事の20年の在任中で最後に残されている未着手の課題だと思っています。巨額の新規投資事業に着手する前に抜本的な支援の方向性を示す必要があると思いますが、ご所見をお伺いします。


【井戸知事答弁】公益社団法人兵庫みどり公社に対する抜本的経営支援についてのお尋ねがありました。兵庫みどり公社の分収造林事業は、国が設定した枠組みに基づくもので、本格的な伐採収入が得られるまでの長期間を見据えた資金手当は、制度発足のときからなされていませんでした。植林や間伐等の経費を借入金で賄わざるを得ない構造になっています。

 事業収支は、木材価格の低下等により厳しい状況でありますので、県は、公社に必要な資金を貸付けるなどの支援を実施するとともに、分収造林契約の分収率を6:4から8:2に見直してまいりました。あわせて、国の補助事業や金融措置、地方財政措置等の支援策を活用しつつ、平成20年から4次にわたる行革プランに基づき、公社の経営改善を進めてきています。また、このような実情については、行財政構造改革プランにおきまして公表し、その方針を示してまいりました。

具体的には、収益性の高い森林への事業の集中、路網整備や高性能林業機械の活用による事業経費の削減、土地所有者との分収割合の変更や木質バイオマス発電用燃料の供給等による収益増、日本政策金融公庫や市中金融機関の活用による資金調達の多様化、借入金に対する県の利子補給の実施、組織の見直しや人員削減等による管理経費の削減など行って取り組んできております。

 今後とも令和60年の契約終了時点での収支均衡を目指しまして、さらなる努力を重ねて、経営改善に取り組んでまいります。

ご指摘の年間5億円の利息の軽減でありますが、その大宗は旧農林漁業金融公庫の借入金の償還でありまして、これは借り換えをすることが有効でありますが、繰上償還が制度上認められていないという状況がありますので、この事業を推進してきた国の抜本的対策が不可欠であり、国に対して強く要請をしております。

今後とも、全国の府県や公社と連携し、繰上償還も含めた公庫資金制度の拡充や県が行う経営改善対策への支援の強化等につきまして、強く国に対して要請を行ってまいります。

あわせて、みどり公社の体質改善をどのように行うことが適切なのか、県として、引き続き、しっかりと現状の分析を加えながら、対策を行うべく努力をしてまいります。